「Duet」Chick & Hiromi
御大チック・コリアと新鋭上原ひろみが、2007-09-24〜26 の三日間に渡ってブルーノート東京で行ったデュオコンサートのライブ録音盤。前作 Hiromi’s Sonicbloom 名義の「タイム・コントロール (通常盤)」が正直いまいちだった*1のに比べて、こちらは大正解。御大との化学反応が発する光のまばゆさは音楽の後光。第一印象「★★★★★」。
2枚組み全12曲の内訳は以下のとおり。
http://blog.goo.ne.jp/narymusic/e/e9da539cbf9e726bdf51221fcef42bae
- チック曲
- 「Humpty Dumpty」
- 「Windows」
- 「Children's Song ♯12」
- 「Concierto de Aranjuez/Spain」
- 上原曲
- 「Deja Vu」
- 「Old Castle,by the middle of a forest」
- 「Place To Be」
- その他
これはいいよ。とてもいい。
2人のピアニストがじゃれあうかのごとく丁々発止のプレイを繰り広げる。集中して聴くといい。左のチック、右のひろみが音楽を自在に操って感応しあうさまを。右に注目してもよし、左に注目してもよし、全体を俯瞰してもよし、メインを弾いているほうを右へ左へ聴くもよし、サポートしているほうを味わうもよしだ。バッハのポリフォニーを楽しむのと同じあんばいで。
ここは上原ひろみのオリジナルにチックがどんな具合にアプローチするんだろうというのがポイント。逆はまあ分かりそうなものじゃない。そんな様子を想像して「たまらんばい!」と思わぬカナ?実際たまらんばいよ。ジャズらしくない上原曲をジャズらしくなく叙情的に弾く上原にチックがくすぐるようにからんでくる。
▼YouTube - Chick & Hiromi ~ Concierto de Aranjuez / Spain Part 2
最後は、お約束の「スペイン」。アランフェス協奏曲のフレーズから徐々に盛り上がって、例のリフがばしっと決まってくる様には全身から鼻血が噴出さんが如く盛り上がり。この競演に先立つ東京ジャズフェスティバル2006でのデュエット演奏と比べると明らかに感度が上がっているさまも分かる。鼻血ぶーっ!!
という流れで Stage6 の超画質超音質で本家チックのアコースティックトリオ演奏を聴いて鼻血を出し尽くしておく。
半ばレジェンドでありながらこんだけ現役最前線バリバリって並大抵ではないですね。両雄ってことで思い出すハービー・ハンコックはなんとグラミー賞を獲得してしまうしで。ジャズでグラミー賞は43年ぶり2度目の快挙(1963年ゲッツ/ジルベルトによる「イパネマの娘」以来)で、最初のスタン・ゲッツは白人ですから今回の受賞がいかに大きいか、それは彼自身の受賞スピーチからもうかがい知れますね*2。
「本当に素晴らしい日ですね。ロサンゼルス。ジョニー・ミッチェル、ジョニー・ミッチェル、ジョニー・ミッチェル、本当にありがとうございます。43年前にジャズのアーティストが始めて年間最優秀アルバムを受賞しました。これを探したんですよ(といって紙切れを取り出し読み上げる)まず、こうして今までの因習にとらわれず賞を贈ってくださったことに感謝します。そして私が模範としてきた巨人たち。マイルズ・デイビス、ジョン・コルトレーン。本当に疑いなく賞をとるに値した人たち。でも今日は不可能が可能になることが証明された夜なのです。そうです。できるのです!
http://blog.wowow.co.jp/blog/grammy/all/id473/index.aspx
マイルズ・デイビス、ジョン・コルトレーン。本当に疑いなく賞をとるに値した人たち!!
関連:
- http://d.hatena.ne.jp/fractured/20061210/1165770449
- http://d.hatena.ne.jp/fractured/20070102/1167759689
- http://d.hatena.ne.jp/fractured/20080112/1200257578
- http://d.hatena.ne.jp/fractured/20071025/1193317409
- http://d.hatena.ne.jp/fractured/20070617/1182092667
以上、平日クォリティのさらっとした書き下しでお送りしました。検索遊びしてみたら、chick & hiromi は、4/20 に武道館でデュオコンサートを開くみたいですよ。いっておいたほうがいいんじゃない?