2016年1月に聴いた(2):Antoine Pierre/RM jazz legacy/Bill Stewart/George Adams/Renaud Garcia-Fons & Dorantes/The Incognito Traveller/David Bowie/上坂すみれ/植田典子トリオ/ゲスの極み乙女。/MEGADETH/AOKI takamasa × Ichiro Yamaguchi/柚楽弥衣/BiSH/まじ娘/Anchorsong
なるべくネタバレ回避しようとしていますが、意図せず含まれているかもしれません。ネタバレがお嫌いな方はブラウザをアンインストールしてください。
- 【Urbex】 Antoine Pierre ★オススメ★
- 【RM jazz legacy】 RM jazz legacy ★オススメ★
- 【Space Squid】 Bill Stewart
- 【Finest】 George Adams
- 【Paseo a Dos】 Renaud Garcia-Fons & Dorantes
- 【Movements of Migration】 The Incognito Traveller
- 【Blackstar】 David Bowie
- 【20世紀の逆襲】 上坂すみれ
- 【デビュー】 植田典子トリオ
- 【両成敗】 ゲスの極み乙女。
- 【Dystopia】 MEGADETH
- 【REFLECTS】 AOKI takamasa × Ichiro Yamaguchi
- 【惑星JUWEL Beyond the Galaxy】 柚楽弥衣
- 【FAKE METAL JACKET】 BiSH
- 【Magic】まじ娘
- 【Ceremonial】 Anchorsong
第一印象点はだいたい1.0(そっとじ)、2.0(いまいち)、2.5(ふつう)、3.0(よい)、4.0(とてもよい)、4.5(傑作)みたいなフィーリングです。オススメ印はシェフが気まぐれているとお考えください。
【Urbex】 Antoine Pierre ★オススメ★
Jazz。はじめまして。ドラマーAntoine Pierreのリーダー作。
- Antoine Pierre Drums, Compositor
- Bert Cools Guitar
- Bram De Looze Piano
- Steven Delannoye Clarinet, soprano sax, tenor sax
- Jean-Paul Estiévenart Flugelhorn, Trumpet
- Fréderic Malempré Percussion
- Toine Thys Clarinet, Compositor, soprano sax, tenor sax
- Félix Zurstrassen electric bass, Double Bass
フィーチャリングで選ばれた人の音楽性に引っ張られるのか(違うのか個別にフィーチャリングで選ばれた人をググべれば傾向がわかるかも?)、ベタなフュージョン風、意識高い系コンテンポラリー系、ジャズ・ロック風、今Jazz(プログレ志向)、今Jazz(グラスパー志向)、からミニマルまで高レベルな七変化するおもしろ盤。
→第一印象:4.3(5点満点)
【RM jazz legacy】 RM jazz legacy ★オススメ★
Jazz。
DJ大塚広子の徹底した音源追求から遂に生まれ出た!
今JAZZ✖レアグルーヴ!日本トップのジャズマンが集結した、かつてなかった本気のGROOVYサウンド!サンプリング感覚のグルーヴで、一流のジャズマンが適材適所の色彩をつくる。
それがRM jazz legacy。
メンバー:
類家心平氏がからんでいるプロジェクトにはハズレ無しの法則があるかないかは知らないが、氏に加えて坪口昌恭氏が(たぶん)ブレーン的なポジションで関わっていれば鉄板じゃないでしょうか。アコースティックとエレクトリックの、グルービーと繊細さと構築と脱構築のバランス感覚がすばらしい。でもなんだかんだでアコースティックで繊細で脱構築よりの『Footprints』にときめきます。坪口先生がゴッド。
→第一印象:4.4(5点満点)
【Space Squid】 Bill Stewart
Jazz。ドラマーBill Stewartのリーダー作。
- Bill Stewart (ds)
- Seamus Blake (ts,ss)
- Bill Carrothers (p)
- Ben Street (b)
King Crimsonの【Islands】と同じく、いて座三裂星雲のジャケット画像だったのでつい。中身はか保守的なコンテンポラリー系。憂鬱めなピアノと虚ろな明るさサックスの対比が奇妙。ドラムは繊細に刻み煽る。
