怪奇骨董たおやめぶりっこ

ますらおぶりに憧れるブログ。涙がちょちょぎれちゃう。だって怪奇骨董たおやめぶりっこだもの。

こぼればなし:「Discipine式」を言い改めたい(ポリ☓☓のセカイ)

本ブログではときどき<Discipine式>という擬似音楽用語を使っている。もって適切な専門用語があれば知りたい。もしなければもう少し的確で一般的な言い方はないかしら?というのが本エントリーの趣旨だ……。くりかえす、(省略)が本エントリーの趣旨だ……。大事なこと(省略)

本文:<Discipine式>音楽を聴いたり調べたり

Discipineとミニマル・ミュージック

<Discipine式>ということばの元となった曲はKing Crimsonの『Discipine』('81年作)だ。っ!!

▼discipline - King Crimson
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King Crimson の総帥 Robert Frippが、監獄学園のコラージュ画像をもってジョジョの奇妙な冒険のキャラクター「キング・クリムゾン」に触れたことは大きな話題となった……

amass.jp


姦輪及第。

<Discipine式>とは、お互いに長さの異なる(小さな)フレーズが同時並行で鳴らす手法。4拍と5拍と7拍(8部音符換算)のフレーズを設定して、セーノで演奏を始めれば、公約数140拍でふたたびアタマが揃うまで、万華鏡のようにお互いがずれてゆく。すると、びゃあ゛ぁ゛゛ぁうまひぃ゛ぃぃ゛みみがしあわせなんじゃああああと思わずボッキしてしまうわけです。

そういう意味では<Discipine式>といっておきながら『Discipine』は構造がシンプルで、万華鏡的快感はやや薄かったりします。ただ、ロック的ダイナミクスとの相乗効果でびゃあ゛ぁ゛゛ぁうまひぃ゛ぃぃ゛以下略となる応用的な曲。実験音楽的な<Discipine式>をロックに盛り込んだっていう点で特異。特異すぎてほとんど誰も追随することなく忘れ去られ、しばらく後にポストロックの一派として収斂進化的に立ち現れるのはまた別の話。

じゃあ、『Discipine』より<Discipine式>なサンプルはなんなのよって話のまえに、さっき「実験音楽的な<Discipine式>」といった「実験音楽的」のほうにちょっと話題を移す。

『Discipine』の'81年から'60年台にさかのぼると、ミニマル・ミュージック派のSteve Reichが、「Phase」シリーズみたいな一連の作品を発表している。さっき<Discipine式>とは、のクダリで「(小さな)」と小さく断ったのが伏線。

Steve Reich piano phase
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同じフレーズの時間をほんのちょっと引き伸ばし並行して鳴らすことにより、ほんのちょっとずつお互いがずれていく手法を「phase shifting」というようだ。<フェイズ・シフティング>、カッコイ。異能っぽみある。<Discipine式>よりかっこい。フェイズ・シフティングっ!!ずれていく世界にお前は気づかない!!

Wikipediaに「Phase music」という項目がある。

Phase music - Wikipedia


日本語でおk。英語はよくわからないけれど、体感的に、<フェイズ・シフティング>は「同じフレーズ」を「微細なずれ」により、じわーっとずれが広がる~戻っていく過程の知覚の変化を楽しむ音楽。「異なるフレーズ」を「まちまちの長さ(かつ音楽的な単位 「X分音符」とか「Y拍Z連符」)」で演奏する<Discipine式>とはちょっと異なる。ので<フェイズ・シフティング>は不採用ざるをえない。かっこいいのに。

Steve Coleman の<Discipine式>

ミニマル派の実験音楽からなんだかんだあって、<Discipine式>のような音楽があらわれる。

▼Wheel Of Nature (The Opening of The Way) - Steve Coleman
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びゃあ゛ぁ゛゛ぁうまひぃ゛ぃぃ゛あへがおだぶるくぱぁああ!!!!!111111

