2015年8月に聴いた(2/2):Adam Baldych & Helge Lien Trio/木住野佳子/Erland Dahlen/ Arturo O'Farrill & The Afro Latin Jazz Orchestra/Liberty Ellman/Rainbow/佐藤芳明/Head Over Heels/久石譲/J.A.G
遅ればせながら8月分全体を振り返りました。2分割してポスト致しますの、その2。
- 【Bridges】 Adam Baldych & Helge Lien Trio ★傑作★
- 【Anthology】 木住野佳子 ★オススメ★
- 【Blossom Bells】 Erland Dahlen ★オススメ★
- 【Cuba: The Conversation Continues】 Arturo O'Farrill & The Afro Latin Jazz Orchestra ★オススメ★
- 【Radiate】 Liberty Ellman
- 【Down to Earth Tour 1979 (Live)】 Rainbow
- 【Cinq Lignes】 佐藤芳明
- 【Live Like It's The Last Day】 Head Over Heels
- 【Minima_Rhythm II】 久石譲
- 【Cooking】 J.A.G
- 【鋼鉄の誓い】 Phantom Excaliver
- 【The Right Way】 6th Generation
オススメ印はシェフが気まぐれているとお考えください。
第一印象点はだいたい1.0(そっとじ)、2.0(いまいち)、2.5(ふつう)、3.0(よい)、4.0(とてもよい)、4.5(傑作)みたいなフィーリングです。
- 【Bridges】 Adam Baldych & Helge Lien Trio ★傑作★
- 【Anthology】 木住野佳子 ★オススメ★
- 【Blossom Bells】 Erland Dahlen ★オススメ★
- 【Cuba: The Conversation Continues】 Arturo O'Farrill & The Afro Latin Jazz Orchestra ★オススメ★
- 【Radiate】 Liberty Ellman
- 【Down to Earth Tour 1979 (Live)】 Rainbow
- 【Cinq Lignes】 佐藤芳明
- 【Live Like It's The Last Day】 Head Over Heels
- 【Minima_Rhythm II】 久石譲
- 【Cooking】 J.A.G
【Bridges】 Adam Baldych & Helge Lien Trio ★傑作★
Jazz。初めまして。ピアノトリオ+ヴァイオリン構成。Jazz、Jazz-Rock、プログレ等におけるヴァイオリンって全体的にあまりポジティブな印象がなく。'70年代あたりの古い音源は単純に録音状況が良くなく生ヴァイオリンの美しさが減じられてたり、アンプを通したりエレクトリックだったりするヴァイオリンは敢えてそうする長所がなかったり*1。ヴァイオリンはポップスに「あざとく」アクセントとして入るのがベスト、と思っていました。
あざといポップスをひとつ。『Gaia』Valensia。ワンコーラス目の終わりに出てきます。懐かしいですね。あざといトランペットもおまけに。
例外の一つはマウロ・パガーニ。
マウロ・パガーニをアゲたのは、マウロ・パガーニが地中海風にJazz/Rockしたパターンの、本作はポーランド版といえる快作だから。ヴァイオリンは派手な演奏で圧倒してくるわけじゃないけれど、細やかな奏法、ピチカート、和音、装飾音などが繊細なのがよい。良いボーカリストの条件として発音いちおんいちおんの表情が豊かというのを常々アゲていますが、それの楽器盤。プログレ的要素、強烈なインタープレイは控えめにもかかわらずこんなに引き込まれるのは不思議ですてき。ベースのアルコとヴァイオリンがユニゾンするのは躍動感すごい*2。
- Adam Baldych - violin
- Helge Lien - piano
- Frode Berg - double bass
- Per Oddvar Johansen - drums
→第一印象4.7(5点満点)
【Anthology】 木住野佳子 ★オススメ★
