2015年9月に聴いた(後半):Vahagni/Tomeka Reid/John Zorn/Christian McBride Trio/Christian Scott aTunde Adjuah/Girls in Airports/Jen Shyu & Jade Tongue/John McLaughlin/Kendrick Scott Oracle/Sons Of Kemet/Masayoshi Fujita/Trident/志方あきこ/Makoto Kitayama & Shingetsu Proj
9月の後半です。更新テンポが1ヶ月遅延しておりますが、まだまだイカが忙しいため、ヒトコトコメントでお送りいたします。本シーズンはオススメが多いです。よい半月でした。
オススメ印はシェフが気まぐれているとお考えください。
第一印象点はだいたい1.0(そっとじ)、2.0(いまいち)、2.5(ふつう)、3.0(よい)、4.0(とてもよい)、4.5(傑作)みたいなフィーリングです。
- 【Imagined Frequencies】 Vahagni ★傑作★
- 【Tomeka Reid Quartet】 Tomeka Reid ★オススメ★
- 【The True Discoveries of Witches and Demons】 John Zorn ★オススメ★
- 【Live at the Village Vanguard】 Christian McBride Trio
- 【Stretch Music (Introducing Elena Pinderhughes)】 Christian Scott aTunde Adjuah
- 【Fables】 Girls in Airports
- 【Sounds & Cries of the World】 Jen Shyu & Jade Tongue ★オススメ★
- 【Black Light】 John McLaughlin
- 【We Are the Drum】 Kendrick Scott Oracle ★オススメ★
- 【Lest We Forget What We Came Here to Do】 Sons Of Kemet
- 【Apologues】 Masayoshi Fujita
- 【Blue Destiny】 Trident
- 【をかし】 志方あきこ ★オススメ★
- 【Cold Sleep】 Makoto Kitayama & Shingetsu Project
- 【シアワセのクツ】 nano.RIPE
- 【MAZE】 Nothing's Carved In Stone
【Imagined Frequencies】 Vahagni
Jazz。初めまして。ギタリストVahagniさんのリーダー作。
アルメニアの芸術一家で生まれ、幼少時にLAへ移住。ギタリストであった父親の影響で、10代からフラメンコに目覚める。スペインに渡り、パコ・セラーノ、そして大御所マノロ・サンルーカルに師事。様々なコンテストに参加しながら伝統的なフラメンコ・ギター奏法を極める。LAに戻ると、ジャズやラテン、さらにルーツであるアルメニア伝統音楽とも融合させた美しくも洗練されたスパニッシュ・ギターの世界を構築。
http://www.hmv.co.jp/artist_Vahagni-Vahagn-Turgutyan_000000000618540/item_Imagined-Frequencies_6541697
Tigran Hamasyan、Vardan Ovsepianに続くアルメニアからの第三の刺客。当方にとって。単にストレートなスペイン風じゃなくて独特の霧がかった印象があったのは、そして言われてみれば時折入るコーラスがTigran Hamasyanっぽいのはアルメニアという共通点。よく見たら1曲「feat. Tigran Hamasyan」な曲があってさらなる納得感をエました。しかも神曲だし。1曲1曲がコンパクトすぎて、もっと、そのネタでもっともっときかせてくれよー、と刹那の快楽が苦楽共存しすぎてたまらない。
→第一印象:4.6(5点満点)
【Tomeka Reid Quartet】 Tomeka Reid
Jazz。はじめまして。チェリスト(チェロを弾く人)Tomeka Reidがリーダーを務めるカルテット作。チェロは構造的に自由さを誘発する楽器なのかしら。ヴァイオリンはいくら自由っぽくてもクラシックの延長上の変奏上に聞こえるのに対し。平均律の律と律の間が大きいからとか。そういう意味ならコントラバスのほうが大きいが、小回り性能とのバランスでチェロが上回るとか。
単純に最初のソロがチェロ(かな?とにかくロン・カーターのソロ)だったり、ピアノ不在のJazzってことで(とはいえTomeka Reidのほうはギターが参加されています)、Eric Dolphyの【Out There】を思い出す逸品。全体長めの14拍の『Super Nova』がお気に入り。
分島花音にもソロパート方面でがんばってほしい(謎の被弾)。新曲【君はソレイユ】2015年11月25日発売です(謎の宣伝)。
→第一印象:4.4(5点満点)
【The True Discoveries of Witches and Demons】 John Zorn