'86年作品なので『Discipine』の5年後。まさか『Discipine』が祖先ということはないと思われるので、共通の祖先または個別の祖先が別にいるとして、それはどんなミュージシャンのどんな音楽なのかとても気になりますのでだれか教えてください><><>

この時計みたいな表現方式とてもわかりやすい。このシリーズの動画がいくつも作られているようで、いろいろ聴いているだけで思わずボッキしちゃいますよね。外を全裸でうろついている時にうっかり聴いたりしたら大変。ぱんいちでも逮捕されかねません。危険。

みんなだいすきNik Bartsch's Roninもありました。

▼Nik Bärtsch Ronin Modul38_17 animation (KingTao)
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びゃあ゛ぁ゛゛ぁうまひぃ゛ぃぃ゛以下略 J-Popが全部<Discipine式>構造になっていればいいのに!!!思わず錯乱してしまいますが、こういうのが<Discipine式>の見本、典型、テンプレです。

Ronin, by contrast, is more flexible and plays rhythmically complex compositions that contain elements of jazz, funk and acoustic rock.

https://en.wikipedia.org/wiki/Nik_B%C3%A4rtsch

そう、その「rhythmically complex compositions that contain elements of jazz, funk and acoustic rock」を一言であらわす用語は何かと訊いておるですが。Steve Colemanのほうにはそれっぽい記述あり。

Overlapping Cycles

The rhythms of Coleman's music of the 1990s were described in the literature as "circular and highly complex polymetric patterns which preserve their danceable character of popular funk rhythms despite their internal complexity and asymmetries.

https://en.wikipedia.org/wiki/Steve_Coleman

「Overlapping Cycles」(重複サイクル?)「circular and highly complex polymetric patterns」(循環的で非常に複雑な多拍子パターン?)。かっこい。polymetric=多拍子だけだと、polymeter=多拍子という言い方もあるみたい。 metric(拍節) と meter(拍子) の違いがよくわからないのだけど。meter は楽譜に 7/8 とか明記される拍子のことで、metric は実際のリズム構造を表しているのかしら。meter が 3/4(8分音符12個分) だけど、内訳が 8分音符3個分 × 4 とリズム分割されていれば metric は 3/8 みたいな?

WikipediaからMetreを調べてみる:

Metre (music) - Wikipedia


なるほどー。ここで n/m 法で記述できる事例が示されている(polymeter かつ monorhythm )。polymeter + polyrhythm の音楽は古典的な楽譜のフレームワークでは表現できないから世の中に少ないという事情もあるとか(妄想)。ちな polymeter と polyrhythm の違いは?というのは下記ページがくわしい。

theory - Polymeter vs Polyrhythm - Music: Practice & Theory Stack Exchange

f:id:fractured:20170115214928p:plain

こちらは冒頭に示した『Discipline』の一部。meter 観点では 5/8 と Stick の 2ポリ、metric 観点では Stick と 5/8(3+2) と 5/8(2+3) の「3ポリ」と解釈すればよろしか?Yes or No プリーズ。

余談:<Discipine式>音楽の天動説的愉悦

ちょっと余談。このエントリー自体が定期エントリーの余談なのですが。

ふたたびSteve Colemanの音源にもどります。

▼Wheel Of Nature (The Opening of The Way) - Steve Coleman
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この動画のように、太陽系を俯瞰して「みんなげんきに周ってるなあ」と楽しむのもよしなのですが、どこか特定の惑星にフォーカスするのもまた面白い。Steve Colemanの親切なところは道標としてクラーベを鳴らしてくれているところ。動画の第2惑星(ミドリ)で、「かんかん、んかんかんかん」と<5発>鳴るパーカッションパートだ。

われわれ中南米人は<5発>叩かれているのを聴くと脳が溶けて吸い寄せられる。5発、それは大地。5発、それはわが母星。そうやって特定の惑星に着陸すると、他の惑星が非常に複雑な動きをシているように感じる。本当は同心円状を周回しているだけなのに。天動説ってやつだ。わー周りがぐるぐる謎のうごきをしているよおびゃあ゛ぁ゛゛ぁうまひぃ゛ぃぃ゛と思わずポリコレ棒からポリコレ液を発射してしまうわけです。惑星の数だけ楽しめる。

