山中千尋/MAGMA/Latte E Miele/Yes/Ethos/HAPPY THE MAN/Asia/Triumph
前回のエントリー(《Hafa Adai》井口裕香/《好きっ》三森すずこ/《4 colors for you》sphere/《股関節脱臼》デッドボールP/《☆》佐藤聡美/《鬱くしい国》アーバンギャルド - 怪奇骨董たおやめぶりっこ)が、あまりにもJ-POPに偏ってしまったので、その対比っぽいエントリーにしてみました。冒頭の山中千尋さん以外は最近聞いたプログレ作品となります。第一印象も「プログレ脳基準」で。つまりプログレ基準で「プログレとしては冴えないなー2.0」でも、J-POP基準なら「このJ-POPバンド、ほのかにプログレのかほりがしてなかなか有望じゃない!4.0」という感じ。
- 《SOMETHIN' BLUE》山中千尋
- 《Zuhn Wol Unsai-Live 1974》MAGMA ★おすすめ★
- 《PASSIO SECUNDUM MATTHEUM: THE COMPLETE WORK》Latte E Miele
- 《Heaven & Earth》Yes
- 《Ardour》Ethos ★おすすめ★
- 《Crafty Hands》HAPPY THE MAN
- 《Armed To The Teeth》Asia
- 《Allied Forces》Triumph
- 《Ni Vent....Ni Nouvelle》MANEIGE
《SOMETHIN' BLUE》山中千尋
- 絶好調にリリースを続けるジャズ・ピアニスト山中千尋さんのもう何枚目になるかわからない最新作。面子は以下のとおり。
- 山中 千尋(piano)
- ベニー・ベナック三世(trumpet)
- 中村 恭士(bass)
- ケンドリック・スコット(drums)
- ラゲ・ルンド(guitar)
- ジェリール・ショー(saxophone)
- 山中さんといえば、小さなコンボでオスカー・ピーターソンばりにばりばりスウィングしつつ、まれにほんのちょっとプログレ風味(というかアルバム《abyss》が特殊)と認識しているけれど、ご覧のとおりのセクステット体制は珍しい。全体的にはアンサンブル重視で悠々とした内容に。
- 『Funiculi Funicula』の終盤に突然Soft Machineがやってきた!?とミニマルパートがでてきてうっかり失禁。
- 『Pinhole Camera』の謎のカクカクした拍子でフェードアウトするエンディングも奇抜。
- オーソドックスな曲では、軽快にコンパクトにゴリ押しにアドリブを回してゆく『For Real』が好み。
→第一印象 4.0/5.0
https://itunes.apple.com/jp/album/somethin-blue/id894156709?uo=4&at=10lqt2《Zuhn Wol Unsai-Live 1974》MAGMA
- いつ注文したかも覚えてないマグマが突然届いたので。'74年、ヤニックトップ在籍時のライブ音源。
いつ注文したかも覚えてないマグマが突然届いたので通勤往復リピート地獄をキメてきたところ。
- ヤニック・トップ在籍時のライブらしい、ゆったりずっしりめの演奏。
- 曲目はSoisoi+KMX、M.D.K、ドラムソロ、Theusz Hamtaahk。シャープ目なSoisoi+KMXはなかなかよい。《Inédits》のバージョンが荒々しくてベストだけど、それにつぐ快演奏。
- M.D.K.はパガノッティ&ロックウッド体制で高速化したバージョンのほうがお好み。女声コーラス隊がいないのでちょっとさびしい。ブラスキスが一箇所派手にパートをミスってたり。
- 後々さまざまなバリエーションが生まれる「Nebehr Gudahtt」のパート、ここではヴァンデの歌!さながらテナーサックスの形態模写。また、後々には見られない特徴として、バッキングが「Ziss unt etnah」に混じって「Hel Hel Hel wori tstoh Wahn worosai」のフレーズを先行してまぶしてくるところ。複数パートがユニゾンしていることから、エレピ独断のアドリブじゃない様子。これは興味深い。最終パートの「Meneh weh sowri ri ri ri ri ri」がそうじゃない歌詞で歌われているのも珍しい。そこらへんも注目しつつ、音源をご確認ください。
- ヤニック・トップのベースは治外法権である。ベースにだけ耳を凝らして聴き通すのも一興である。
- 意外にあたりだったのは『Theusz Hamtaahk』の後半のテンションがビンビンだったっこと。この時期特有のヘンテコなコーダ付き。
- ラジオ放送向け録音ということで音質・パートの分離がとてもよく、特にペダルで刻むハイハットがよくきこえるのがよい。安定のハイテンションである。ヤニックトップによる『Theusz Hamtaahk』の全編演奏音源はこれが初お目見え?
