プログレオタが非プログレオタの彼女にプログレ世界を軽く紹介するための10本
元ネタ:アニオタが非オタの彼女にアニメ世界を軽く紹介するための10本
(http://d.hatena.ne.jp/fractured/20080726/1217093115)
あわせてお読みいただければ幸いです。
まあ、どのくらいの数のプログレオタがそういう彼女をゲットできるかは別にして、「プログレオタではまったくないんだが、しかし自分のプログレ趣味を肯定的に黙認してくれて、その上で全く知らないプログレの世界とはなんなのか、ちょっとだけ好奇心持ってる」ような、プログレオタの都合のいい妄想の中に出てきそうな彼女に、プログレのことを紹介するために見せるべき10本を選んでみたいのだけれど。
(要は「脱プログレオタクファッションガイド」の正反対版だな。彼女にプログレを布教するのではなく相互のコミュニケーションの入口として)
あくまで「入口」なので、時間的に過大な負担を伴うボックスセットのプログレは避けたい。できれば1曲、長くてもCD2枚組にとどめたい。あと、いくらプログレ的に基礎といっても古びを感じすぎるものは避けたい。Jazz 好きが黒人霊歌は外せないと言っても、それはちょっとさすがになあ、と思う。
そういう感じ。
彼女の設定は
という条件で。
まずは俺的に。出した順番は実質的には意味がない。
「In The Court Of The Crimson King(クリムゾンキングの宮殿)」(King Crimson)
まあ、いきなりここかよとも思うけれど、「宮殿以前」を濃縮しきっていて、「宮殿以後」を決定づけたという点では外せないんだよなあ。長さもLPサイズだし。
ただ、ここでロバート・フリップトーク全開にしてしまうと、彼女との関係が崩れるかも。
このなぞかけ過多なギタリストについて、どれだけさらりと、嫌味にならず濃すぎず、それでいて必要最小限の情報を彼女に伝えられるかということは、プログレオタ側の「真のコミュニケーション能力」の試験としてはいいタスクだろうと思う。
「Asia(詠時感〜時へのロマン)」(Asia)、「展覧会の絵」(EL&P)
アレって典型的な「プログレオタクが考える一般人に受け入れられそうなプログレ(そうプログレオタクが思い込んでいるだけ。実際は全然受け入れられない)」そのものという意見には半分賛成・半分反対なのだけれど、それを彼女にぶつけて確かめてみるには一番よさそうな素材なんじゃないのかな。
「プログレオタとしてはこの二つは“ポップス”/“クラシックの解釈”としていいと思うんだけど、率直に言ってどう?」って。
「Seven Up」(Ash Ra Tempel)
ある種のSFプログレオタが持ってる宇宙への憧憬と、ティモシー・リアリー博士監修のLSDによる人間改造の考証へのこだわりを彼女に紹介するという意味ではいいなと思うのと、それに加えていかにもドイツクラウトロック的な
- 「LSD をキメたださカッコよさ」を体現するマニュエル・ゲッチング
- 「LSD の過剰摂取による破滅」を体現するハルトムート・エンケ
の二人をはじめとして、プログレオタ好きのするキャラを世界にちりばめているのが、紹介してみたい理由。
「UK(憂国の四士)」(UK)
たぶんこれを聴いた彼女は「さっきのエイジアだよね」と言ってくれるかもしれないが、そこが狙いといえば狙い。この系譜の作品がその後続いていないこと、これが日本では大人気になったこと、イギリスならプログレを復権し、それがアメリカにに輸出されてもおかしくはなさそうなのに、日本国内でしかこういうのがつくられないこと、なんかを非オタ彼女と話してみたいかな、という妄想的願望。
「The Wall」(Pink Floyd)
「やっぱり音楽は大衆のための物だよね」という話になったときに、そこで選ぶのは「The Dark Side of The Moon(狂気)」でもいいのだけれど、そこでこっちを選んだのは、この作品にかけるロジャー・ウォーターズの思いが好きだから。
断腸の思いで削りに削ってそれでも LP2 枚組、っていう尺が、どうしても俺の心をつかんでしまうのは、その「捨てる」ということへの諦めきれなさがいかにもプログレオタ的だなあと思えてしまうから。
The Wall の長さを俺自身は冗長とは思わないし、もう削れないだろうとは思うけれど、一方でこれがYes や Genesis だったらきっちりヒットソングメドレーにしてしまうだろうとも思う。
なのに、膨大な予算をかけてかけてステージに巨大な壁のセットを作ってしまう、というあたり、どうしても「自分の物語を形作ってきたものが捨てられないプログレオタク」としては、たとえロジャー・ウォーターズがそういうキャラでなかったとしても、
親近感を禁じ得ない。作品自体の高評価と合わせて、そんなことを彼女に話してみたい。
「Softs」(Soft Machine)
今の若年層で Soft Machie を聴いたことのある人はそんなにいないと思うのだけれど、だから紹介してみたい。