Almagest ~天動世界のメカニズム~
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次にあげる曲は直線的に展開しますが、3:15あたりからクラーベ風のパーカッションに注目することで即ポリメチャコレますね。この曲がポリなにがしに該当するかよく聞き分けられませんが……

▼Sarathy Korwar - 'Bismillah'
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クパァ……

バッハのポリフォニーを、全体のアンサンブルとして聴くか個別のフォニーに注目して聴くか下から見るか横から見るかみたいなやつです。知的。サカナクション

余余談:Perfumeの『ポリリズム』は<ポリリズム>なのか?

さらに余談。

わたくしつい近年まで、<ポリメトリック>と<ポリリズム>を混同してまして、ポリメトリックな音楽もポリリズムだと誤認していました。Perfumeの『ポリリズム』を<ポリリズム>だと誤認していた。これまでの定義を踏まえると、『ポリリズム』はモノリズム×ポリメトリック。

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8/8(4/4)、5/8、3/8と、単一分母で表現できるので<モノリズム>。「4分音符2個分を7分割したグリッド5個単位でフレーズを繰り返す」みたいなことをしたら<ポリメトリック+ポリリズム>の世界に突入する。

で、『ポリリズム』=<ポリリズム>と誤認したまま幾つかのブログエントリーを書いてしまったのが恥ずかしい思い出です。恥ずかしいのではてなダイアリーからハテナブログに移行したタイミングで非公開にしています*1。リズムとかに詳しい人に笑われていたと思うとハズカシー。

このエントリーへのリンクを追記して言い訳した上で再公開しても許されるしら……。もしかして『ポリリズム』は<ポリリズム>だよ派の識者もいるかも?と思いましたが、ここから先は闇っぽいのでググらずにこの話はこれでおしまい!

余余余談してるときにググっちゃいました。

7/8拍子と4/4拍子(=8/8拍子)を組み合わせる場合、分子の最小公倍数は7×8=56となり互いに56拍目(※)で一致するので、「7/8拍子を8小節+4/4拍子を7小節」と組み合わせれば1つのポリリズムとなる

ポリリズム - Wikipedia

日本のWikipediaポリリズム』は<ポリリズム>だよ派(ポリメトリックをポリリズムに含有する)だった……。よくわからないけど、本ブログでは分ける派でお送りします。ご理解のほど。

余余余談:<Discipine式>っぽい何かを作ってみた

今まで紹介した曲は<polymeter + monorhythm>なのだけど、発展系の<polymeter + polyrhythm>になるとボッキどころじゃ済まされない桃源郷が待っています。サンプル動画はありません。というのも、わたくしのリテラシーが低すぎて、polyrhythm を的確に聞き分けられないためです。<monometer + polyrhythm>でさえ、例えばある単位時間の 3 : 3 : 2 分割と 2 : 2 : 1 分割がちゃんと聞き分けられない。2のn乗ぶんおんぷ世界で前者は monorhythm だけど後者は polyrhythm。ましてやポリ+ポリになったらお手上げです。
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▼Catch22 DCPRG
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ども…。デスクトップ野郎です…ども…。世界にそういう音楽は稀だしそういう音楽があっても聞き取れないんじゃあ自作自演して自家発電すればいいじゃないうおォン。以前、オーディオI/F兼簡易ミキサーとしてYAMAHA AG06を買いました。


そしたらDAW*2Cubaseの廉価版)がおまけでついていたので、よーしアタイDTMやっちゃうぞーと慣れない操作性に四苦八苦しながらつくった短いトラックがあります。

これだ……!

▼Zombies of Wassr
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ベースパートはもちろんMagmaの『Zombies』…だ……!!

