2015年4月後半に聴いたやつ:Charles Lloyd/BADBADNOTGOOD & Ghostface Killah/Qi Fang/nano.RIPE/HARDCORE SUPERSTAR/Bill Laurance/Bosko Petrovic/Chris Golinski/Csaba Deseö/花澤香菜/Sound Horizon/坂本真綾/血眼/The Silence/Salyu/Mew
4月後半ヤツ。なかなか粒ぞろいの期間になりました。「★おすすめ★」はシェフが気まぐれているとお考えください。
- 【Wild Man Dance: Live At Wroclaw Philharmonic】Charles Lloyd ★おすすめ★
- 【Sour Soul】BADBADNOTGOOD & Ghostface Killah
- 【Exhibition #1】Qi Fang
- 【七色眼鏡のヒミツ】nano.RIPE
- 【HCSS】HARDCORE SUPERSTAR ★おすすめ★
- 【Swift】Bill Laurance ★おすすめ★
- 【Swinging East (Recorded Live At the Berlin Jazz Festival)】Bosko Petrovic's Nonconvertible All Stars
- 【Rodeo】Chris Golinski
- 【Four String Tschaba】Csaba Deseö
- 【Blue Avenue】花澤香菜
- 【Nein】Sound Horizon
- 【坂本真綾20周年記念トリビュートアルバム ~ REQUEST】坂本真綾
- 【whiteout】血眼
- 【The Silence】The Silence ★おすすめ★
- 【Android & Human Being】Salyu
- 【Plus Minus】Mew
第一印象点はだいたい1.0(不快)、2.0(いまいち)、2.5(ふつう)、3.0(よい)、4.0(とてもよい)、4.5(傑作)みたいなフィーリングです。
【Wild Man Dance: Live At Wroclaw Philharmonic】Charles Lloyd
サックス奏者Charles Lloyd氏のライブ音源。
http://mysecretroom.cocolog-nifty.com/blog/2015/04/wild-man-dance.html
- Charles Lloyd (ts)
- Gerald Clayton (p)
- Joe Sanders (b)
- Gerald Cleaver (ds)
- Sokratis Sinopoulos (iyra)
- Miklos Lucaks (cymbalom)
御大にこんなこと言っちゃ失礼なのかもしれませんが、ステージの背景にコルトレーンの亡霊を召喚し黒魔術で束縛し制御された姿が見えます。見えません。いわゆるそういう魔術的なステージ。そうでなきゃ76歳の身がこの緊張感でアルバム1枚分切れ目なく続けることなんてできませんとも。構築と混沌。最後までイントロ。
動画漁ってたら、今ジャズを牽引する若手のスターJason Moran、Eric Harlandとステージ立ってるんだ。恐ろしいおじいさんや。
→第一印象:4.4(5点満点)
https://itunes.apple.com/jp/album/wild-man-dance-live-at-wroclaw/id974682703?uo=4&at=10lqt2【Sour Soul】BADBADNOTGOOD & Ghostface Killah
前作『III』以来2度目まして。ジャズトリオBADBADNOTGOODの新作。もとよりJazzトリオと呼ばれながらもヒップホップ寄りな音を出す彼らが、がっつりラッパーと組むまさに今どきのコラボレーション。面白いのは、本職のイヒップホッパーがイケてるバックトラックを求めて古き'70年前後のジャズ・ロックをサンプリングしてきたかのような雰囲気になっているところ。架空のジャズ・ロックをサンプリングして今風の音像に仕上げてラッパーがラップをラップしているアルバム。普段ヒップホップを聞いていないので、本場のリスナーに、べつにこれごくありふれたサウンドですけど?と指摘されるかもしれまへんが。
→第一印象:3.8(5点満点)
[asin:B00SA077C6:detail]
https://itunes.apple.com/jp/album/sour-soul/id952769969?uo=4&at=10lqt2
【Exhibition #1】Qi Fang