→第一印象:3.6(5点満点)
【Finest】 George Adams
https://itun.es/jp/HarB_itun.es
Jazz。サックス奏者George Adamsの'80年代前半に吹きこまれた音源のコンピレーション。Bill Stewartから続けて聞くと同じJazzでもぜんぜん違うと驚くことうけあい。テナーがバリバリ吹くコルトレーンやサンダースから連なるいわゆるスピリチャル系。ごきげんであります。
→第一印象:3.8(5点満点)
【Paseo a Dos】 Renaud Garcia-Fons & Dorantes
Jazz。ベーシストRenaud Garcia-Fonsのリーダー作。ぐぐってもめぼしい情報が出てこないので何者か分からないグループですが、双頭リーダーっぽいピアノに、アコースティックギター、ドラムスを従えた編成。
この前ベーシストのリーダー作でスタンリークラークの【D-Stringz】がとてもよかったのですが、それとはまた別のタイプでとてもよい作品。前者は他のメンバーを活かすプレイで、こちらは自分がぐいぐい前にでるプレイ。前者は指弾きが主体で、後者は弓弾きを多様。前者はオーソドックスなJazzで、後者はスパニッシュ強め。
→第一印象:4.1(5点満点)
【Movements of Migration】 The Incognito Traveller
Jazz。メキシコ出身 Enrico GianfranchiとCésar Juárez-Joynerのデュオユニット、The Incognito Travellerの作品。いまどき流行りの、ヒップホップとJazzがとろけてミックスされた音楽。配分塩梅はヒップホップインスト側に大きく振れている。私としてはJazz側に振れている方が好きなのでちょっと刺激不足。
→第一印象:3.5(5点満点)
【Blackstar】 David Bowie
Pops。ボウイといえば、Brian Enoと組んだベルリン期とよばれる'76~'79年作品には興味を惹かれていたが、それ以外については軽い音楽のポップスターという印象でほとんど聞いていないボウイ。前作【The Next Day】はそんなポップスタートしての集大成のような作風。そして遺作となった本作は一変して、Flying Lotusかなにかになろうとしているかのような、Jazz/Hip-Hop(かどうかはわからない)/Popsトライアングル。意欲作。
→第一印象:3.7(5点満点)
【20世紀の逆襲】 上坂すみれ
J-Pop。声優で歌手の上坂すみれさんの2ndアルバム。良曲佳曲珍曲直球変化球ボーク暴投暴動扇動てんこもりでごっちゃもり。アルバムとしての輪郭が爆発四散しているように感じるのは、King Crimsonの【Lizard】式ダイエットなのか(「聞き続ければ、24回目には打ちのめされる」要出典)、あるいはタイアップとか主題歌とか他メディア側の主体に寄り添わなくてはいけない事情もあるのかないのか。話かわりまますが「寄り添う」という表現が一時期流行っていたような気がします。類例に「熱量」とか「刺さる」とか。テッテテキに固めたコンセプト作をミニアルバムでもよいでのでチャレンジしていただきたく熱望。
→第一印象:3.8(5点満点)
【デビュー】 植田典子トリオ
Jazz。はじめまして。ベーシスト植田典子のリーダー作。Renaud Garcia-Fons & Dorantesの話でいうとスタンリー・クラーク型ということになるかしら。技量の高いストレートなトリオですが、編曲的、構造的に何か1曲これはたまらん・興味深いといったツボには入らず。RM jazz legacyの話で言う『Footprints』みたいな、このネタをうちらはこう料理するというプレゼンテーション的曲を聴いてみたいところ。。
→第一印象:3.4(5点満点)
【両成敗】 ゲスの極み乙女。
J-Pop。ゲスカワの2ndアルバム。1stアルバムは未聴。たまたま街角のカフェで聴いた、いやYoutubeで聴いた『私以外私じゃないの』のコマーシャルで流れているとこ以外が軽くプログレで驚きまして。それ以来こっそり注目していまして、いよいよ待望の新作リリース。クールなリズム隊、リック・ウェイクマンの華やかさかキース・エマーソンの力強さを添えれば化ける寸前のキーボード、装飾的なギター、コマーシャルなソングでバンドの活動継続を支える(たいせつ。コマーシャルなソング部分が苦手だけど、音楽性重視すぎて売れずに活動できないより遥かによいから)ボーカルの5人のちからが合わさって・・・!コマーシャルなソングはおいといて、アルバム収録曲ではプログレ趣味全快の珍曲とか飛び出しちゃんじゃないかなああ・・・!!!
