2014年2月近辺のやーつ(CYNIC/佐村河内守: 大友直人/花澤香菜/Omer Avital/印象派/魅起法則/鈴木このみ/金子ノブアキ)
ハー。もう本年度が終わってしまう。と、下書きを書いていたら一ヶ月が経過してもう4月も末でございます。「一言感想」レベルにとどめてなるべく網羅性を高めようと思いつつ、なにか書き始めるとついつい連想ゲームであれこれ関連音源を聴いたり動画を探したりして数時間が経過しちゃう罠を回避できないのDEATH。まだ2月から逃れられない・・・・・・!!
- 《Kindly Bent To Free Us》CYNIC
- 《交響曲第1番 HIROSHIMA》佐村河内守: 大友直人; 東京交響楽団
- 《25》 花澤香菜
- 《New Song》 Omer Avital
- 《is escape》魅起法則
- 《Nietzsche - EP》印象派
- 《17》鈴木このみ
- 《Historia》金子ノブアキ
- 凡例
- 《アルバム名》
- 『曲名』
- 【アーティスト名】(敬称略)
- [番組名]
《Kindly Bent To Free Us》CYNIC
- なんか伝説的なプログレッシブ・メタル(?)バンド、CYNICの'93年《Focus》、2008年《Traced In Air》に続く3rdアルバム。
- プログレッシブ・メタルに?をつけたのは、【Metallica】や【Dream Theater】のようなメタルっぽさとちょっといや違うから。ドラムが打ち鳴らし、ギターが歪み、ボーカルがデスっても、「メタル」という血なまぐささがない。そんなこんなで3枚目に至ってはドラムの速さギターの歪みボーカルのデスがすっかり潜まり、静謐といってもよいところまできました。それこそ、【Opeth】がデスメタル成分を直近のアルバム《Heritage》で浄化してきた流れと類似しています。
- そもそも、私がCYNICにたどり着いたのは、King Crimson/Dream TheaterからGordian Knot(クリムゾンのトレイ・ガンと、ドリ虫のジョン・マイアング、そしてCYNICのショーン・マローンとレイナート)を経由してきたので(以下略)詳しくはhttp://enjoy.pial.jp/~chipmunk/GORDIANKNOT.html参照。
- 一見ぼわーっとシューゲイザーみたいな音像で気を失ってしまいそうになるけれど、じっくり耳を澄ませば驚くほど趣向を凝らしたテクニカルでトリッキーなからくりに耳を奪われずにはいられない良作。
▼Cynic - Kindly Bent To Free Us (full album)
こらこら、アルバムまとめてあげるなんてけしからん!・・・曲ごとにばらしなさい。
→第一印象 4.1/5.0
《交響曲第1番 HIROSHIMA》佐村河内守: 大友直人; 東京交響楽団
- 2014年2月当時、ゴーストライター事件で話題だった(フォン)ツァムラゴーチさんの交響曲。
- (フォン)ツァムラさんが、ゴーストライターの新垣隆さんに交響曲の作曲を依頼した時に伝えられたという「指示書」を片手に、「この絶望を前にして屈してしまいそうな、哀しみの人間の姿かも知れない」「死の淵でやはり逡巡し彷徨いながら、過去を走馬燈のように追想する姿が垣間見える」ロマン派の交響曲を70年代のロック音楽ライターが熱く語ったかのようなライナーノーツをもう片手に、その音楽と対照しながら鑑賞するのが吉。
- 初演されたとき、第2楽章を省略した第1、3楽章で演奏され(要出典)大好評を博したというのは納得。長大な第2楽章はかなり集中して機微な変化をも聴いていかないと退屈してしまうかも。
- 古今東西調整/無調音楽のさまざまな技法がてんこもられ、まるで交響曲技法の見本市のようで、聞けば聴くほどスルメが飛び出てじゃじゃじゃじゃーん。
- このような作品が、現代音楽家にとって自分の名前を出すまでもない「取るに足らないもの」(要出典)だとしたら、もっとこういうとるに足らないものを発表してほしい。もし、こういう「取るに足らない物」を自分の名前で出そうものなら「安易な調性音楽に魂を売った」などと言われてしまうのが現代音楽業界だとしたらとても残念なことでありゅ。
- HIROSHIMAといえば、元々「De Futura Hiroshima」と名付けられていたMAGMAの名曲「De Futura」を置いておきますね。
▼MAGMA - De Futura 1977 - ニコニコ動画
→第一印象 3.4/5.0
《25》 花澤香菜
- 声優の花澤香菜さんの2ndアルバム。前作《clair》は、「インターネットのブログをグログする人たちが挙げる2013年のベスト」を集計したネットの音楽オタクが選んだ2013年の日本のアルバム ベスト50→1 : pitti blogの24位に入るなど、のきなみ好評価。本作も北川勝利(ROUND TABLE)さん全面監修の元であります。
- 『last contrast』から締めくくられる最後の3曲が秀逸。まるでガイモン&サーファンクルのアルバム《Bookends》のレコードB面を聴いているかのよう。シュウゲイズ気味のロック風味が香るバックに一瞬ほかのひとかと聞き間違える控えめなトーンで歌われる『last contrast』、心揺さぶられる朗読を含む『花びら』、24曲に渡る組曲はコーダを迎えたところに『Good Conversation』終末を宙ぶらりんにする小曲が付け加えられ心地よい余韻が残される。
- 付け加えて、フォーク調で『flattery』にぐっと来てしまうのはトシをとったのでしょーか。スフィアの『虹色の約束 』とか。
- Youtube等で聴くことができないので、かわりに英国フォークのペンタングルの名曲を置いときますね('68年製)。