シンガーソングライターQi Fangさんの1stアルバム。全体的に都会的で都会的な範囲に都会的な曲が大勢。シンガーとしての歌声、歌いまわしなどは好きは好きだけどびみょーにストライクゾーンに入りきらない感じでもにょもにょ。アルバム内空前絶後に大仰に大げさな『Step』、胡弓を交えて中国語の語感が新鮮な名ベタバラード『九份』が聞けて満足。
→第一印象:2.8(5点満点)
【七色眼鏡のヒミツ】nano.RIPE
fhanaと並ぶ名曲量産機nano.RIPEの4枚目。どんなシングルのA面もB面も、どんなオリジナルアルバムも、今後出るかもしれないどんなベストアルバムも裏ベストアルバムも、あるいは完全ランダムに選曲したって、常に一定で同一のクオリティを維持しているであろうnano.RIPEの4枚目。本作もどんな過去作とも寸分違わないクオリティの曲がずらりと並ぶnano.RIPEの4枚目。強いて言えばちょっとアレンジの幅が広がったような気がするけど真新しさでそう聞こえるだけだと思われるnano.RIPEの4枚目。第一印象も第二印象も何度聴きこんでも評価は常に一定、3.3(5点満点)なnano.RIPEの4枚目。(次回作は4→5に置換するだけのはず)
→第一印象:3.3(5点満点)
【HCSS】HARDCORE SUPERSTAR
英国のハードコアバンド、その名もHARDCORE SUPERSTARの最新作。ゴキゲンノリノリあげぽよ度では2005年作【HARDCORE SUPERSTAR】をベストに上げたいところで、その点はやや落ち着いている印象。それはそれとして、小気味良いリフ、ロックでポップでコンパクトな楽曲、手堅い演奏、非の打ち所はございません。プログレ度は皆無だけれど、これだけ清々しければ不満なんてもってのほか。Jazz以外の音楽で聴いてて体幹が揺さぶられるのは稀有の久々。たった5分ながら15分の長尺曲を圧縮したような『Growing Old』が白眉。
→第一印象:4.0(5点満点)
【Swift】Bill Laurance
はじめまして。Bill Lauranceさん(誰?)のアルバム。Amazon MusicのJazzカテゴリーから。Jazzカテゴリーではあるけど、Jazz成分(アドリブ要素)は薄め。架空のRPGゲームのアレンジアルバムようにさまざまな楽曲が並んでいる。全体的に落ち着いたトーンではあるけど曲の個性とドラマチックさで、そして細やかに緊張感のある楽器隊のおかえげて飽きない。良作。
表題曲『Swift』をお聞きあれよ。
→第一印象:4.1(5点満点)
https://itunes.apple.com/jp/album/swift/id972938203?uo=4&at=10lqt2【Swinging East (Recorded Live At the Berlin Jazz Festival)】Bosko Petrovic's Nonconvertible All Stars
はじめまして。ぐぐったところクロアチアのJazzミュージシャンBosko Petrovicさんとその他15人のミュージシャンによる'71年ベルリンでのライブ音源。とぐぐって腑に落ちた。というのも、ググる前までに聞いていた時の感想が、COLOSSEUMの最新作に幻滅した仇を取ってくれた、だったから。COLOSSEUMがバリバリだった同じ時期、別のヨーロッパ系ジャズ音源だと知って腑に落ちた。全体のトーンはブルースロック&ジャズ・ロックにちょこっと東欧の味付け。1曲目から7拍子のワルツ(ワルツに1拍足してもワルツはワルツであろう?)のなのはいかにもヨーロッパらしい。
→第一印象:3.6(5点満点)
【Rodeo】Chris Golinski
はじめまして。Jazzドラマーで作曲家のChris Golinskiさんの作品。ギターがぎょわわーと鳴り響くノイズ系フリージャズ、でしょうか。フリーインプロビゼーションかと思われる阿鼻叫喚から脱力まで極端に触れた気が触れた音楽。すなわち良い音楽。
→第一印象:3.7(5点満点)
【Four String Tschaba】Csaba Deseö
はじめまして。ハンガリーのヴァイオリニストCsaba Deseöさん率いるバンドのアルバム。
冒頭からSoft Machineが始まったのかと思わず曲名を確認してしまったところ。下降フレーズに続いたところでSoft Machineの何かの曲の何かの部分が自然と頭のなかで接続された。どの曲のどの部分かと、ひたすらiTunesライブラリの曲をききまくったが判明しなかった。それはさておき、よくよくググってみると'75年作品ということで、まさにヨーロピアンジャズ・ロックの花が咲き乱れていた時代。納得。がっつりジャズ・ロックしているのは1曲目くらいで、全体としてはストレートな雰囲気。
→第一印象:3.7(5点満点)
【Blue Avenue】花澤香菜