・・・結論はそうでもなかった。コマーシャルなソングの地続きが続いていてやや単調。突然変異する【Mr.ゲスX】がさらにアルバム全編に拡散したらベキ子の件も水に流せたのに。ただ、意外と嫌いじゃない、と、そう申し上げておきます。ベッキーさんについては、かつて「裏CDTV」で魅せたYOU THE ROCKとの驚異的なコンビネーションを引っさげてカムバックしていただきたく期待。
→第一印象:3.5(5点満点)
【Dystopia】 MEGADETH
HR/HM。MEGADETHの最新作。ちょうどこの先にDream Theaterが新作をリリースし、それはポストアポカリプスを舞台にしたロックオペラになるというので、本作DystopiaはDream Theaterを目前に耳をメタルに慣らしておくための前座/噛ませ犬として聴いてみる次第。保守本流のメタルはあまり聴いてなかったりでMEGADETHをアルバム単位で聴くのは実はこれが初めて。意外といける。プログレ度は極めて希薄ながら、メタルらしい荒々しいリフを中心とした楽曲がずらりと並んでいて、変に叙情的・ポップな曲で白けるみたいなこともなくてよい。
→第一印象:3.7(5点満点)
【REFLECTS】 AOKI takamasa × Ichiro Yamaguchi
J-Pop。テクノ。テンションの低い【New age of erth】【Inventions for electric guitar】として非常に優秀。テクノはテクノでも行進曲型のテクノ(1小節4連をガンガン強制してくるタイプ)じゃないのはよい。ググるところによると、ハイソなファッションショーで使われたとか。ファッションショーと行進曲は相性が悪いのでなっとく。ダミーヘッドマイクで録音したのか、臨場感高すぎの音像で鳴るシャッター音。だれだ電車の中でスクショ撮りまくってるやつは(スクショでシャッター音ならさないで欲しいという話はさておき)と思ったらこの曲だったり、また例の曲かとおもったらほんとに電車の中でスクショ撮りまくってるやつだったりととても紛らわしい2週間でした。紛らわしさが晴れたとしてもなんら変わらないのだけれども。
→第一印象:3.0(5点満点)
【惑星JUWEL Beyond the Galaxy】 柚楽弥衣
J-Pop。はじめまして・・・?
1996年に発表した『Goddess in the Morning』(新居昭乃との同名ユニットによるミニアルバム)で、圧倒的な歌声と歌唱法に加え、スケール感のある斬新な音世界を提示し、多くのリスナーの心を掴んだ柚楽弥衣。
http://magnet-biosphere.com/wakuseijuwel
ああ!Goddess in the Morningとても懐かしい!この週間、本作がかかるたびに、近年のJ-Popにはない広大過ぎる音楽にこやつはいったい何者なんだ・・・!!!と驚愕していたのだけど、ブログを書くにあたってググってなっとく。ちなみにGoddess in the Morningは「新居昭乃の諸作品」というカテゴリーではさほど上位ではなかった気がします。もう20年も勃っているので、20年前の感性と今ではぜんぜん違う評価を下しそうではあります。
・・・Goddess in the Morning、Apple Musicで聞けるんだ、まじあっぷるゴッド。20年前のCD*1を発掘しようとホコリまみれにならずにすむなんて。
→第一印象:4.2(5点満点)
【FAKE METAL JACKET】 BiSH
J-Pop。
前作は、Babymetalが半分企画物の1stアルバムで大ブレイクし、ワールドツアーなどで飛び回り「本格派」アルバムの製作どころじゃない間隙を縫って発表されたメタル寄りな作風だったと記憶しております。前作を聞き直していないので、もしかしたら別作品と混同しているかもしれませんが。続く本作では、ややポップス寄りにシフトし、半分企画物の1stアルバムで大ブレイクに伴うワールドツアーなどが一段落して制作される「本格派」アルバムを迎撃する体制でございましょうか。前作を聞き直していないので、もしかしたら別作品と混同しているかもしれませんが。それはさておき、私としてましてはメタル音楽にはMETALLICAの【St. Anger】のようなカラッカラでストイックなのがツボなので、Pops化はちょっと残念。ここまで書いて、多分「前作」といっているのは別のミュージシャン疑惑が高まっている。あまりに思い出の中のメタリック「前作」と、ともすればブルーハーツくらい牧歌的な本作とは音楽性が違いすぎるから。はて、なんだろう。
