2014年よかったアルバム:J-POP(大賞)賞
J-Popの金賞・銀賞編です。
目次はこちら。
2014年よかった音楽(目次) - 怪奇骨董たおやめぶりっこ
配信サービスの廃利用により、前半を中心にとにかく数を聴いた一年でした。あまりにお気に入りにヒットする割合が低くコスパが悪いので、後半はちゃんと視聴して厳選するようになりました。母数が大きいぶん、それなりにお気に入りの数もありますのでさらっと紹介いたします。
- 大賞
- 小田朋美《シャーマン狩り -Go Gunning For Shaman-》
- 金賞
- 銀賞
- 凡例
- 《アルバム名》
- 『曲名』
- 【アーティスト名】(敬称略)
- [番組名]
J-Pop部門大賞
小田朋美《シャーマン狩り -Go Gunning For Shaman-》
発表は2013年12月。小田朋美さんの1stアルバム。
坂本龍一、渋谷慶一郎に続く <東京芸大作曲科卒の非クラシック・アーティスト> しかも女性という履歴、27歳という若さ、作曲は元より、オーケストレーション規模でフーガから現代的な響きまで駆使する完成された編曲力、古典からモダンポリリズムに至る、独特で卓越したピアノの演奏能力、トランシーなまでの濃厚な歌唱力、と圧倒的で全方向的な才能が菊地成孔との共同プロデュースでデビュー! (Aamazonの商品ページより)
というわけで圧倒的なプログレりょくを耳障りの良いポップスにまとめあげられた怪作。なにより、プログレに欠乏しがちなモダンポリリズムが巧みに織り込まれているのは2010年代にしかありえない生きててよかった案件。
小田朋美1stアルバム『シャーマン狩り -Go Gunning Shaman-』告知動画② ...
J-Pop部門金賞
Vampillia《The Divine Move》《My Beautiful Twisted Nightmares in Aurora Rainbow Darkness》
2014年衝撃のニューカマーはVampillia。デビューに先立つ企画盤《The Divine Move》と1st《My Beautiful Twisted Nightmares in Aurora Rainbow Darkness》を合わせて表裏一体でどうぞ。
大阪が産んだ美しく毀誉褒貶に満ちたブルータルオーケストラ「Vampillia」タスマニアギター、ノイズギター、魂だけファンキーベース、ピアノ、ストリングス、オペラのVelladon、きこりの恋幟モンゴロイド、ツインドラムにRuinsの吉田達也とNICE VIEW、TURTLE ISLANDの竜巻太郎ら10数人のメンバーからなる。無駄に壮大なライブには定評がある。
「吉田達也」って名前を見て腰を抜かしちゃう。先の小田さんは表面がPopsで中身の構造が複雑怪奇だったのに対し、こちらは表面からしてギリギリアウト(中身は幾分もシンプル)。《The Divine Move》と《My Beautiful Twisted Nightmares in Aurora Rainbow Darkness》をそれぞれ象徴する音源を載せておきます。
Vampillia - mirror mirror (bombs BiS) from"The ...
Vampillia - ice fist (MUSIC VIDEO) - YouTube
《Some Nightmares Take You Aurora Rainbow Darkness》というアルバムがありますが、1st《My Beautiful Twisted Nightmares in Aurora Rainbow Darkness》の海外向け版で中身はほぼ一緒なので私のようにうっかり買う前にご確認ください。
宇宙コンビニ《月の反射でみてた》
まさに新人類。
京都発の男女トリオ・バンド、宇宙コンビニのセカンド・ミニ・アルバム。“女子5弦ベース+変態タッピングギター+タイトかつキメ細かいドラム”の3人で展開する、さらに進化を遂げた“プログレッシブ・ポップ”。平均年齢21歳(2014年時)が放つ独自の世界は海を越え、更なるスケールへ。
ポストロックのクールな音像をベースに、nhhmbaseばりの変則に変則を積み重ねるリズムの柔軟性を加え、歌うところはボカロ曲ばりに甘くドラマチック。すべていいとこ取り。こんな感性音楽性を持った人が今後ぞくぞく出てきたらどうしようと希望に満ち満ちてしまう逸品。
J-Pop部門銀賞
ナンバタタン《ガールズ・レテル・トーク》
お気に入りのかわいい系ポップスは今年も大漁豊作ウハウハでしたが、代表作として本作をあげることにしました。甲乙つけがたいものばかりですが。
南波志帆+タルトタタン = ナンバタタン
巷で話題のイベント「ナンバタタン・ノ・ズレテルナイト」から南波志帆+タルトタタンによるユニット「ナンバタタン」がデビュー!