お恥ずかしながらはじめまして。Jazz。ジャズピアニスト木住野佳子さんのリーダー作。かかりつけのレコード屋の店長推薦。
デビュー・アルバム『フェアリー・テイル』から2000年リリース『テンダネス』までのキャリア初期のアルバムに収録発売されたスタンダード及びオリジナル曲の中から、オフィシャルサイトにてファンからお気に入りの曲を投票してもらい、上位曲を現在のレギュラー・トリオで再録音。
という成り立ちゆえか、ちゃっちゃかテーマを提示したらアドリブバトル、というよりじっくり作曲・編曲したうえで、インタープレイは少なめながら集中しゅうちゅうといったオモムキ。2曲目『Fairy Tale』のベースラインが素晴らしくこれはベーシストの即興力の成せるスゴワザなのかとおもいきや他の曲ではそういうシーンが見られず、ということは特別に意図されたんだろうなあと推測し、逆にどう意図したらこんな作曲ができるのかと驚嘆。ただムーデーな雰囲気のJazzにはくたばらせて差し上げますわよと思いますが、ムードのあちこちに目を見張る作曲・演奏が散りばめられた快演がずらり。
→第一印象:4.5(5点満点)
https://itunes.apple.com/jp/album/anthology-20th-anniversary/id1025674159?uo=4&at=10lqt2【Blossom Bells】 Erland Dahlen ★オススメ★
はじめまして。Jazz。iTunesのJazzカテゴリーにあがってきた新譜なのでJazzとしましたが、なかなか分類に困る音楽。「汎・音楽」といいますかサウンドトラック的ともいえるしゲーム音楽のアレンジアルバムだって言われたらなるほどという趣です。構築的な曲を中心にしながら突然、自由即興してる混沌とした音源もあり、一筋縄ではいかない面白い作品でした。
→第一印象:4.1(5点満点)
【Cuba: The Conversation Continues】 Arturo O'Farrill & The Afro Latin Jazz Orchestra ★オススメ★
Jazz。はじめまして。アルバム名がキューバでバンド名がアフロ・ラテンという、中南米からアフリカまで幅広くカバーしちゃうぞジャズ・オーケストラっぽい作品。印象としては中南米ベースで、どこらへんがアフロなのかよくわからないけれど、随所に散りばめられたミニマルっぽさが、アフリカ音楽が西洋でミニマルになって再度Jazzに戻ってきた感じなのでしょうか。それはさておき、そんなミニマルっぽさがホットな南米にクールな刺激となって抜群のハーモニー。アレンジも緻密で抜かりはない。
→第一印象:4.3(5点満点)
https://itunes.apple.com/jp/album/cuba-conversation-continues/id1019617340?uo=4&at=10lqt2
【Radiate】 Liberty Ellman
はじめまして。Jazz。英国人ギタリストLiberty Ellmanによるリーダー作。ギター、トランペット、アルト・サックス、ベース、ドラムス編成。何系っていうのかしら。アヴァンギャルド×レコメン系?まだプログレのプとロを齧っていた頃、TZADIKレーベルやらなんやらの怪しげなJazzに手を出しては挫折した頃を思い出す音です。作曲されるパートは調性感の希薄でグニャグニャしながらもリズムは際どく、アドリブはフリー。これはいいものだ、と思えるから、かつて挫折したTZADIKの物々を復讐したくなりもうした。
→第一印象:4.0(5点満点)
[asin:B013J7Z2MG:detail]
https://itunes.apple.com/jp/album/radiate/id1027970685?uo=4&at=10lqt2
【Down to Earth Tour 1979 (Live)】 Rainbow
Rock。おなじみRitchie Blackmore率いるRaibowのライブ音源。アルバム【Down to Earth】に伴うツアーから3公演を収めたボックスセット(Amazon Musicでダウンロード買いしたので付属品についてはレビューできません)。音質はよくないです。音質が良くないからかドラムは本当にCozy Powell なのか?と疑ってしまう地味さ。ただ、Graham Bonnetのボーカルは素晴らしい。ライブだとだいぶトーンが落ちてしまう前任のDIO様に比べるとライブでのタフさパワフルさはアスリート級。そんなGraham Bonnetを堪能出来るだけで価値はあります。