声優で歌手の花澤香菜さんの3枚目。前作収録の『flattery』のようなマスターピースとなるような曲はなかったかも。'80年代のテイストを今の感性で編み直しつつ楽器隊の手堅さに重きをおいた印象。『Night And Day』の語尾をゆっくりベンドダウンする歌い方はお初じゃないでしょうか。何かの線にびんびん触れてきます。
→第一印象:3.5(5点満点)
https://itunes.apple.com/jp/album/blue-avenue/id983538967?uo=4&at=10lqt2【Nein】Sound Horizon
Sound Horizonとしてははじめまして。な、Sound Horizonの9枚目。こんなこと言っちゃあれですが、一部の例外をのぞいて、私はたとえ日本語であろうと歌詞に一切耳をかさないのです。どうしても入ってきちゃうということは時々ありますが、原則として歌詞の内容には一顧だにしなかったりします。デッドボールPのアルバムへの感想でも歌詞について言及しなかったはずです。…という私の聴き方からすると本作は言葉だらけ言葉ありきの作品であるため、とらえどころがないというのが感想。おまえはサンホラの顧客じゃない、と言われてしまえばそれまでなのですが、サンホラとしてフルアルバムを聴くのは初めてだったのでお許し下さい。
→第一印象:2.5(5点満点)
【坂本真綾20周年記念トリビュートアルバム ~ REQUEST】坂本真綾
歌手で声優の坂本真綾さんのトリビュートアルバム。なんと原曲との2枚組。原曲はベスト盤として、トリビュートはファンアイテムとして二度美味しげな珍しい発表形態。
- 約束はいらない(the band apart)
- うちゅうひこうしのうた(KIRINJI)
- トライアングラー(渡辺麻友)
- 雨が降る(TRUSTRICK)
- バイク(SUGIZO feat. IA)
- さいごの果実(鈴木祥子)
- 光あれ(冨田ラボ feat. Emi Meyer)
- プラチナ(Negicco)
- 奇跡の海(新居昭乃)
- afternoon repose(Rasmus Faber feat. Frida)
- ポケットを空にして(真心ブラザーズ)
曲調も変わらず、ハーモニーも変えず、バックトラックのフレーズも使い回し、メロディのフェイクも入らず、ただ音色と歌い手を差し替えただけのカラオケ集みたいなカバー曲に嘔吐と下痢と虫唾と殺意がすごいよ!なんて心配はございません。その逆、その逆、程度の差はあれど、けっこう、逆。原曲との類似性が最も高いNegiccoでもこっそりリハーモナイズ(単なるボイシングの問題かもしれないけど)が効いている。…ような気がする。その他もろもろについてはAmazonのレビューアから引用とさせていただきます。
http://www.amazon.co.jp/gp/cdp/member-reviews/A23OM2662PAA87/ref=pdp_new_read_full_review_link?ie=UTF8&page=1&sort_by=MostRecentReview#R3HE25IRP3FL65
- 原曲のオリエンタルな雰囲気を強めた新居昭乃
- チェンバロで全く違うアレンジに仕上げた鈴木祥子
- ムーディなアレンジで別な一面をのぞかせてくれたKIRINJI
- ポップかつ高度な演奏テクニックをいつも通り表現したthe band apart
- ジャジーでもKIRINJIとはまた違う雰囲気を見せる冨田ラボ、
- 彼らしい綺麗なメロディーのハウスミュージックに仕上げたラスマス・フェイバー
- ポップなアレンジでマクロスFのアイドルっぽさを引き出した渡辺麻友
- プラチナの雰囲気はあまり崩さずに原曲通りに初々しく仕上げたNegicco
- 原曲に限りなく忠実にしながらもストリングスなどを変えたTRASTRICKS
- 一見ガレージロックっぽく生音を活かしたアレンジで男らしい歌に仕上げた真心ブラザーズ
→第一印象:3.9(5点満点)
【whiteout】血眼
はじめまして。日本人ガールズバンド、血眼の1stアルバム。こういうサウンド、こういうボーカルのキャラクターを耳にすると、どうしてもにんともかんとも大巨人チャットモンチーの後塵を拝する(使い方が間違っているようなきがするが私はググらないアイドンドグーグル!)気持ちになる。独特の語尾の節回しがもし青い琴線に触れて叩いて揺さぶってきたらオルタナティブ・aikoみたいな魔物が生まれるかもしれない。
→第一印象:3.3(5点満点)
【The Silence】The Silence
はじめまして。日本人のバントThe Silenceの1stアルバム。
時にシド・バレットのようでもあり、時にパールズ・ビフォー・スワインのようでもあり、時にカンのようでもあり……。
シカゴの名門インディ、ドラッグ・シティからの逆輸入となる、馬頭將器率いるスーパー・サイケデリック・バンド、ザ・サイレンスのデビュー・アルバム!