南波さんの「素材」としての魅力がミラクル過ぎて、誰とコラボレーションしても無類。唐突なZAZEN BOYSZ風『コミュニケーション過剰です』のインパクトをお楽しみに。
Omodaka《Bridge Song》
テクノ民謡の"Omodaka"が2年半振りにお届けするヌーベル民謡チップ料理のフルコース!
この機会に是非お楽しみ下さい。
民謡、雅楽、クラシック、懐メロとチップチューンとテクノを様々な割合で盛り合わせました。珍百景。
平沢進/核P-MODEL《Liveの方法2 導入のマジック》
— Susumu Hirasawa (@hirasawa) 2009, 10月 26
という印象的なtwitterツイートで話題をさらって以来、おちゃめにつぶやきを続けてはる平沢先生の2014の話題作。
平沢進のソロ・ライヴを中心に、核P-MODELのライヴ、さらに未公開の仮想ライヴ音源までも収めた異例のライヴCD。収録曲は様々なライヴより厳選された“出囃子”とそれに続く1曲目のみの集約。
正直、平沢先生のしごとはモーレツに好きというわけではないのだけど、観客の興奮と期待を最高潮に持っていくためにある、そのミュージシャンの美学が結実するライブの出囃子+1曲めのみで構成された本作が「中だるみ」とは無縁であることは言うまでもないでありますはい。
崇めよ我はTVなり (パラレル・コザック Ver) - YouTube
幾何学模様《Forest of Lost Children》
現代に突然タイムスリップしてやってきたサイケデリックバンド。CANかNew!かAmon Duulかと見紛う懐かしいサウンド、が、現在の音質で聞けるなんて贅沢体験。
Kikagaku Moyo/幾何学模様 "Kodama" Official Music Video ...
『Smoke and Mirrors』ではみんな大好き5+5+5+6拍子が聞けちゃいます。プログレ厨ちょろいん。
Kikagaku Moyo / 幾何学模様- Smoke and Mirrors - Live at ...
https://itunes.apple.com/jp/album/forest-of-lost-children/id874384502?uo=4&at=10lqt2
jizue《shiori》
いまやシーンを代表するインストゥルメンタルバンドとなったjizue(ジズー)の4枚目となるフルアルバム! ゲストヴォーカルにShing02、中嶋イッキュウ(tricot)が参加した最注目盤! 前作『journal』から1年振り、4枚目のフルアルバム『shiori』では、哀愁漂うピアノの旋律を軸に、ポストロック、ジャズ、プログレッシヴロック、ラテンなど、様々な要素を取り込んだエモーショナルでドラマチックな楽曲を全10曲収録。
全体のお気に入り度では2枚目(journal)、インパクトでは3枚目([asin:B007C88R2G:title])に軍配るものの、十分2014年ベストに挙げられる良策。「インスト系バンドがゲストボーカルを招いて作ったアルバム」は駄作になりがちなんだけど、こちらはよいバランスを保っていると思います。
ラッパーを招いたのリズムが単調になってしまうのは残念。ポリリズみっくなリズムの上に、器楽から生み出され得ぬ独特のフローをラッパーが聞かせる、というのがイマドキの音楽シーン(通称「今ジャズ」)と伝え聞いております。
ものんくる《南へ》
バンド【ものんくる】メジャーデビューアルバム。
「大賞」に挙げた小田朋美《シャーマン狩り -Go Gunning For Shaman-》とシンメトリーを成す作品だなあ、などと考え本稿の最後に持ってきつつアルバムを聞き直していると、はて何がシンメトリーだったのか忘れてしまいました。
《nefertiti》:《シャーマン狩り》≒《Sketches Of Spain》:《南へ》
という対比をしたかったのかも。《シャーマン狩り》とくらべて手仕事の複雑性を抑えた代わりに管楽器によるスモールオーケストラ9人編成を活かした音の広がりアレンジの柔軟性を重視した、といいますか。
どこまでも躍動的な表題曲『南へ』と、無邪気な7拍子の行進曲が突然イヌカレー空間に変貌するような『たらけも』が白眉。
百文は一聴にしかずってことで、『南へ』のダイジェストを聴いていただければこのアルバムの良さが一発で伝わるなじゃいかしら。元も子もなっしんぐです。
[asin:B00O0SA6UC:detail]
https://itunes.apple.com/jp/album/nanhe/id921511904?uo=4&at=10lqt2
そんじゃーね。