2016年10月に聴いた(2):amiinA/井出ちよの/sow/トクマルシューゴ/Charlie Haden/Jakob Anderskov/Anna Webber's Simple Trio/Orchestre National de Jazz & Olivier Benoit/Ethan Iverson, Ron Carter & Nasheet Waits/Honey Ear Trio/Bruce Williams/ROYAL STOCKHOLM PHILHARMONIC ORCHESTRA/Mi
年の瀬 IS カミング。わーお。ウィンターセール対象じゃないのに買ったSteam:ASTRONEERが楽しすぎてブログどころじゃあ。ぼっちだけど。
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- 【Avalon】 amiinA ★傑作★
- 【もうすぐ高校生活】 井出ちよの ★オススメ★
- 【Route of Migratory】 sow
- 【TOSS】 トクマルシューゴ
- 【Time / Life】 Charlie Haden
- 【Resonance】 Jakob Anderskov
- 【Binary】 Anna Webber's Simple Trio
- 【Europa Rome】 Orchestre National de Jazz & Olivier Benoit
- 【The Purity of the Turf】 Ethan Iverson, Ron Carter & Nasheet Waits
- 【Swivel】 Honey Ear Trio
- 【Private Thoughts (feat. Frederick Hendrix, Josh Evans, Brad Williams, Brandon McCune, Alan Palmer, Chris Berger & Chris Beck)】 Bruce Williams
- 【E.S.T. Symphony (with Hans Ek, Dan Berglund, Magnus Öström, Iiro Rantala, Marius Neset, Verneri Pohjola & Johan Lindström)】 ROYAL STOCKHOLM PHILHARMONIC ORCHESTRA
- 【Miles Davis Quintet: Freedom Jazz Dance: The Bootleg Series, Vol. 5】 Miles Davis
凡例
- 第一印象点はだいたい1.0(そっとじ)、2.0(いまいち)、2.5(ふつう)、3.0(よい)、4.0(とてもよい)、4.5(傑作)みたいなフィーリングです。×20するとBurrn!誌の点数感覚に類似です。
- 文章中で突然個別楽曲に点数をつけだしたら、10点:傑作、3点:かなりよい、1点:なかなかよい、0点:よい・ふつう・よくない・わるい・☓☓☓です。
- オススメ印はシェフが気まぐれているとお考えください。
【Avalon】 amiinA ★傑作★
J-Pop。はじめまして。控えめに言っても傑作。これが尊いってやつなのか・・・!
J-Popについては、十数曲いりアルバムであれば、個別評価方式(10点:傑作、3点:かなりよい、1点:なかなかよい、0点:よい・ふつう・よくない・わるい)でちょっとよいかもって曲(0点の上)が数曲、点数付きクラスの曲が1曲あれば合格点な昨今ですが、本作は逆。ねむい(0点の中)曲が1曲くらいしかなく、ほぼ全曲、最低でもワンポイント以上ぐっとくるタイミングがある。1曲1曲、ここがぐっとくるあそこがよいと言いたくなりビリティが高まる。が、ネタバレになるのでやめときますね!!
