怪奇骨董たおやめぶりっこ

ますらおぶりに憧れるブログ。涙がちょちょぎれちゃう。だって怪奇骨董たおやめぶりっこだもの。

「Bright as Fire」Mike Westbrook

今日聴いた音楽。新入荷、予定。というのもこのアルバム、知人のレコード→(アナログ)→MD→(デジタル)→PC→CDと経て最近またCD→PCと吸い込んだ音源が手元にあり、最近CD化されているのを知って注文した次第。Amazon 取り扱い最後の1枚だった超ロングテール。ごめん。

一生ものの一枚。真の名盤。J-Pop にありがちな「生まれ変わっても君とうんぬん」みたいな言い回しがあるけれど、こいつは「生まれ変わってもめぐり合いたい音楽」だ。この作品の知名度がとても低いのが信じられない。

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'80年、英国製。先日、究極のPopということでマイケル・ジャクソンを取り上げた連想で、究極の英国Jazzということでこいつを。


Mike Westbrookは、Keith Tippettと並ぶ英国ジャズピアニストの重要人物。かなあ。王道プログレ好きよりは、Jazz-Rockや真Jazzから流れてきた人からのチメイド*1が高いかも。ピアノを弾くピアニストというよりは、作曲/編曲の鬼才だと思う。

「協と不協の綱渡り」「混沌と構築の相転移

ちょっとわき道にそれます。前衛Jazz、Jazz-Rock、あるいはプログレ音楽の1つの特徴に、「協と不協の綱渡り」「混沌と構築の相転移」なんてのがある。

「協と不協の綱渡り」と「混沌と構築の相転移」を兼備した一例は、意外にもガイモンとサーファンクルにある。ロシアのサイトを開いて「Old Friends」を聴いてみてください。細かく解説はせんけど、なんとなく分かろう?

もう一例を出すと、ロシアのサイトでSoft Machineのページを開いて「Teeth」を聴いてみてください。Jazz-Rockとはこれや!みたいな代表曲ですね。3分後半からずるっと混沌化した4分過ぎから急速に収束してベースがぶりぶりと差し込まれてくるあたり。これ。ここ絶品。

「Bright as Fire」

そんな「協と不協の綱渡り」と「混沌と構築の相転移」をアコースティック・ジャズの編成でやったらどうなるんだろう?というのが、「Bright as Fire」というアルバム。いや、Soft Machineみたいに難しくはないのですよ。上記の2例ではむしろガイモンに近い。基本的にボーカル曲中心で、子供の混声合唱が入ってミュージカル調になったりもする聴きやすい音楽なのですよ。聴きやすい上で、ぴりりと前衛Jazz的なスパイスがちりばめられてとても美味しいのですよ。

聴き所は「Holy Thursday」。King Crimsonの「Starless」の精神をフリージャズで解釈したような名曲。夕暮れを思わせる憂愁を帯びたボーカルから、インプロパートの混沌が夜の帳が下りて夜行性の鳥獣ギーガーが本能的な不安を欠きたて、突如ドラムとサックスによってその混沌が切り裂かれあとは滝つぼに向かってまっしぐらのデクレシェンド。天使がラッパを吹きながら降臨している傑作。

運良く店頭や通販サイトでみっけたら迷わず入手する価値あり。お気に入り度:97点

参考:Mike Westbrookの諸作を紹介してるページ