→第一印象:2.5(5点満点)
【Magic】まじ娘
J-Pop。はじめまして。シンガー、まじ娘(まじこ)の2ndアルバム。さまざまなミュージシャンから楽曲を提供されつつ、自身でも作曲してゆくのはやなぎなぎさんにも似たスタイル。トラックリスト*2を見ながら聴き比べていると、次回作は前編本人の作曲でいったほうがよいんじゃないかと思っている。ただ、この惑星のバンアパの人は、相変わらず外に楽曲を提供するときはよい仕事をする。
→第一印象:3.4(5点満点)
【Ceremonial】 Anchorsong
J-Pop。はじめまして。Apple Musicのエレクトリックカテゴリーの新譜をチェック(新着アルバムを片っ端から2,3曲、10秒くらいずつ試聴して、ひっかかるものがあったらプレイリストに追加していく作業)していて引っかかるものがああったのでちょっとググってみたところ、
繊細さと大胆さを持ち合わせたメロディとオーガニックなリズムが同居することで露わになるアンカーソング独自の世界観。その開放的な音は、伝統的なアフリカのリズムとともに肌触りのいいタペストリーのように織り成され、リスナーを新たな世界へと連れて行ってくれるだろう。
http://www.clubberia.com/ja/music/releases/4687-Ceremonial-Anchorsong/
とあり、「伝統的なアフリカのリズム」にぐっときてプレイリストに入れた次第。*3
私の「伝統的なアフリカのリズム」の認識は以下のとおりで、
- 全員(各パート)が「1小節」(3秒前後の周期性)を共有している
- 「1小節」は12分割グリッドがベース
- 12分割グリッドを4分割した4拍子(1拍はグリッド3つ)のリズムをベースとする
- 12分割グリッドを3分割した3拍子(1拍はグリッド4つ)のリズムで取る人も現れる
- 16分割グリッドも同時に走りがちで、つまりしょっぱなからポリリズム状態になりがち
- 演奏が乗ってくると、各奏者は12 or 16分割グリッドから逸脱して訛りっていき、さらなるポリリズムが生じる
- 訛りから生じたポリリズムは非構造的(非計画的?)なので、全体としてはかなりカオスな印象になる
- アフリカのリズムきもちいのしゅごいいいいと興奮する
これをテクノ・ミュージックからアプローチする手法として想像できるのは
- 非構造(非計画)的手法
- 12分割グリッドにベースとなるパートを打ち込む
- パットやキーボードによる演奏で訛りを表現する
- 構造(計画)的手法
- 12分割グリッドにベースとなるパートを打ち込む
- 16分割グリッドのパートを打ち込むetc
- 20分割グリッドのパートを打ち込むetc
- 任意音符の5連、7連などアクセントを打ち込む
- サンプリング
- 12分割グリッドにベースとなるパートを打ち込む
- 分割数の異なる or なまっている状態の演奏サンプリングをのせる
その結果、まさかテクノでアフリカのリズムきもちいのしゅごいいいいってなるとはしゅごいいいいいいと二倍興奮する。さて、本作は・・・?(ネタバレを含むので以下省略)
(ここにネタバレ)
本作は【Shangaan Shake】的な位置づけでしょうか?
→第一印象:1.0(5点満点)
イカソオンジャアネ
*1:20年前のシロモノとなるとさまざまな経緯で現在のiTUnesライブラリに入ってないことが多い。iPod/iTunesが出るのはまだ先だし、iPodもしょっちゅうデータが飛んだりしたので。
*2:オフィシャルのトラックリストにパーマリンクが貼れないんだがこれがクソか
*3:ちなみに、通常「ひっかかるものがあった」ら即座にプレイリストに入れてリスニングのターンに入ります。ミュージシャン/アルバムについてググるのは、脳内でレビュー記事が書き終わって、リアルテキストを書くにあたって「ジャンル、なんとか系ミュージシャンなんとかの新作」みたいな基本情報や、参考音源動画を記載するための行為になります。はじめましての音源はなるべく事前情報なしで聴いてあとからググったほうが面白みがあります。