Perfume, BABYMETAL、ゆるめるモ!、3776、sora tob sakanaなど、音楽的結果にコミットするアイドルはたくましい。<プロデュースりょく>の高さよ。Perfumeの中田ヤスタカ氏以外は、どのような人物がどのように暗躍しているか寡聞&ググらずにして存じ上げないのだけど、少数の個人が音楽を握っているのしろ、外注を多用しているにしろ、高品質かつ一定の音楽感にまとめあげるプロデュースりょくのガチ語彙スウ。
→第一印象:4.8(5点満点)
【もうすぐ高校生活】 井出ちよの ★オススメ★
J-Pop。1stアルバム【3776を聴かない理由があるとすれば】本ブログ昨年度のJ-Pop部門ベストに選んだ3776のメンバー、井出ちよのさんのソロアルバム。富士山のご当地性がないので井出ちよの名義なのでしょうか。
サブカル女子とかギャル子とか9通りの高校生キャラが、3年×3学期=9曲に割当たっていて、それぞれのキャラがそれぞれのタイミングで経験する初恋のうた9曲。どんなキャラがいつどんなあれなのかと読み解き作りてのあれこれ想像したりと楽しめますが、本ブログは<歌詞絶対聞かないマン>が書いている設定なので掘り下げないです。
さて本作も【3776を聴かない理由があるとすれば】に負けず劣らずな珍作。
汎アイドル的(アイドル/アニソンアルバムにありがちな風林火山のいずれ)でもなく何かコンセプトに染める(ベビメタとか空飛ぶさかなとか)わけでもない不安定(メロディかハーモニーか歌い手か編曲か、またはその組み合わせか)でイビツ(例えばギャル子曲では曲全体のしっとりしたトーンに「ギャル」を示す記号的なシンセが土足で上がり込んでくる異物感)で陽気(陽気(陽気))な曲が続く。で、また最後は『3.11』と対をなす恐怖の頭脳改革『さらば高校生活』で締めくくられる。エグい。
3776がJ-Pop/アイドル界の【狂気】だとして、本作は【ウマグマ】である。
→第一印象:4.4(5点満点)
【Route of Migratory】 sow
J-Pop。はじめまして。インスト系J-Popのいい感じのやつ。ポスト/マスロック的な神経質さと、スッペサルアザーズ的なキャッチーさが同居している。前者だけってのは大歓迎だけど、後者だけってのは親をころされるからアカん。ボーカル入りが1曲あって、インストバンドがボーカル招くのは絶対許さないマンのわたしだけど、その曲はボーカルがいち楽器として溶け込むスタイルになっていて、とてもセーフでした。全体として徹頭徹尾<特に問題ない>秀作だけれど、当ブログ的にはプログレ味は巧妙に隠蔽されてて、変態性をご披露仕るキラーなチューンが見当たらない結果となった。そういうプログレ厨を釣るような音楽はバンド側が意識的に避けているように思われる。たぶんいまtoeを聴き直したらそういう気持ちになるかも。
→第一印象:3.9(5点満点)
【TOSS】 トクマルシューゴ
J-Pop。sowのプログレとのクールな距離感にもやもやしたあとのトクマルシューゴの好きあらば16分解像度で変則技を繰り出してくる姿勢には思わず笑みがこぼれてしまうニヤポロからのデュフポロ。もうJ-Popのリズムは全部トクマルシューゴ精神で構築されればいいのに。
→第一印象:4.1(5点満点)
【Time / Life】 Charlie Haden
Jazz。Charlie Hadenの死後、キース・ジャレットとのデュオを始め蔵出しなどいろいろリリースされたが、これがLiberation Music Orchestraとしての決定版か。
冒頭『Blue In Green』最終曲『Song For The Whales』2011年、Liberation Music Orchestraのライブ録音。その他3曲は2015年、Charlie Hadenの死後Carla Bleyら遺されたメンバーで録音されたもの。『Time / Life』は書き下ろしで、『Silent Spring』と『Útviklingssang』はカーラの過去作の新録。
- Carla Bley (piano, arr., cond.);
- Charlie Haden (bass on 1 and 5);
- Steve Swallow (el. bass on 2, 3 and 4)
- Michael Rodriguez, Seneca Black (trumpet);
- Curtis Fowlkes (trombone);
- Vincent Chancey (french horn);
- Joseph Daley (tuba);
- Loren Stillman (alto saxophone);
- Chris Cheek, Tony Malaby (tenor saxophone);
- Steve Cardenas (guitar);
- Matt Wilson (drums)
- Blue In Green
- Time / Life
- Silent Spring
- Útviklingssang
- Song For The Whales
Charlie Haden在りし日の2曲の演奏がバンドの熱量ソリストのテンションが素晴らしく、新録の3曲が霞んでしまっている感は否めない。チャーリーの葬式演奏の翌日に録音されたとされ、そういう鎮痛さがあらわれている。レコーディングにまつわる各種ネタバレをブックレットを読んで知ってしまった先入観の可能性はちょう高いが。最後『Song For The Whales』のもーれつな演奏で全ては救われる。
→第一印象:3.8(5点満点)
【Resonance】 Jakob Anderskov
Jazz。はじめましてかしら、ピアニストJacob Anderskovのリーダー作。ピアノ三重奏+ドラムという面白い編成。