Rock。John Zornが作曲/指揮するオルガン・ロックトリオ。ゲストにMarc RibotとTrevor Dunn。
http://www.tzadik.com/index.php?catalog=8335
- John Medeski: Organ
- Kenny Grohowski: Drums
- Matt Hollenberg: Guitar
- Marc Ribot: Guitar
- Trevor Dunn: Bass
ジョン・ゾーンらしい作曲/即興、暴力/冷静、クリーン/ノイズの諸要素がめまぐるしくてハードなロック。J-Popでミクスチャーロックとプロモートされている音楽は、確かに何かと何かがカクテルされているけれど、アルバム全編がカシオレみたいなパティーンだらけじゃないですか。その点、John Zorn先生のミックス/カクテル感覚はモノホンでありんす。
本作の主人公であるオルガンはちょっと置いといたとして、'90年代以降のKing Crimsonは、ほんとうはこういう勢いが欲しかったもんですよね、とIFは禁句と歴史に言います。激しくめまぐるしくお送りしてきた最後2曲が、サイケな曲と、フリップ師じみたサスティーンギターが心地よいミドルテンポの曲でしっぽり心憎い。
→第一印象:4.4(5点満点)
https://itunes.apple.com/jp/album/true-discoveries-witches-demons/id1025197821?uo=4&at=10lqt2【Live at the Village Vanguard】 Christian McBride Trio
Jazz。ベーシストChristian McBrideのトリオ作。
- Christian McBride (b)
- Christian Sands (p)
- Ulysses Owens, Jr. (ds)
ノリより、アレよし、なんとかよしの3人組ではありますが、プログレ厨的にはちょっと刺激が足りないかしら。
→第一印象:3.4(5点満点)
【Stretch Music (Introducing Elena Pinderhughes)】 Christian Scott aTunde Adjuah
はじめまして、かな。Jazz。トランペッターChristian Scottによるリーダー作。Miles Davisの遺作【Doo-Bop】をナウな現代で行ったようなJazz。ブラックミュージック風なものから、Fusion風、Jazz-Rock風までそれなりの幅が広く、トランペットプレイも手数は少ないながらもキレがあって好み。フルートが古めかしさを演出するのもよいミックス。
- Christian Scott(tp)
- Lawrence Fields(p)
- Braxton Cook(sax)
- Elena Pinderhughes(fl)
- Kris Funn(b)
- Dominic Minix(g)
- Joe Dyson(ds)
→第一印象:3.9(5点満点)
[asin:B01398OEN8:detail]
https://itunes.apple.com/jp/album/stretch-music-introducing/id1024394279?uo=4&at=10lqt2
【Fables】 Girls in Airports
はじめまして。Jazz。デンマークのグループGirls in Airportsによるアルバム。
- MARTIN STENDER saxophone
- LARS GREVE saxophones and clarinets
- MATHIAS HOLM keys
- VICTOR DYBBROE percussion
- MADS FORSBY drums
雰囲気は動画を見ていただければ、と思います。憂鬱な空気に包まれた音楽。ロックじゃないANEKDOTEN。ANEKDOTENほど根暗じゃないANEKDOTEN。iTunesの分類で「ジャズ」になってましたが、「オルタナティブ」においてあっても不思議じゃない雰囲気。
→第一印象:3.8(5点満点)
【Sounds & Cries of the World】 Jen Shyu & Jade Tongue
Jazz。たぶんはじめまして。
Jen Shyu is an experimental jazz vocalist, composer, multi-instrumentalist, dancer, producer, and Fulbright scholar.
http://rubinmuseum.org/events/event/jen-shyu-sounds-cries-of-the-world-09-18-2015
な、Jen Shyuさんのグループによる作品。これはなかなか。フリー・ジャズ&ボーカル。ひたすら即興による混沌と緊張感の持続。
- Jen Shyu: voice, piano, lute, zither gong, idiophone;
- Ambrose Akinmusire: trumpet;
- Dan Weiss: drums;
- Mat Maneri: viola;
- Thomas Morgan: bass.