- 唯一飽きてしまうのがながーいドラムソロ。ただ、その導入でブラスキスが倍音でMC&ホーミーするシーンに注目。
→第一印象 5.0/5.0(プログレ脳基準)
《PASSIO SECUNDUM MATTHEUM: THE COMPLETE WORK》Latte E Miele
- ラッテ・エ・ミーレの新作が出たってBurrn!誌を立ち読みしてたら書いてあったのですかさずAamazon MP3で。
- タイトルが示す通り'72の作品『「PASSIO SECUNDUM MATTHEUM(受難劇)』に新たなパートを加え再編成&再演したやーつである。-ちょっと考えてみれば、原盤のほうを丸暗記するほど聴き込んでいないので、アレンジ版を聞いて、ああここが変わった、これは新しい、という気付きが全然なくって、プログレ糞野郎失格であります。
- というわけで2014年に発表された純然たる新作として聞いてしまえば、それはそれでいろいろ物足りなく感じざるを得ないところ。構成も、演奏も。原盤がそれでも素敵なのはやっぱり'70年台の古めかしい音像のおかげなんだなあとしみじみしてしまう次第でありました。
- http://www.progstreaming.com/_wb/pages/play-album.php?activeAlbum=00743%20-%20Latte%20E%20Miele%20-%20Passio%20Secundum%20Matthaeum%20(The%20Complete%20Work)こちらで試聴できます
原版はこんな雰囲気。
→第一印象 2.5/5.0(プログレ脳基準)
《Heaven & Earth》Yes
- 老舗プログレバンド【Yes】2014年新作。スタジオ・アルバムとしては、'83年の《ロンリー・ハート》以降のアルバムを聞いたことがなかったので、その間にいったいどんなスッタモンダがあったか全く想像もつかない、本作の参加メンバーはこちら。
- あえて聞いたことのある過去作でいえば《Tomato》風。トーマトよりさらにイージーで爽やかになっていらっしゃる。クリス・スクアイアのぶりぶりと揺らぐベースと、変拍子も交えつつ歌→インスト→歌を構成する最終曲『Subway Walls』が辛うじてプログレ感を滲ませている。懐古厨って言われても仕方ないけれどやっぱり往年の'70年代が色あせなさすぎてつらい。
- あまりにつらかったので、Youtubeで再発されたスタジオ・アルバムについてくる「Bonus Track」を聞いて回るという逃避行に興じてしまいました。その感想はまた別途脳内ブログにまとめております。
YoutubeでひたすらYesのリマスターされたアルバムについてくるBonus Tracks部分を聴いて回ってる。
— ふらくやん (@derutcarf) 2014年7月19日
うっかり海洋地形学を再評価しそうに。あぶないあぶない
— ふらくやん (@derutcarf) 2014年7月19日
→第一印象 1.5/5.0
[asin:B00L2TPHH4:detail]
https://itunes.apple.com/jp/album/heaven-earth/id894926077?uo=4&at=10lqt2
《Ardour》Ethos
- はじめまして。アメリカのプログレバンド、イーノックではなく、イーソス。'75年製。
- 「プログレ初心者にすすめるプログレの最大公約数的アルバム」といえば、Genesisの《Foxtrot》を挙げていたのだけど、もしかしたら、この《Ardour》が取って代わるのでは、と思ったりする。えっ。プログレ初心者にプログレを薦めるなんてシチュエーション、一度足りとも訪れていませんよ……もちろん。
- 全体としては、GenesisをモチーフにYesの音像でまとめつつアクセントにKing Crimsonをふりかけるって感じ。それら類型3バンドには見られないシンセ使いが特徴的。全編にわたってメロトロン音が響き渡ってる割に、からっとした印象を受けるのがアメリカの佐賀ってやつか。
- アコギが刻むリズムからシンセが切り込んでくるイントロでもうこれは傑作フラグがびんびん。後半、Yes《Relayer》ばりに攻める曲、印象的なアルペジオフレーズを皮切りにパワープレイに走る曲、終盤、突然ANEKDOTENの登場か?と思わせるダークなイントロからKing Crimson《circus》風に展開する曲が印象的。最後の最後は素敵な「なにがなんだかわからなくはない」歌曲。