▼Pentangle - Light Flight
→第一印象 3.0/5.0
https://itunes.apple.com/jp/album/25/id806096628?uo=4&at=10lqt2《New Song》 Omer Avital
- イスラエル出身のベーシストOmer Avitalさんのリーダー作。
- イスラエル/ユダヤ、という関連では、Sheshet(バンド)、John Zorn(いろいろ)、Avishai Cohen(Bs)くらいしかマークしていないのですが、それぞれがそれぞれのやり方・濃度でキリスト教世界の音楽をベースにイスラエル/ユダヤ的素材を料理していて興味の尽きない領域であります。イスラエル/ユダヤ音楽とはなんぞやっていうことは体系的に学習しているわけではなく、特徴のある音階と、ずんずんと突き上げるようなベースが特徴的だなあ、という把握であります、が。
- 全体的には、いっちょうすると地味な印象だけれど、耳を澄ませば済ますほど各奏者の演奏にしびれる系スルメ。コンテンポラリーなJazz(新主流派以降?)にイスラエルっぽい原始的なリズムを適度にまぶし、時折印象的なコーラスワークで彩りが加わる。
- 『Maroc』はめくるめく5・6拍子世界がめまぐるしいグルーブがバイブスでレスポンティブがアルマゲドンな快作。
▼Avital meets Avital - "Maroc"
「めくるめく」なパートは省略されているけれど、この曲の盛り上がりっぷりが伝わる動画。2:50あたりからメインの楽器隊に合わせて「しゃんしゃんしゃん しゃんしゃんしゃん」と6連刻まれたリズムが、3:06から4連(裏)に切り替わって「んしゃん んしゃん んしゃん んしゃん」とポリリズムっぽくなる展開にぶるぶるっとしますね!
→第一印象 4.0/5.0
[asin:B00GMH2W0G:detail]
https://itunes.apple.com/jp/album/new-song/id780589821?uo=4&at=10lqt2
《is escape》魅起法則
- はじめまして。3ピースガールズバンド「魅起法則(ミキノルム)」の1stアルバム。
- 【凛として時雨】からプログレっぽい要素をがっぽり抜いて(マイナス)、女声ボーカルにチェンジ(プラス)した感じ。もし「【凛として時雨】は曲の構造が複雑だし演奏技巧をひけらかす感じでいやだわー、加えて主に歌ってるのが男声だし」なんて人がいるのならうってつけ。
▼魅起法則 MIKINORME / and more!!
→第一印象 2.0/5.0
《Nietzsche - EP》印象派
- 初めまして。mica(Vo, Key)とmiu(G, Vo)による大阪発の女性2人組ユニット“印象派”のファースト・ミニ・アルバム*1。
- 「J-POPをがんばって聴く2013年度」は、「ポスト・チャットモンチー戦線」などというと大風呂敷だけど、チャットモンチーがデュオ体制になってアルバム《変身》以来表だった活動が見られなくなった大きな空白を、次はどんな人が埋めてくるのか、という世界観でJ-POPを聴いています。ついでにそこに含まれるZAZEN的もしくはポストロック的成分。【ねごと】【さよならポニーテール】【アインシュタインズ】【赤い公園】【惑星アブノーマル】など。
- そういう観点で、わたしたちこんなのからこんなのまでいけすよと守備範囲・攻撃範囲を説明書のように示したミニアルバムで登場した【印象派】は少なからず、いや少しばかりセンセーショナル。
▼印象派 "SWAP" (Official Music Video)
→第一印象 2.5/5.0
《17》鈴木このみ
- 14歳でアニマックス第5回全日本アニソングランプリで優勝してデビューを飾った【鈴木このみ】さんの17歳を記念した1stアルバム。
- 家入レオさんのときにまだわけーんだからキャラ固めずにいろいろやってみせてくれたらうれしいなあ、みたいなことを言いましたが、鈴木このみさんにも同じ感想を持ちました。終始気合いが漲っていて、ブレイク的な瞬間があれば対比として映えるんじゃないかと。と、ここで【愛美】さんのアルバム《Love》(愛美 1st.アルバム「Love」)を連想したので聞き直していたところ。こちらも当時の第一印象は「リキんでるなあ」だったのですが、曲のバリエーションに緩急がついていて、そうでもなかったり。
- さて、【キバオブアキバ】との合作ということで、リキがやや薄れてよいバランスになっているのが『私がモテないのはどう考えてもお前らが悪い』。中間部分のインストもひとひねり効いていて好印象。
▼「私がモテないのはどう考えてもお前らが悪い」Music Clip(TVsize)
- また、『Tears BREAKER』はそんなリキの入ったキャラクターと曲がベストマッチした良作。
▼Tears BREAKER
→第一印象 2.0/5.0
《Historia》金子ノブアキ
- はじめまして。RIZEのメンバーであり、俳優としても活躍する金子ノブアキのソロ・アルバム。*2
- 冒頭『Historia』の躍動感がとてもいい。エレクトリックなサウンドにシャープなドラム、ささやくようなボーカルの組み合わせが心地よい。「機械化したROVO」という聴き方がちょうどいい。
▼金子ノブアキ - Historia
▼ROVO "D.D.E." PV (from 10th Album "PHASE")
ところで、Rovoの現時点での最新作《PHASE》([asin:B0092P092I:title])は、彼らのスタジオアルバムで一番のお気に入りですヨロ。
→第一印象 2.0/5.0
https://itunes.apple.com/jp/album/phase/id582589596?uo=4&at=10lqt2
そそそそんじゃーね。