2016年3月に聴いた(1):King Crimson/Avishai Cohen/Christoph Stiefel Septet/Silent Siren/Alfredo Rodriguez/Mondo Drag/Tonight Alive/POLYSICS/TK from 凛として時雨/SHISHAMO/Trapper Keaper/シナリオアート/SCANDAL/Charles Lloyd/矢井田瞳/安藤裕子/Bill Bruford
レビューという名のポエム、納期おグレがちな3月号の前半。なるばく避けますが、意図せず対象アルバムのネタバレが含まれるかもしれません。それが困る方は、いますぐその思いをテキストにしたためてトラックバックください。Web2.0しぐさ。
- 【Nov 20, 2015 - Toronto - Queen Elizabeth Theatre】King Crimson
- 【Into The Silence】 Avishai Cohen
- 【Rhythm-a-Tized】 Christoph Stiefel Septet ★オススメ★
- 【S】 Silent Siren ★オススメ★
- 【Aftersun】 Bill Laurance
- 【Tocororo】 Alfredo Rodriguez
- 【The Occultation of Light】 Mondo Drag
- 【Limitless】 Tonight Alive ★オススメ★
- 【What's This???】 POLYSICS
- 【Secret Sensation】 TK from 凛として時雨
- 【SHISHAMO 3】 SHISHAMO
- 【Trapper Keaper】 Trapper Keaper
- 【dumping swimmer】 シナリオアート
- 【YELLOW】 SCANDAL
- 【I Long To See You】 Charles Lloyd & The Marvels
- 【TIME CLIP】 矢井田瞳
- 【頂き物】 安藤裕子
- 【Random Acts Of Happiness】 Bill Bruford
第一印象点はだいたい1.0(そっとじ)、2.0(いまいち)、2.5(ふつう)、3.0(よい)、4.0(とてもよい)、4.5(傑作)みたいなフィーリングです。オススメ印はシェフが気まぐれているとお考えください。
【Nov 20, 2015 - Toronto - Queen Elizabeth Theatre】King Crimson
プログレ。King Crimsonのライブ音源。一足お先に真っ先にDGM(http://www.dgmlive.com/archive.htm?artist=35&show=2011)で購入して聞きました。信者ですから「直接!」ミュージシャンの懐へ資金をお届けします。
現ラインナップのお披露目的音源【Live At The Orpheum】( http://derutcarf.hateblo.jp/entry/2015/04/12/234702 )は、わざとやってるのか!?というほどドイヒーな出来だったので落胆を通り越して陰謀論めいた気持ちになってました。「21 century schizoid band」とか企画物バンドが仮にあったとしたら(ないです。もしくはなかったことになってます。)、ドイヒーも許せるけれど、King Crimsonの名を冠するに足るクオリティは保って下さいよ何様のつもりなんですか!と、何故かフリップ師にせっきょーのひとつも・・・略・・・本作は、安心して下さい、普通ですよ。
- '90~のクリムゾンは'80型の直接的後継であったけれど、本ラインナップは'80年台の曲をがっつり省略しているのが興味深い。
- もし本作からクリムゾンを聴き始めた人がいて(いなさそうだけど)、そういう歴史的な背景ゼロでフラットな気持ちで聴いたらどんな印象を持つんだろう?きになります。
- '90~以降の曲でメル・コリンズが所在なさ気なのは相変わらず。エイドリアン・ブリューの変態ギターが懐かしい。
- トリプルドラムはまだオーバースペック。新曲【Radical Action To Unseat The Hold Of Monkey Mind】は【The Power to Believe】の変奏的佳曲。
→第一印象:3.7(5点満点)
https://itunes.apple.com/jp/album/live-in-toronto/id1097692794?uo=4&at=10lqt2【Into The Silence】 Avishai Cohen
Jazz。Avishai CohenはAvishai Cohenでもベーシストではトランペッターの方のAvishai Cohenです。かかりつけのレコード屋からAvishai Cohenの新譜がでますよと連絡受けて、あら前作か1年で新作とはうれしいなと思ってたらAvishai CohenはAvishai Cohenでもトランペッターの方のAvishai Cohenでした。とほほ。