全てにおいて格の違いを見せつける傑作!馬頭將噐(g/vo)と荻野和夫(key, etc)に加え、岡野太(ds)、吉田隆一(bs)、ヤン(b)迎えて結成された新グループ、ザ・サイレンスのデビュー・アルバム!
http://www.amazon.co.jp/The-Silence-THE-SILENCE/dp/B00SND26KI
バンド名は「ヨガの沈黙の行」に由来する。「静寂はいかなる音圧よりも重く、耳を聾する程の静寂は意識と無意識の境界線上でのみ我らが表現し得る」(馬頭)。
美しく幽玄なアシッド・フォーク・ソングからヘヴィなサイケデリック・ナンバー、カンのカヴァーまで、前衛的ロックの無限の境地を目指す!
完全アナログ・レコーディングによるサウンド・クオリティもすばらしい。
というプログレ厨垂涎のキャッチコピーに火の虫が飛んで入る。ほんとそのとおりだと思いました。ほんとに'70年前後にトリップしたようで、それならわざわざこちらを買わずともYoutubeに上げられている当時のアルバムを聴いていればいいんじゃないか?と思うくらい。なちなCANのカヴァーは【Soundtracks】収録の『Tango Whiskyman』。
→第一印象:4.0(5点満点)
【Android & Human Being】Salyu
日本人シンガー、Salyuさんの5枚目。もはや仙人。曲も歌手も唯一無二の存在。まるで仙女。ただ、バックトラックがいつもどおりというか単なるJ-Popで15年前の世界から何も変わっておらずもはや5作目ともなるとマンネリ漢が否めない。Gretchen Parlatoの『Live In NYC』(http://derutcarf.hateblo.jp/entry/2015/02/15/221248)みたいにな「脅威のバックバンド」を従えて何かをやってもらえたらと妄想だけで三杯イケます。なにかを。
そういう意味だと、UA×菊地成孔によるCure Jazzはそれに近いのかも。脅威を脅してくる感じはありませんが。
→第一印象:3.4(5点満点)
https://itunes.apple.com/jp/album/cure-jazz-reunion/id908957585?uo=4&at=10lqt2
【Plus Minus】Mew
お恥ずかしながらお初めまして。デンマークのオルタナ系?バンドMewの最新作。プログレ的なものを期待して購入してみたけれど、その点では収穫なし。だけど、こういうポップは全然嫌いじゃない。ポジティブだけど明るすぎず、憂いを含んでも幻すぎず、馬鹿っぽい音だけどさりげなく技巧的、構成は自由だけどコンパクト、かと思えば10分の大作も。唱歌的構成(AメロBメロサビ…)にがっちがちに縛られがちな日本の音楽とは一線をカクカクで。
→第一印象:3.8(5点満点)
[asin:B00W3LXHYU:detail]
https://itunes.apple.com/jp/album/+-bonus-track-version/id956107411?uo=4&at=10lqt2
そんじゃーねえええん