冨田勲 追悼特別公演 冨田勲×初音ミク「ドクター・コッペリウス」
いってきた。Bunkamuraオーチャードホール。ひかえめにいって神公演。
以下、公演内容に関するネタバレが含まれます。
第1部
『イーハトーヴ交響曲』
東京オペラシティでの初演はプラネタリウムのような映像演出で圧倒的な没入感があったのが、本公演はとくに演出がなくてさびしさがあります。ちょっと音響がよくない?映像スクリーンや投影装置や電子楽器制御機器類など、後半はダンスのスペースなどを確保するために楽器隊が窮屈になっているっぽいかも?そういう事情でグランドピアノが入らないためか電子キーボードで代用されたと思われ、それは逆にPA越しに分離/浮遊して聞こえたのはよかったかも。演奏はGoodでした。
『惑星 Planets Live Dub Mix』 Dub Mix: エイドリアン・シャーウッド
Dubとはいったい。レゲエの歌を抜いて調整作業をしているときにうっかりエフェクタのつまみを回し過ぎたらイカす音がでて発明されたと聞いていますが。転じて、レゲエ風の音楽に強くポストプロダクション工程をかけるジャンルだとか。でも、菊地成孔ダブ・セクステットとかはJazzのカルテットにDUB担当が加わる組み合わせで、生演奏をその場で加工するスタイルだったので、そういう「加工」をDUBというのかしら?エフェクタを演奏するテクな。Dubに特徴的なリバーブですが、こういうホールの残響もすなわちDUBである、そういうメッセージ性?
編成は、Dubの人、パーカッションの人、弦楽器の人4人(ヴァイオリン2、チェロ、コントラバス)。『惑星』原作のサンプリングを含めたもろもろをDubの人が出しつつ、生演奏の人がもろもろする構成。生演奏音もDUBられている。やっぱり火星の5拍子はいいものだ。火星とかミッションインポッシブルとか5拍子の原曲を4拍子化するヤツぜっちゅる(絶許:絶対許さないの略)マンなので一安心。でもダンスミュージック系の音楽がホールでぐあんぐあん反響するのはちょっと居心地悪め。
第2部 スペース・バレエ・シンフォニー『ドクター・コッペリウス』
そして新作。オーケストラのチューニングからシームレスに第0楽章こと電子音の海へ切り替わり、サイケ&スペイシーな音響空間から、フルアコースティックな管弦楽の第3楽章へまたすぱっと切り替わるのは劇的。エルは知っている。こういう音楽をなんというかを。詳しくはエルに訊いてください。
第4楽章は目玉の、ホログラムのミクとバレエダンサーがデュオで踊るワルツ。観客もたまらず拍手が鳴り響く。以降、5,6,7と驚くほど充実の音楽&ダンスが続きますが、あまりにネタバレがひどくなってきたので、以降はご自身の目と耳でご確認ください。後半は生オケと、ボーカロイドと電子楽器と電子音が飛び交い混じり合う、至福のひととき。ホールの音響特性を逆手に取ったようで結果オーライです。
舞台の空中左右にそれぞれ大きな立方体のフレームが吊るされ、そこにスクリーンが張られてて、そこにも映像が投影されていた。で、スクリーンを張ってるワイヤーを引っ張ったり緩めたりすることで、スクリーンが三次元的に形を変えるという謎の技術が駆使されてました。プロジェクションマッピングの逆。スクリーン側が映像に合わせて変形するとは。ただ、ワイヤーを制御する音がシャーっと聞こえるのはちょっと残念。
フィナーレとカーテンコールでは冨田勲追悼公演らしい演出/出来事もあり、思わず涙を流してしまいました。隣の客が。
補足
- 本公演の様子はBSプレミアムで後日放送されるらしい(場内アナウンス)のでお楽しみに。
- 来年にすみだトリフォニーホールで新日本フィルによる再演が決定(公演後の情報)したので、ちょっと行ってみたい。舞台も広いし音もよいので。流石にないとは思うけど、据え置きのパイプオルガンが使われたら昇天しちゃう。さすがにないと思うけどチラ。第5楽章でたまらないオルガンの演出があったのよ。あそこ錦糸町でちょっと遠いのがネック。
ソンjヂャーネ