静謐な雰囲気の中、耳を澄ませばすますほどインタープレイの緊張感に引き込まれる反面、耳を澄ませて耳を澄ませないとふわっとしたBGMに終わってしまう、危機時の体勢・精神状態への依存度が高い。音楽を聞く時間の多くが通勤の移動中なのでなおさら。
→第一印象:3.3(5点満点)
https://itunes.apple.com/jp/album/into-the-silence/id1072948308?uo=4&at=10lqt2【Rhythm-a-Tized】 Christoph Stiefel Septet ★オススメ★
Jazz。はじめまして。ピアニストChristoph Stiefelのリーダー作。
- Sarah Buechi : voice,
- Bastian Stein : trumpet, fluegelhorn
- Domenic Landolf : tenor sax, bassclarinet
- Adrian Mears : trombone
- Christoph Stiefel : piano
- Arne Huber : bass
- Kevin Chesham : drums
アルバム名に冠したRhythmの名は伊達じゃない。Tizedの意味はわからないけれど。Henly Cowをタイトで強烈に2016年化したような不気味さとミニマル変拍子ポリリズムDiscipline(あの日聴いたクリムゾン式の「ああゆうの」を表す音楽用語を僕はまだ知らない)なんでもありの偏執的なリズム、でありながらダンサブルかつ(一見)シンプルなアンサンブルにキレのあるアドリブもありと非の打ち所なしな快作。
ちなこれHenly Cowな
あんまり似てなかった^^;^^;
→第一印象:4.5(5点満点)
【S】 Silent Siren ★オススメ★
J-Pop。前作はたおやめぶりっこ的2015年J-Popベスト10の第5位( http://derutcarf.hateblo.jp/entry/2016/01/02/151526 )とさせていただいた日本のガールズバンドSilent Sirenの最新作。ヤッター今年も新作が出たー。ウレシー、カワイー。日本におけるカワイイバンド最高峰は、Silent Sirenかプラズマジカか。しこたま可愛くてすこぶるポップだけで十分なのに、【スローモーニング】のようなような新展開もあり、それじゃあ音楽が豊かだけど可愛くない人が全滅しちゃうからやめてさしあげて(いいぞもっとやれ)。
【Aftersun】 Bill Laurance
Jazz。前作【Swift】がとてもよかった*1Bill Lauranceの新作。こちらもチクタクチクタク軽快なリズムまわしで心地よい音楽。Jazz的アドリブ芸を抑えて構築的でありつつ、フュージョンほど嫌味じゃなく、とある一派のようにブラックでもない、絶妙なポジション、いいと思います。日本のインスト系J-Popの方々にぜひ取り入れてもらいたい。
そして「1拍を3分割してて3打点目が短めのやつ」が「8連符/3:3:2」なのか「5連符/2:2:1」なのか聞き取れない病がひどくなっている。日本人なら血液型Aが多数派のように、西洋音楽なら8連符だと思っとけばよいのだろうが、しかし5連符への期待は高まってしまう。
→第一印象:4.2(5点満点)
【Tocororo】 Alfredo Rodriguez
Jazz。またまたアルメニアからの刺客かな?とぐぐるとキューバ出身だったピアニストAlfredo Rodriguezのトリオ+ゲスト陣によるアルバム。
フォーク的なコーラスを導入しつつプログレっしぶなリズムアプローチをキメまくるJazzをアルメニア扱いするのはやめましょうか。もう最近じゃすっかり当たり前だから(嬉しい悲鳴)。タンゴやフラメンコなど言われてみればラテンスタイル。興味深いバッハのリ・リズム(リハーモナイズのリズム版をなんていうのかしら)に見られるようにクラシックな素養も強め。
とある曲に登場する痙攣するトランペットはどこかで聴いたことあるぞと思ったら、アルバム【Red & Black Light】がとてもよくて 2015年上半期ベストノミネートのIbrahim Maalouf*2さんじゃありませんか。
→第一印象:4.0(5点満点)
【The Occultation of Light】 Mondo Drag
Rock。はじめまして。サイケ系?海外のロックバンドMondo Dragのアルバム。ググリもしないものぐささです。
Mondo Drag is John Gamino (vocals/keys), Nolan Girard (guitar/synth), Jake Sheley (guitar), Andrew O’Neil (bass) and Ventura Garcia (drums).