ブログを書くにあたって【E.S.T. Symphony】(イカ【E.S.T.】)を聴き直していたときに記憶の中の印象よりだいぶよくないぞ?と思ったのは、プレイリスト上【E.S.T.】の次に並んでいた本作の好印象に引っ張られて記憶が混濁していたのかも。
管弦楽団総動員で派手めの【E.S.T.】と室内楽編成の本作はいろいろ好対照で面白い。かなり構築的だった【E.S.T.】に比べて極めて即興的。即興性が最も高いのはピアノとドラムで、弦楽三重奏団は近現代音楽からポピュラー・ミュージックまで幅広い作曲に基づいて和音やリフを提供している場面が多い。
久石譲が本気出したときの濃厚で味わい深い何かのワインのキャッチフレーズのような弦楽アレンジに、久石譲が本気出しても叶わないピアノインプロりょく、あと久石譲の人脈にいるかどうかは未知数な自由なドラム。
ごめんなさいね、テキストを書いている途中は2,3週間分のプレイリスト順にならんでいるんだけど、ブログを公開する直前にかなり順番を入れ替えちゃうので、プレイリスト順に進んでいるレビューの連続性も最終的にはシャッフルされてしまって、なんのこっちゃですよね。
→第一印象:4.2(5点満点)
【Binary】 Anna Webber's Simple Trio
Jazz。サックス奏者Anna Webberのリーダー作。
- Anna Webber: saxophone, flute, composer;
- Matt Mitchell: piano;
- John Hollenbeck: drums.
シンプルなトリオはパワー重視で疾走するかアヴァンギャルドに逸脱するか、どちらか極端に走ってほしいものですが、本作は後者に振り切ったひっじょーに現代音楽的なトリオ。
作曲は現代音楽っぽいしっちゃかめっちゃかさのなかに、B-Base的?な循環する構造があるんじゃないんじゃないんじゃないかんじゃいねなkなと予感(わたしは音楽に詳しくないので構造そのものは聞き取れない)がしてそれが好奇心高揚感にLAN直結する。だって曲名が『Rectangles 3A』とかですよ?こんなんぜったい円環の理に導かれてますやんきっと。実際そんなかんじだし。幾何学性が高いのにとてもグルービー。まさにKing Crimson。
また即興も非音楽的、もとい非調性的でスリリング。高品質、としか言いようのない佳作。
→第一印象:4.3(5点満点)
【Europa Rome】 Orchestre National de Jazz & Olivier Benoit
Jazz。はじめまして。中規模編成によるJazzオーケストラ作品。
- OLIVIER BENOIT direction artistique
- JEAN DOUSTEYSSIER clarinettes
- ALEXANDRA GRIMAL saxophones ténor et soprano
- HUGUES MAYOT saxophone ténor
- FIDEL FOURNEYRON trombone
- FABRICE MARTINEZ trompette, bugle, piccolo
- THÉO CECCALDI violon
- SOPHIE AGNEL piano
- PAUL BROUSSEAU Fender Rhodes, effets
- DIDIER ASCHOUR guitare
- SYLVAIN DANIEL basse électrique
- ERIC ECHAMPARD batterie
いきなりキメしかない変態的でアヴァンギャルドな作曲にぶりぶりのエレキベースがMAGMAめいて暴れるX-Legged SallyやFlat Earth SocietyもびっくりなX-Legged SallyやFlat Earth Society厨が大満足な音楽。という目玉商品は目玉だけに控えめで、主体は『Fracture』か『Moonchild』の中間部かというどろっとしたインプロで、その上に先の頭の可笑しいアンサンブルが挿入する感じ。最初のテンションで最初から最後までやったら聞き手の大脳が壊れて野菜700グラムどころじゃ回復しなくなっちゃうとは思いますが、こちらはすでに壊れていますのでガンガンやっていただいてかまわないのですよ。
→第一印象:4.3(5点満点)
【The Purity of the Turf】 Ethan Iverson, Ron Carter & Nasheet Waits
Jazz。ナウなNasheet Waits、レガシーなRon Carterの間をその中間あたりEthan Iverson(The Bad Plus)がとりなす不思議な組み合わせで録音されたアルバム。
- Ethan Iverson (P)
- Ron Carter (B)
- Nasheet Waits (Ds)
ロック&近現代音楽なEthan Iversonさんが、こんな極端な二人をいかにドライブしていくか、興味津々でききながら。ここでは、レガシーポジションのカーターが未来的な他の二人にひっぱられる感じでフリーなところはフリーに、古典的でオーソドックスなところで古来の本領を発揮してと、いいかんじで活かされ若返ったみたいでおもしろい。
→第一印象:4.0(5点満点)
【Swivel】 Honey Ear Trio
Jazz。はじめまして。Honey Earさん、じゃなかった、人たちのトリオ作品。
- Jeff Lederer: saxophones;
- Rene Hart: acoustic bass, electronics;
- Allison Miller: drums percussion;
- Kirk Knuffke: cornet (3,6,10).
