怪奇骨董たおやめぶりっこ

ますらおぶりに憧れるブログ。涙がちょちょぎれちゃう。だって怪奇骨董たおやめぶりっこだもの。

「God says I can't dance」Tipographica

新入荷。「ジェーポップ強化計画」11枚目。第一印象「★★★★★」。アルバムタイトルで神は「踊れません」と音を上げているが、それは嘘だ。

God says I can't dance

God says I can't dance

ティポというと、「Floating Opera」のクールな印象が強かったので、こんな熱い作品が吹き込まれているとはとても意外だった。

奇人 菊地成孔による全曲解説と試聴

Tipographicaの音楽性は公式サイトに端的に述べられている。

現在の音楽性は、厳格な記譜上で交錯する様々に訛ったリズムと旋律を、バンド
のメンバーが昇華した形で、高い構築度と圧倒的なグルーヴ、現代音楽的な要素
とジョーク、そして新たな音韻言語として「訛り・揺らぎ」が奇妙に混在する、
全くオリジナルなものである。

また、アルバム「Floating Opera」の解説ページの以下の文章・・・

我々の使用しているスコア-----それ等は総てリーダーでありギタリストである今堀恒雄の手によるものである---- は未だに出版も公開もされていないが、貴方の国籍、年令、性別、あらゆる文化的バックボーンにかかわらず我々の演奏の90%までがスコアに忠実である事、さらにスコアの90%が変拍子を用いず、4/4(または3/4)拍子で表記されているという2点については俄かに信じてもらえないかも知れない。事実、少なくとも日本国内においてこの事実を発言しようものなら、それがステージ上からのMCであれ、インタビュー中のコメントであれ反応の100%は「私はジョークを理解します」という表情での苦笑であり、結成11年目にして流石にそれには慣れたものの、我々はそういったジョークは好まない。

あるいは、ライブアルバム「The man who does not nod」のブックレットの以下の文言・・・

4拍子だといっているのに、スコアに忠実だと言っているのに、聴衆は笑うばかりであった。

などから、彼らの音楽をお察しすることが出来るであろうか?

とにかく「リズムがとても訛っている音楽」なのである。確かに拍子は単純で一定なのだが、その上に繰り出されるリズムが奇怪に訛りこんでいる。この訛りは、16分音符/32文音符で記譜されているのか×拍△連で記譜されているのか、さっぱりわからんほどに訛っている。

いやいや数えちゃだめだ拍を数えちゃダメだ数えちゃダメだ。

この訛りながら疾走する音楽は恐ろしくFeelin Groovyなのだ。これほどまで奇怪に訛っていてなぜこれほどまでにノリが良いのだろう。人類が心地よいと感じる普遍的で単純なリズムが底に流れているからか。そこらへんが、変拍子を極限の極限まで極めて聴き手をグルーヴ絶対拒絶に陥れるレコメン系の音楽との決定的な差異。複数楽器がユニゾンするメロディのコード進行感の無さとかはとてもレコメン系に近いのだけど、ノリが正反対。

さて、とことん神の腰を突き動かす音楽を展開するのだが、ギターやサックスが弾きまくり吹きまくりのソロをやるときは不思議とオーソドックスなロック/Jazzになる。Tipographicaは、インプロ/ソロの領域まで訛りを持ち込めていないというわけか。

そしてTipographicaは森を脱出して高速道路に入る・・・

▼関連作品「Floating OperaTipographica

森を脱出したティポは高速道路に乗り込んで、そしてそのまま走り去ってしまった。ティポのラストアルバム。

Floating Opera
アーティスト: Tipographica  
出版社/メーカー: 株式会社 システマ 
メディア: CD 

奇人、菊地成孔によるTIPOGRAPHICA 解散宣言に、解散の理由が以下のように述べられている。

11年目にして作曲家としての今堀恒雄が自己の表現の可能性の更なる追求を行った結果、それが最早「バンド」という形態では表現し切れなくなったという事実に我々全員が直面したという事です。

前作「God says I can't dance」で、ソロ/インプロにおける訛りは、今の人類の能力を超越していると悟ったのか、「Floating Opera」では真剣にスコアに向かい合うような曲が多い。また、ライブのBGに流れていたという「日本間とMC-500」系の現代音楽風の打ち込み曲が随所にちりばめられていて、神の踊りも休み休みだ。

聴き所は、これまでの集大成でありこれからの予告編である「時代劇としての高速道路」2曲。Kraftwerkが軽やかなシンセで高速道路を電子走行した。それに対しTipographicaは、どの日本人もどの地球人も聞いたことのない訛った言語を話し(コバイア語じゃないよ!)、なんかもう車輪も丸くないし変な機械いっぱいついた車というかなんというか分からない乗り物でその見た目からは想像できないようなスピードで峠の走り屋たちの伝説となった。

ティポを解散した今堀は、ソロユニットunbeltipoで現在まで2枚の作品を発表している。また、その間に、「Trigun」や「GUNGRAVE」のサントラなどある種の音楽界にも偉大な足跡を残している。

一方、菊地成孔といえば、CDは 株券 ではない ― 菊地成孔の今月のCDレビュー&売上予想シリーズ(驚異の名文/珍文のオンパレード!)など引き続き舌好調だ。音楽活動は多岐にわたりすぎて追いきれてません。

(-_-)ええと、そのほかのメンバーもよくやっとります。

お気に入り度:92点(制限速度オーバーしてますから)