出会って5秒で(実際は13秒)Pink Floydの音がなりだした。ウマグマとかそのあたりの。そのまま徹底的に1972年のヨーロッパな雰囲気。まるで1972年のヨーローッパにタイムスリップしたかのよう。1972年のヨーロッパ以降に存在しない音楽性や音色は皆無。ここまで1972年のヨーロッパ調に仕上げてくるなら、もはや1972年のヨーロッパのロックを聞かばいいじゃないアントワネッツと思えてくるほど。もちろん1972年のヨーロッパの音楽は好きなので本作も嫌いじゃない。
しかし、せっかく2016年に住んでいるのだから、何かひとつ1972年のヨーロッパに存在しない要素を盛り込んだら、タイムスリップ・オーパーツみが出て楽しんじゃないかとも思う。たとえばEDMのワッフルワッフルなベース(正しくはWobble Bass)とか。ただフリカケとしてまぶすだけなら、ちょっとサンプリングしただけでジャンルを融合だの壁を超えたとか宣伝してくるJ-Popの@@@や@@@みたいなカス野郎と同列になってしまうので、がっつり相乗効果しておきたいところ。
ワッフルなベースのLFO(低周波発振器)の周期を、5連符や7連符を含めたさまざまなn分のm連符リズムとして(割り切れない長周期でライヒ/ライリー感だしてもいい)、EDM由来の技法でアフロなポリリズムを生み出しつつ手仕事組は1972年のサウンドで絡みついてくるとか。すでにそういうバンドがあるならぜひ聴きたいので教えて下さい。もしまだないのなら私がつくりますので、明日から一生音楽制作に没頭できるだけの十分な資金を提供してくださいね。よろしくおねがいします。
→第一印象:3.4(5点満点)
【Limitless】 Tonight Alive ★オススメ★
Pops。海外の女声シンガーソングライターかしら?Tonight Aliveのアルバム。ググリもしないものぐささです。
澤野弘之さんの女声ボーカル曲がとても好きなのです。さすがにこのご時世、彼がオリジナルではなかろうという推測と、彼のような音楽がJ-Popに存在しないことから、これはなにかの「洋楽」なのだろう、しかし具体的にはどんな「洋楽」に基いているのか?としばらく疑問に思っていたところ。
なるほど、これだ!(エウレカ=アハ症候群)
こちらがTonight Aliveさん
こちらが澤野弘之さん
すこ。(すき、と言えないシャイなインターネッツ特有の婉曲表現)
→第一印象:3.8(5点満点)
【What's This???】 POLYSICS
J-Pop。POLYSICSの最新作。POLYSICSは、こうやってたまたま新譜がでたタイミングと、私が新譜をチェックしている周期が巡りあったとき、つまりアルバムとばしとばし聴いている程度のリスナー。どのアルバムもどの曲も区別がまるでつかない程度のリスナー。ですが、本作はおふさげがいい感じで過ぎている印象ありますが、どうでしょうか。いい意味で雑。またはいい意味で雑と思わせる計算高さ。さすがに幻聴か。チンポチンポチンポ
→第一印象:3.3(5点満点)
【Secret Sensation】 TK from 凛として時雨
J-Pop。凛として時雨のメンバーTKのソロミニアルバム。バンドメンバーがソロを出した時の感想にはいろんなパターンがあり、そのパターンを列挙しての解説は以下略ますが、TKさんのソロについては凛として時雨本体の音楽より「ちょっと」好きだったりシます。「腹から声出せ」と揶揄されることもあるけれど、抑制が効いていてよい。
→第一印象:3.4(5点満点)
[asin:B01C2SDJTG:detail]
https://itunes.apple.com/jp/album/secret-sensation-ep/id1077241795?uo=4&at=10lqt2
【SHISHAMO 3】 SHISHAMO
J-Pop。ガールズバンド、SHISHAMOの新作。チャットモンチー・ロスってた時期のポストチャットモンチー探しの旅路で立ち寄ったSHISHAMOさんです。そのポジションにねごと氏が君臨し、元王者チャットモンチーが復活しつつある(まだしてない)今、じゃっかん微妙なポジションです。ぜんぜん悪くはないのですが。
https://www.youtube.com/watch?v=l-d26xbK1T0
→第一印象:3.0(5点満点)
【Trapper Keaper】 Trapper Keaper
Jazz。はじめまして。Apple Mucis/iTunes Storeの新譜にあったので聴いているのですが、ぐぐっても全然情報がでてこないので、いったいぜんたい何者なんでしょうか。エレピ/ギター/ドラム編成なエレクトロックなトリオ編成を軸にfeat.なにがしとあるのでゲストプレイヤーを招きつつ近い血みどろのFree Jazz/JazzRock/Improvisationを繰り広げます。【Dark Magus】頃のMiles Davisやまだイギリスに居た頃のJohn McLaughlinを思い出したりもします。