関連:
Jen Shyu and Jade Tongue: Sounds and Cries of the World album review @ All About Jazz
→第一印象:4.2(5点満点)
[asin:B0158BCN9Q:detail]
https://itunes.apple.com/jp/album/sounds-cries-of-the-world/id1037399635?uo=4&at=10lqt2
【Black Light】 John McLaughlin
Jazz。ギタリストJohn McLaughlinが「4th Dimension」なるバンドでリリースした新作。どうしようもなく古いスタイルだけどどうしようもなくバカテクな集団がやってしまえば吹き飛んでしまう。『360 Flip』のようにリズムにテクノ機材を入れた構成はPat Mastelotto在籍時のKing Crimsonを思い出したり忘れ去ったり。
→第一印象:4.0(5点満点)
[asin:B015NMTCFI:detail]
https://itunes.apple.com/jp/album/black-light/id1029353876?uo=4&at=10lqt2
【We Are the Drum】 Kendrick Scott Oracle
JazzドラマーKendrick Scottのリーダー作。John McLaughlinに続いて聴くと、時代の流れが水量の多い
水洗便所じょばあああ。古いFusionと、今のFusion。Fusionといっても、Robert Glasper流のブラックなFusion。クールさを装いながら神業をカクシアジ程度に練りこんでくるスタイル。
−Kendrick Scott (ds)
- Taylor Eigsti (p,fenderrhodes)
- Michael Moreno (g)
- John Ellis (sax,bass clarinet)
- Joe Sanders (b)
→第一印象:4.2(5点満点)
https://itunes.apple.com/jp/album/we-are-the-drum/id1030589834?uo=4&at=10lqt2【Lest We Forget What We Came Here to Do】 Sons Of Kemet
Jazz。はじめまして。謎のグループSons Of Kemet。
- SHABAKA HUTSHINGS saxophone, clarinet
- THEON CROSS tuba
- TOM SKINNER drums
- SEB ROCHFORD drums
という珍しい編成。ツインドラムがドタパタカランコロンと砂利道を敷いてサックス/クラリネットがときどき転けそうになりながら練り歩く。チューバの足取りは軽やかで堅実。これはドコ風?と言われるのでしょうか。中東?アフリカ?東欧の何処か?中南米感要素は少なめ。
The bass rhythm on that track is based on a traditional Barbadian style called tuk, with a bass and snare drum;it's similar to fife music from New Orleans, but there are also links to West African roots, and Western military band music.
https://sonsofkemet.bandcamp.com/album/lest-we-forget-what-we-came-here-to-do
アッハイ。バルバドス系の「tuk」、ニューオリンズ、西アフリカ、軍楽隊の音楽。
▼How to play Tuk Band music of Barbados.