ピアノレスのため音に空間が大きく、即興性の高さと相まってぽっかり空いたスペースに入り込んでぐねぐねと暴れるベースが自由すぎて目が離せない。ちょっとMAGMAっぽいリフが登場する『Squeaky Toy』がハイライト。
→第一印象:3.8(5点満点)
【Private Thoughts (feat. Frederick Hendrix, Josh Evans, Brad Williams, Brandon McCune, Alan Palmer, Chris Berger & Chris Beck)】 Bruce Williams
Jazz。サックス奏者Bruce Williamsのリーダー作。固定メンバーではなく、ゲストをとっかえひっかえて即席コボを組んでの録音。
1曲目はアグレ氏s部でスリリングな演奏、でも2曲めにムーディサイドに墜ちてこりゃあちょっとアレかなあと居眠りかけたら、3曲目で印象的なドリアン定形フレーズリフの上に5連くらいまで粘りっけのある群像劇が繰り広げられてちょっと目が覚める。その後も、ムーディサイドは退屈でアッパーサイドは悪くないという繰り返し。やっぱりJazzは常にハイテンションで攻めてる系がいいなあ。まだムーディサイドという教科書的なのを嗜むほどなんたらかんたら。というか、今おもすれーと刺激を感じているナウなやつも、いずれは教科書に回収されてしまう、というかすでに新しい教科書から生み出されているかもと思うと以下略ですが。
→第一印象:3.8(5点満点)
【E.S.T. Symphony (with Hans Ek, Dan Berglund, Magnus Öström, Iiro Rantala, Marius Neset, Verneri Pohjola & Johan Lindström)】 ROYAL STOCKHOLM PHILHARMONIC ORCHESTRA
Jazz。前に登場した(プレイリストの登場順:ブログの順序とはかなりことなるかも)Orchestre National de Jazz & Olivier Benoitとは違って、こちらはモノホンの管弦楽団+Jazzミュージシャン(たぶん)の組み合わせ。
- Royal Stockholm Philharmonic Orchestra
- Hans Ek / conductor
- Marius Neset / saxophone
- Verneri Pohjola / trumpet
- Johan Lindström / pedal steel
- Iiro Rantala / piano
- Dan Berglund / bass
- Magnus Öström / drums
フルの管弦楽団はやっぱりJazzと相性がよくないのでは。クローズ気味な和音や即興性と。本作は、Jazzというよりはソリストとしてのサックス奏者などを取り上げつつ、ドラムやシンセを団員に組み入れたオーケストラ作品として聴くといい感じである。とくにテルミンのようなシンセ・・・と思ったらpedal steelっぽい・・・が味わい深く、管弦楽団とのよい融合/対比になっている。音楽も比較的ドラマチックで架空のゲーム音楽/サントラとしても味わえる。ぼちぼちな作品。
→第一印象:3.8(5点満点)
【Miles Davis Quintet: Freedom Jazz Dance: The Bootleg Series, Vol. 5】 Miles Davis
Jazz。個人的なたしなみ枠。歴史考証的な音源集。これまでのシリーズと違って、演奏中断や、リハ、スタジオの会話シーンなどの蔵出しが多く、純粋に音楽アルバムとして聴くのはちょっとむずかしいしろもの。
ソンジャネ