→第一印象:4.1(5点満点)
【dumping swimmer】 シナリオアート
J-Pop。日本のバンド、シナリオアートの新作。
※※シナリオアートといえば、前作がたしか・・・とながながと書いたことが別バンドとの勘違いだったと判明してしょんぼりしました※※削除削除削。
リード曲『シニカルデトックス』などけっこう好きな部類なのですが、アルバム全体としてはもうちょっとと何か言語化しづらいあとちょっと感がある。4拍子だからでしょうか。
→第一印象:3.0(5点満点)
【YELLOW】 SCANDAL
J-Pop。ガールズバンド、SCANDALの新作。かつての熱狂(【SCANDAL SHOW】の頃)が冷めつつあります。Silent Sirenのかわいさに圧倒されてしまっているのかも。
→第一印象:2.5(5点満点)
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【I Long To See You】 Charles Lloyd & The Marvels
Jazz。サックス奏者Charles Lloydのリーダー作。去年の傑作【Wild Man Dance: Live At Wroclaw Philharmonic】*3に引き続き、老いてますます盛んなリリース。
- Charles Lloyd (ts,fl)
- Bill Frisell (g)
- Greg Leisz (pedal steel)
- Reuben Rogers (b)
- Eric Harland (ds)
20世紀中盤のプレーヤーが、20世紀終盤のスターBill Frisell、2010年代の新進気鋭Eric Harlandらと組んでってのがまたおソロしい。Bill Frisell(そよ風さん型)色の強い、牧歌的な作品。
→第一印象:なし(個人のささやかな楽しみ枠)
【TIME CLIP】 矢井田瞳
J-Pop。インディーズ盤【Howling】(当時レビューしていたホームページは現在消滅しております)からなにげに聞いていた比較的古参リスナー(比較的、と断っておかないと、Howling程度から古参とかニワカ乙wwwww俺は幼稚園のころから知ってるからwwwwwなどとガチの古参の人に怒られてしまうのがインターネットだから)の矢井田瞳さんの新作が2016年に聞けるのがうれしい。
→第一印象:なし(個人のささやかな楽しみ枠)
【頂き物】 安藤裕子
J-Pop。安藤裕子さんがいろんな人から曲の提供を受けて歌う企画盤。
安藤さんといえば、どちらかというと<送り手の名手>で、「楽曲提供:安藤裕子」にはかなり高いブランド力がある。自信名義のソロ作より、送られ側の曲を通じて安藤裕子像うの輪郭を描いているから。
1曲目は小谷美紗子さん!小谷さんといえば、アルバム【うた き】('99年)で衝撃的な出会いをして以来うんたらかんたら。その彼女のアヴァンギャルドな曲が冒頭に配置されているのがちょっと感外部化げであります。つづいて2曲目は・・・とネタバレを続けるのはやめておいて。凛としてTK提供の【Last Eye】がむしろ小谷さん感でてなくもなく。で、何か1曲ベストを上げるとしたらやっぱり安藤裕子本人の筆による最終曲に尽きるます。
このまんまの作家構成で<貰い手の名手>たる豊崎愛生さんや花澤香菜さんがアルバムを制作したらどうなるだろうと妄想が捗ります。そういえば「いろいろ捗る」という言い回しは最近あまり使われませんね。
→第一印象:なし(個人のささやかな楽しみ枠)
【Random Acts Of Happiness】 Bill Bruford
https://itun.es/jp/oY1qyitun.es
プログレ/Jazz。ポルナレフはキース・エマーソンが亡くなったときいて彼を偲んで何か聞こうかとApple Musicを探索していたらビルブラを聞いていた。こちらは2004年のライブ音源。クリムゾンを抜けて彼が本来やりたかったプログレ風味のJazz/Fusion/Jazz-Rockを満喫した演奏が楽しめる好盤。同時代的にはたぶんキワモノで終わった、っぽい。が、2010年台の今、プログレ風味のJazzは全盛期すぎて鼻血が止まらないことを考えると時代を先取りしすぎていたのかも?わたくしはFusionサウンドがちょっと苦手なので、ビル氏のJazz作品の最高傑作はアコースティック化した'98年の【A Part, And Yet Apart】を上げたげ。
→第一印象:なし(温故知新枠)
まだソンジャーネで消耗しているの!?