あーなるほど。
→第一印象:3.8(5点満点)
https://itunes.apple.com/jp/album/lest-we-forget-what-we-came/id1017382320?uo=4&at=10lqt2【Apologues】 Masayoshi Fujita
J-Pop。はじめまして。ビブラフォン奏者マサヨシ・フジタのリーダー作。
ヴィブラフォンの響きに呼応するかのように、ヴァイオリン/チェロ/フルート/フレンチ・ホーンがあるべき場所で鳴らされたマサヨシ・フジタの最新作が完成。
http://www.inpartmaint.com/site/14014/
ゆーったーりとしたイージー・リスニング寄りの音楽なのに聴き応えのフックがあるのは、ミニマルミュージックを作曲中にうっかり手癖で叙情味を出してしまった久石譲みたいなポップさを兼ね備えているから、か。
→第一印象:4.0(5点満点)
[asin:B0110CP380:detail]
https://itunes.apple.com/jp/album/apologues/id1016910325?uo=4&at=10lqt2
【Blue Destiny】 Trident
声優ユニット、Tridentの新作。
新春ブログ第3弾としてベストソングを物色しているがベタ情報量皆無になりそうなので取りやめつつ四天王は東山奈央/種田梨沙/早見沙織/沼倉愛美さんで決まりだなと思いつつじゃあJazz部門に着手しますかね。
— ふらくやん (@derutcarf) 2015年1月3日
という沼倉愛美さんを擁する。Tridentは作編曲が少しトニックから浮いたモーダルなテクノなミュージックでミーがベリーライクなタイプであります。特定のアニメ番組から生まれたユニットが、テレビシリーズ放送終了後も継続的に活動されるのはありがたい話であります。sweet ARMSみたいに。
赤い衣装の姐さんが沼倉さんです。
→第一印象:3.8(5点満点)
【をかし】 志方あきこ
シンガーソングライター、志方あきこさんの最新作。徹底的な和風ポップスに、重厚なコーラス、めまぐるしい展開、東洋のMAGMAかYESかADIEMUSかと呼ぶにふさわしい快作。
https://www.youtube.com/watch?v=tnVK44Dg1rA
→第一印象:4.0(5点満点)
【Cold Sleep】 Makoto Kitayama & Shingetsu Project
プログレ。
日本の抒情美を美しきシンフォニック・サウンドで歌い紡ぐ会心作『北山 真with真○日(シンジツ)/冷凍睡眠(COLD SLEEP)』発売決定!! ジャパニーズ・プログレッシヴ・ロック・バンド:新月のメンバーであり、唯一の公式作『新●月』('80年)で日本人ならではの抒情的世界観を歌い紡ぎ強烈なインパクトを残したヴォーカリスト:北山 真。'98年作『光るさざなみ』以来実に17年ぶりとなる、新たに“北山 真with真○日(シンジツ)”名義での最新作『冷凍睡眠(COLD SLEEP)』がついに完成!!
http://www.amazon.co.jp/gp/product/B010P8OSUO/ref=as_li_tf_tl?ie=UTF8&camp=247&creative=1211&creativeASIN=B010P8OSUO&linkCode=as2&tag=fracturedsite-22
Genesisを下敷きに日本風の叙情性を積み上げた感のある新月、本作も新月の同軸上にある音楽となっております。
→第一印象:3.3(5点満点)
https://itunes.apple.com/jp/album/hikaru-sazanami/id342820314?uo=4&at=10lqt2
【シアワセのクツ】 nano.RIPE
J-Pop。でました。nano.RIPEさんのベストアルバム。nano.RIPEを評するときはいつも同じようなことを繰り返してきました。つまりこの先どんなアルバムもベストアルバムもB面曲集のような編集盤も、すべて均一で高品質で遜色ないアルバムになるだろうと。そして、『リップシンク』の《花咲くいろは》劇中バージョンを普通の手順で手に入れられるようリリースしてほしいと。というわけで、確認するまでもなく、確認してもなお、第一印象点は3.5。
『リアルワールド』を推し。
『All You Need is Love』式のイントロが秀逸だから。
→第一印象:3.5(5点満点)
【MAZE】 Nothing's Carved In Stone
J-Pop。元ELLEGARDENから派生したバンドの「もうひとつのほう」Nothing's Carved In Stoneの最新アルバム。シングル『Spirit Inspiration』や『Out of Control』でみせてくれたプログレっぽさはどこへやら。もう、町田のヤンキーさんのベースに耳をすませその上にどんな音楽が乗れば理想だろうかと妄想を羽ばたかせて旅愁にひたるしかない。
→第一印象:1.5(5点満点)
いか、そんじゃーね。