「FLASH BACK」「capsule rmx」capsule「BEAM」MEG
どいつもこいつもGAME、GAME、ゲーム、ゲームな世の中ですが、先週はずっと社員が多忙でレコード屋にいけず辛酸なめまくり子ちゃんでした。ようやく先日購入してさらりと聴きましたが、それについて触れる前に昨年の関連作品を寸評で復習しておきます。
「FLASH BACK」capsule
capsule の最新作オリジナルアルバム 10 枚目。
いつもの短いインストに続くタイトル曲「FLASH BACK」はごりごりのインスト。F-ZERO のステージ曲だったらかなり気持ちよくブーストを噴かしてドリドリできるんじゃないか(「MUSiXXX」も F-ZERO 向きだ)。これがキラーチューン。
今までの「Sugarless GiRL」や「jelly」やあるいは「グライダー」のような歌モノがナンバーワンじゃない。読者サービスで1曲入れることは造作もないはずなのにあえて入れてこないのがこの作品へのこだわりか。こしこロイドが活躍する場が少ないのはやっぱり寂しい。アルバムトータルとしての起承転結物語も放棄したかのようにぶっきらぼうに曲が並んでいて、それもやっぱり意図的なんだろうなあ。売り物に出さなくてもローカルで量産して「現場」で使いまくればいいんじゃない?と思いつつ、それでも心地よいトラックずらり。
▼YouTube - Flash Back Capsule Album PV
アルバムPV。
お気に入り度:70
これ「FLASH BACK」好きなら名盤だから聴いた方がいいよ。
▼YouTube - GC F-Zero GX - Intro
どう?ぴんとこない?
「capsule rmx」capsule
capsule のリミックスアルバム。
「リミックス」という響きだけでずっと買うのを遠慮していた。リミックスっていうと、苦いリミックスを思い出すから。シングルのおまけについてくるお得感のだめだけのリミックス。あるいはシングルを売るためか、アルバムで差し替えられる音楽的必然性の感じられない劣化リミックス*1。「リミックス」=「綿密に組み上げられた精巧な細工である原曲をトンカチで砕いてまたボンドで固めつつ不可逆に壊れた部品を安物の素材で補強してハリボテる行為」と暗い印象を植え付けたのは J-Pop 全盛期が遺したの負の側面*2。
その点、このリミックス曲集はよくできている。リミックスというよりこれは「再編曲」というとしっくりくる。ここ最近4枚のアルバムの代表曲を引っ張り出してきて、今の骨太な気持ちで編曲しなおされた曲たち。capsule の楽曲はもともと勢いやっつけ仕事で編曲されたようなものだから、ここでもう一回やっつけ仕事で編曲してもクオリティが落ちないというマジックが働いているかのよう。もちろんとても良い意味で。
capsule の最新作に比べて、こっちはちゃんとアルバムの流れが考えられていてよい。
「Sugarless GiRL」が目玉。あとは「L.D.K」のイントロはやっぱり盛り上がるなあとか、「CrazEEE Skyhopper」はあんまりリミックスした意味なくない?とか、「グライダー」は原曲が完璧なだけに超えることも斜めを行くこともできなかったなあとか。
▼YouTube - Capsule - Sugarless Girl rmx
お気に入り度:73
「BEAM」MEG
デルモで歌手の MEG のアルバム。中田ヤスタカ作編曲プロデュース。
ごらんのように、肉感的なアイコンである MEG と中田ヤスタカの相性どうなのよという興味をそそる組み合わせ。作詞のほとんどを MEG 自信が手がけ、それはモジモジした中田ヤスタカの歌詞とは違ってとてもストレートだ。歌声も艶があって癖も個性もあるから、中田ヤスタカのボコーダー処理に向かないんじゃないとか。というわけで、ブレス音をどれだけ残しているか、ボコーダー処理を行っているか、ボーカルの音の立ち方はどうか、といくつかの観点をもうけて1曲1曲味わうとおもしろいでしょう。昨今お得意のゴリゴリブリブリは唯一1曲「Model」くらいなもんで、あとは比較的ポップソングに徹していて、さすがに人様名義では遠慮したのかしら、それともあえてチャレンジしたのかしら。
「OK」はそういう特殊な状況だからそこ生まれたようなとてもよき曲。
先のリミックスアルバムの「Sugarless Girl」みたいに、ボーカルフレーズのケツを引っ張ってボコーダー処理でソロを弾かせる演出が施された「Romantika」がちょっとしたお気に入り。
お気に入り度:63
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