▼Magma Zombies
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ポリコレミルクがでるっっ

本当は<polymeter + polyrhythm>したかったのだけど、DAWポリリズムとひっじょーに相性が悪いため挫折。<polymeter + cross-rhythm>になりました。ポリリズムとクロスリズムの違いとはなんぞや?が適切に解説されてるページはないかしらとぐぐったら
いろいろ闇にはまりましたが、本ブログの意図に近いのはこちら。

ポリリズムの前に修得すべき、クロスリズム4×3を修得するための練習曲メモ

3連を4拍でとるのと、4連を3拍でとるのを、自由に行き来できるように。

3連4拍:123123123123
4連3拍:123412341234

www.youtube.com

http://bick.xyz/archives/25

グリッド(リズムの最小単位)が12個で固定・共有。ただし、「3個ずつで4拍子 と 4個ずつで3拍子」が混在している。これはDAWで 拍子の設定を 12/8 とかにすればOK。相性良い。これは<クロスリズム>。<ポリリズム>となると、1小節の時間はいっしょだけど、グリッドは 12個グループ(3個ずつ4拍子) と 16個グループ(4個ずつ4拍子)みたいなやつなので、DAWでは表現できない。かなしい。任意の「n分のm連符」をステップ入力することはできるので、ベースは4/4設定しといて、別途ポリ側を1分の12連符でステップ入力するとか…機が遠い。

もういっこ挫折したアイディアは、セリフやつ。読み上げソフトで生成した音声を、ぶつぶつ切ってラップ調にしたかった。定期エントリーでひとさまのラップをクソダサクソダサとthisってますが、想像上のぼくのかんがえたイカしたラップをデモンストレーションしたいなと思い。言葉の打点はベーストラックに対してポリリズムにし、言葉の「意味の単位」と「リズムの単位」がポリメトリックになってるやつがあったらイカしてるハズ。でも実現つらい。MIDIの打ち込みでさえポリリズムは大変なのに、オーディオを狙ったとおり編集するのはさらに大変。

音楽に限らすすべての事象は、自分が思いついた程度のアイディアはすでに誰かがやっているの法則がありますので、誰かがやってる音源を紹介して欲しいのだお兄ちゃま(萌えボイスで)。

ちなこちらになってくると

detail.chiebukuro.yahoo.co.jp


本ブログの認識とまるで違うので、この界隈は用語の定義が錯綜していてたいへんだなあとおもいましたこなみんか

まとめ

というわけで、語感のかっこよさから<Discipine式>あらため<ポリメトリック(多拍子)>と呼ぶことにしました。メーターよりメトリックのほうがかっこよいので。

また、雑談を繰り返す過程で、本ブログにおける以下の用法が定義されました。

さらっとググった感じだと、これらの違いは「人による」っぽかったので、グーグル先生は無能だなと思いました。本ブログでは『ポリリズム』を<モノリズム+ポリメトリック>として扱います。*3

またまた、課題として、 King Crimson や Steve Coleman に至るまで<ポリメトリック>な音楽がどのように発祥・発展してきたか(<phase shifting>な音楽と系統的なつながりがあるのか)が残りましたので、だれか教えてください。いっしゅん中南米が登場したのを除き、アフリカ、インド、その他アジア系音楽について一切触れていないのは意図的です。その方面からの論点・補足があればだい歓迎。というわけで、いろいろとっちらかったので整理し直したいきもちはがまんしつつ、ひとまず本エントリーの目的は冒頭に示した通り、<ポリメトリック>という呼称が決定したことにより達成されたのでなんら問題はないのです!!!

でわでわでわでわ、最後までなんたらかんたら(ブログによくある締めの定型句をここにコピペする)ソンジャーネソンジャーネソンジャーネソンジャーネソンジャーネ

*1:と思ったらおもいっきし公開されてたのでいましがた「下書きに戻す」ました。はてなダイアリーで非公開にしてからはてなブログに移行して、そのままほったらかしていた模様。下書きってうっかり削除しそうなのだけど……

*2:今さら聞けない、“DAWって何?” | 藤本健の “DTMステーション”

*3:いまさら凡例:『曲名』【アルバム名】<用語名>[映像作品名]「セリフやその他強調」