ADIEMUS よりも前の段階で、カール・ジェンキンスの機械的/ミニマルなリフとか浮遊感のあるメロディとかはこの作品で頂点に達していたとも言えて、こういうクオリティの作品がレコードでこの時代にかかっていたんだよ、というのは、
別に俺自身がなんらそこに貢献してなくとも、なんとなくプログレ好きとしては不思議に誇らしいし、いわゆる「イマージュ」とかでしかカール・ジェンキンスを知らない彼女には聴かせてあげたいなと思う。
「神話と伝説〜第4章〜」(MAGMA)
クリスチャン・ヴァンデの「白目」あるいは「歌心」をプログレオタとして教えたい、というお節介焼きから見せる、ということではなくて。
「終わらない未完の大作を期待し続ける」的な感覚がプログレオタには共通してあるのかなということを感じていて、だからこそ復刻版『コンタルコス・アンテリア』の終結はコバイアの祈り以外ではあり得なかったとも思う。
「変拍子化した日常を生きる」というプログレオタの感覚が今日さらに強まっているとするなら、その「プログレオタクの気分」の源はマグマにあったんじゃないか、という、そんな理屈はかけらも口にせずに、単純に楽しんでもらえるかどうかを見てみたい。
「Crac!」(Area)
これは地雷だよなあ。地雷が火を噴くか否か、そこのスリルを味わってみたいなあ。
こういう地中海音楽風のジャズをこういうかたちでプログレ化して、それが非プログレオタに受け入れられるか気持ち悪さを誘発するか、というのを見てみたい。
「Metropolis PT.2」(Dream Theater)
9本まではあっさり決まったんだけど10本目は空白でもいいかな、などと思いつつ、便宜的にドリーム・シアターを選んだ。
クリムゾンから始まってドリーム・シアターで終わるのもそれなりに収まりはいいだろうし、メタリカ以降のプログレ時代の先駆けとなった作品でもあるし、紹介する価値はあるのだろうけど、もっと他にいい作品がありそうな気もする。
というわけで、俺のこういう意図にそって、もっといい10本目はこんなのどうよ、というのがあったら教えてください。
「駄目だこの増田は。俺がちゃんとしたリストを作ってやる」というのは大歓迎。
こういう試みそのものに関する意見も聞けたら嬉しい。
追記
私だったらタイトル選んで紹介されるより、一緒に JANIS 行って「どのへんいけそう?」とか聞いて自分で選ばせてほしいな。
何選んでもバカにしないで、内容解説してくれたら彼を尊敬する
最終的に狙うのは、まさにその状態ですね。
このセレクションのキモって、「宮殿」のところで書いているように、あくまで「オタクが非プログレオタのためにどこまでプログレ臭を出さずにプログレを説明できるか」そのコミュニケーション力テストの意図なんですよ。
『脱オタクファッションガイド』と方向性は真逆だけど、狙っていることは同じ。
それができそうなのが私の場合この10本ということであって、シチュエーションとしては彼女の方が「ちょっと音楽のことが聞きたいんだけど、何を聴いたら」と聞いてきた場合を想定しています。
クリムゾンのほうがディープそうで引く(゜Д゜)!
そこをディープさを感じさせずに聴かせられなかったら、なんのためのオタクだよと。
目指せ MASA ITHO!という気概で。
「Metropolis PT.2」より「Images and Words」よりの方がプログレ的によさそう。
他に Marillion の「過ち色の記憶」や Queensryche の「Operation Mindcrime」等のトータルコンセプト物も無難かな。
「Images and Words」は頻繁な場面転換が人を選びそうなので、それよりは正統的なメタル寄りの「Metropolis Pt.2」を。
音楽を補足する物語があるやつはいいと思うんですね。「ジェラルドの汚れなき世界」は最終候補に残しましたし、『眩惑のブロードウェイ』も The Wall との比較という点で、長くなければぜひ入れてみたかった。
(10本目から Queensryche を外したのは、HR/HM の歴史的名盤として一番非オタにとっても見応えのあるものだと思うがゆえに、逆にここに入れなくてもいいかなという理由で)
プログレよりクラシックを先に聴かせてはどうか?ごちゃごちゃなプログレを続けて聴くのは辛いと思う
プログレで行くなら彼女の好きな物の系統にそったから攻めるべきだと思う
あえて『展覧会の絵』以外はクラシックと関係のない作品を並べたんですよ。
マグマもクリムゾンもカール・ジェンキンスも、オリジナルの範疇でしょう。だから展覧会の絵に乗り気じゃなかったのかな俺は。プログレについては、なにも短期集中でなくともいいと思う。
(略)
「アングラ女子がヒップホッパーの彼氏にフリー・インプロヴィゼーション世界を軽く紹介するための10本」って変換するといきなり狂気の世界。
そいつは素敵すぎるぜベイベ。その狂気に触れ共感しつつ、あくまで正気を保ちたいぜ。
そんなダグマー・クラウゼみたいな珍妙な生き物居るわけ無いでしょ?
10本程度では酒に慣れる程度で酒の味が分かるようになるかというとどうか?
(以下断念)