- かつて、初めてYesやGenesisの大作を聴いて味わった「なにがなんだかわからない感」ってを追体験してしまった。
→第一印象 4.5/5.0(プログレ脳基準)
《Crafty Hands》HAPPY THE MAN
- はじめまして。'78年、アメリカ製プログレバンドの2作目。
- とてもよいです。変拍子バンドといっていいでしょう。冒頭から解像度16分の変拍子で幕開けて「やったね」と歓喜。あたくし動体聴力が弱いので解像度16分音符になると「なにかが起きてる」ことがわかっても何が起きているかまで理解できないのですごめんなさい。
- 以降も、ややフュージョンに寄りつつも、人を喰ったようなリズム展開はGentle Giantの流れか。後半、ボーカルが入る曲は地に足の着いた構成でGenesisに親しくて気分が高揚します。最後、ゆったり5拍子で尻窄みに終わってしまうのはちょっと残念。
- バンド編成にアナログシンセ(Moog)や管楽器が加わって華やかなアンサンブルを聞かせてくれるのがプログレ時代ならでは。
- 関連作にも足を伸ばしてみたくなる足る快作。
▼HAPPY THE MAN - Crafty Hands [full album] - YouTube
→第一印象 3.5/5.0(プログレ脳基準)
《Armed To The Teeth》Asia
- はじめまして。'80年アメリカ製。英国のAsiaとは別バンド。
- '80年台、アメリカ、名前がAsia……うっ、頭が。でもだいじょうぶ、音はしっかりとした’70年台そのもの。ドラムやピアノのしょぼしょぼ感そして全編に渡って使われているメロトロン。メロトロンが鳴ってるとプログレフラグが勃つってのはよくない症状だけど、でも、でもでもプログレ者はメロトロンが大好き。
- '70年台プログレ的な音像に北米人のからっとした明るさがほどよくブレンドされている。『Xanadu.』ではダークで強気なインストパートがあり聴き応えあり。へんてこな日本の軍歌みたいなパートに驚かされ、これきっとまじめに作りこんでいるのかしらと想像すると、早すぎたアメリカのモモクロ、みたいなフレーズも浮かんでは消えて二度と浮かぶことはなかった。
- 変拍子的なおもしろさはなかったけれど、B級グルメとしてなかなかの逸品。
▼Asia - Armed To The Teeth (1980) - YouTube
→第一印象 3.0/5.0(プログレ脳基準)
《Allied Forces》Triumph
- はじめまして。'81年、カナダはトロント製。北米のプログレ・ハード?と呼ばれるゾーンはほとんど未踏なので、そこらへんをチョイスしてみました。
- プログレ?ではないですね。ほとんど正統的なハードロックじゃないでしょうか。Rainbowの延長線上で聞くとすんなり入ってくる。一瞬、コージー・パウエルぽいフィルインが聞こえたりして。北米らしいさわやかなハードで心地よく聞けました。
- なんでも当時の放題が『メタル同盟』だったそうで。確かにこのジャケットはw。今の耳で聞くと全然メタルな印象は受けなくって、当時の「メタル観」とはどんなだっのか気になるところ。
→第一印象 2.5/5.0(プログレ脳基準)
[asin:B000YNZ0H6:detail]
https://itunes.apple.com/jp/album/allied-forces/id527756019?uo=4&at=10lqt2
《Ni Vent....Ni Nouvelle》MANEIGE
- はじめまして。'72年に結成されたカナダのバンドMANEIGEの3作目。’77年製。
- 全編インスト。チェンバー・ロックともフュージョンともレコメン系とも言える・・・総括するとプログレ。
- フルートが積極的に出てくるところが実にプログレしい。シンプルなフレーズ(変拍子もあるよ!)を紡いでいくスタイルは陽気にしたMAGMAともいえなくともなきにしもあらず。
→第一印象 3.5/5.0(プログレ脳基準)
[asin:B00JAJVD62:detail]
https://itunes.apple.com/jp/album/ni-vent-ni-nouvelle/id846245886?uo=4&at=10lqt2
Hortz fur dehn Stekehn West, Hortz zi wehr SON-JAAA-NE。