怪奇骨董たおやめぶりっこ

ますらおぶりに憧れるブログ。涙がちょちょぎれちゃう。だって怪奇骨董たおやめぶりっこだもの。

大友良英+千野秀一デュオ@大泉学園「in "F"」

冬休みの最後の夜はこんなライブで締めくくりました。一年の計は初ライブにあり。うん、恐ろしく不協和な一年になることでしょう。

さらに翌日1月6日は大泉学園inFで、なんと16年前に香港でDUOをやって以来、日本では初めてになる千野秀一さんとのDUOであります。当時はターンテーブルサンプラーのDUOでしたが、今回は恐らくはピアノとギターのDUOです。

http://d.hatena.ne.jp/otomojamjam/20080105

という催し。

出演者の経歴メモ

大友 良英(おおとも よしひで、1959年8月1日 - )は、ギターリスト、ターンテーブル奏者。神奈川県横浜市出身。十代を福島市で過ごす。ノイズミュージックやフリー・ジャズの分野で作品を発表する一方、様々なバンドでギターを担当、映画音楽、テレビBGMなどの作曲も数多く手がける。活動の場は広く、日本のみならず韓国・中国を中心としたアジア圏からヨーロッパ遠征まで、世界的に活躍する。自身のソロから企画性の高い各種ユニット、即興での洋の東西を問わないコラボレーショーンまで、作品の幅も広い。

http://ja.wikipedia.org/wiki/%E5%A4%A7%E5%8F%8B%E8%89%AF%E8%8B%B1

千野 秀一プロフィール 1951年生まれ。70年よりキーボード奏者、編曲家として活躍する。80年代より映画、演劇、ダンスの伴奏音楽の作曲を多数手掛ける。90年代からは即興演奏とともに、パソコンとシンセサイザーを使った極私的かつ実験的な作品を制作中。96年に音楽のためのソフトウェア制作を始め、”振り子椅子”によるソロ・パフォーマンス(96年/ジーベック/神戸)、コンピュータを伴うサウンドインスタレーション「蟲めづる」(97年/GALLERY SARGE/神戸、98年/ジーベック/神戸)などの拡張オブジェクトの作者でもある。

http://www.arts-center.gr.jp/concerned/pplProfile27.html

大友良英は、当ブログでも取り上げてたり(http://d.hatena.ne.jp/fractured/20060918/1158608484)で、何点か作品を持っているけど、千野秀一という演奏家は初めて知りました。

即興その1

エレキギター+グランドピアノによる、オーソドックスな即興。いや、ここで「オーソドックスな即興」ってゆって、見た人がイメージする即興とは多分けっこうずれがある。時には不協「和音」による対話であったりフリージャズのような対決であったり恐るべきノイズまみれだったり。

デモンズウォール*1のようにせまりくるフィードバック(いわゆるハウリング)がきりきりを不安をかきたて耳をつんざくスンデのところでびしっと切られる奏法にしびれた。電気的なのがいい。電子キーボードのボリュームをあげるのとは違う、なんかやばいんじゃないって恐怖がいい。サイン波が脳を壊し始める直前で消されるのがいい。

千野秀一アコースティックピアノを普通に弾く限界に挑むかのよう。88鍵を駆け巡ってギターノイズの化け物に立ち向かう。かっこいい。

YouTube - Otomo Yoshihide guitar solo Tokyo 1994

即興その2

大友良英は、ギターをひざの上に寝かせ、ハーモニカと共鳴させたり、棒を弦と弦の間に突っ込んで振動させたり、金属片でギリギリ弾いたり、不穏なトーンからスタート。それがやがて激しくなってゆく。千野秀一は、シンセ(Moog Liberation)で不吉な重低音を響かせる。ヤニック・トップをミミズ100匹にしてうごめかせたような演奏。しまいには足でシンセを弾きながら手でピアノを叩くという暴れっぷり。

暴れがひとしきり終わると、演奏しつつ千野秀一が話しかけて雑談するという珍プレイ。15年ぶりに競演する2人のときの流れを偲ぶ和やかな会話と、ピアノ&ギターの不協和音のギャップはまさに珍味。その後、徐々に「音楽的」な方向へと進み、静謐な協和でしめくくられる。終演後、大友良英が「よく覚えてましたね」と言っていたので、かつて競演したネタのようだ。

YouTube - Fred Frith & Otomo Yoshihide


雑感

こんな素晴らしいインプロヴィゼーションをたった十数人の前でやるとはなんて贅沢なことでしょう。あと、その十数人の客層がてんでばらばらで面白かった。演者の常連らしき人、場所の常連らしき人、サブカル女子的な人、コアな音楽ファンらしき人、などなど。

1月の気になる公演

16 水 坂本弘道(vc)他
※「坂本弘道・2008シリーズ」の開幕です!さて、その「タイトル」は?

http://homepage2.nifty.com/in-f/live7.html

「電チェロ」のチェリスト。何年か前に見た衝撃を思い出す。孤高の芸術家のたたずまい。自分の演奏をサンプリングしつつ恐ろしく力強い演奏をする。チェロの限界を超えるべく戦う戦士のよう。しまいには「金属板が回転する機械」をエンドピン*2にあて火花を散らす。一種の恐怖体験でしたね。とにかく音楽の強靭さに心を打たれました。また、ノコギリを弓で演奏するサウンドも印象的でした。また機会があったら見たいですね。

以上。