前任の故・DIO様もひとつ。悪魔的存在感は圧倒的。
→第一印象:3.5(5点満点)
【Cinq Lignes】 佐藤芳明
Jazz。はじめまして。アコーディオン奏者、佐藤芳明のリーダー作。
>https://www.kronekodow.com/gaiko/150701cinqlignes.html>|
収録される6曲のうち、冒頭からの5曲が、佐藤のアコーディオンともうひとりのミュージシャンが奏でる楽器による、1対1の演奏です。そして最後は、佐藤による独奏によって締め括られます。
1 井桁 3:24
パーカッション相川瞳と
2 眠る鳥 6:23
ヴァイオリン壷井彰久と
3 5533 4:32
ギター鬼怒無月と
4 隙間 5:13
ピアノ田中信正と
5 Baron 5:17
ベース鳥越啓介と
6 時間と距離 1:14
佐藤芳明ひとりで
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キース・エマーソン感あるM1、曲名通り5+5+3+3拍子で展開するM3がプログレ厨的にぐっときます。5+5+3+3=16なので、聞きながら4+4+4+4の指バッチンして擬似的にセッションに参加すると汁から脳が発現して気持ち居のでオススメ。
→第一印象:3.8(5点満点)
【Live Like It's The Last Day】 Head Over Heels
J-Pop。初めまして。
紅一点ヴォーカルUを中心に東京都内で活動するポップパンク・バンド、Head Over Heels。ポップパンクからイージーコアまでを網羅した、全方位ポップパンク・リスナー対応のデビュー作。
ふむ。「ポップパンク」も「イージーコア」も初めて聞くジャンルなので戸惑いますが。
ポップパンクバンドとは思えない壮大なイントロから、一気にファストでアグレッシヴな展開をみせるインパクト抜群の「Saviors」。イージーコアの王道とも言えるヘヴィなリフとポジティヴな世界観、(略)全包囲ポップパンクリスナー対応のデビュー作! !
せやな。「ポップパンク」→「ポップス(パンク風)」、「イージーコア」→イージー(リスニング化したハード)コアと理解できました。パンクとかいうから対外破壊自己破壊で暴力的なイメージが湧いちゃうけど、素直にJ-Popとして極上。J-Pop × 英語歌手はよく化ける。英語を前提としたメロディはテンポ速めのポップスによく合う。
→第一印象:3.7(5点満点)
【Minima_Rhythm II】 久石譲
作曲家、久石譲のミニマル作品。テリー・ライリーをベースに、ベースに、ええと、きっと、その、ジョーなりの実験性が、きっと、もりこ・・・まれ?細やかなことは分からないのですが、パーツはミニマルだけれど中・大規模な構造というか物語性があるのが特徴。
スティーブ・ライヒの作品で好きな曲に『Eight Lines』というのがあります
身になる最小単位ではとてもドラマチックなんだけど、曲全体の変化は物語性がなくってリハーサルマーク(楽譜の一番上についてる番号≒マーカー)単位でシャッフルしても印象がまったく変わらないんじゃないか。その点、ジョーの本作は展開に進行する力がある。ほとんどロック。
それが極端なまでに肥大化されたのが【Works III】収録の『死の巡礼』
肥大なのかミニマルなのかよくわからなくなってしまいましたが。極大主義と最小限主義のバランスで言うと、一旦ミニマル方向に振り切ってややリバンドしたあたりの作風。
逆に極大方向に振り切ってちょっとだけリバンド(第3パート)したのが『Summer』とか。
ナウシカのサントラはグラス風の曲が・・・うんぬん。
こちらは前作から。
→第一印象:3.7(5点満点)
【Cooking】 J.A.G
Jazz。はじめまして。日本のJazzトリオJ.A.Gの作品。「ただムーデーな雰囲気のJazzにはくたばらせて差し上げますわよと思います」というのは、べ、べつに本作をディスったわけじゃああああないんjだあらなねえええ。祭り囃子×So What?であるところの『祇園小唄』とかわああいモードJazzあかりモードだいすきでありますし。ただ、ミックスがウェットすぎる、特にピアノの中音域が強すぎて耳が疲れるという欠点はあります。
→第一印象:2.0(5点満点)