日本IBM管弦楽団第12回定期演奏会@すみだトリフォニーホール(2008-05-11)
2008-05-11(日)、「折り合いBチーム社会科見学1stシーズン」の最終回であるところのオーケストラ鑑賞。
- まえがき:小咄
- 総論:全体の印象について
- 各論:各曲の感想と音源・映像リンク
- あとがき:最近のクラシック生活など
まえがき
やや、わたくしはそんな大きな会社の社員じゃございませんよ。下請けの下請けの二流の三流のカス人間ですって。先日も、社員場を視察しにきた偉い人が「ギョクサイ!orハラキリ!」と檄を飛ばすのを地べたに頭をこすりつけながら拝聴させて頂いた次第です。「特定しますた」上等!積極的セキュリティコントロール!*1
以上はかなり嘘偽りでありますが、日本IBMとは長年のご縁がありますから、このような公演を拝聴させて頂く機会もあるのでございます。
続きはWebで!というわけで続きです。とはいっても、公演直後の一斉検索現象(ライブレポートを速報で書くと、客や中の人による各検索エンジンからのアクセスが「かなり」伸びる)にさらされるほど立派なことを書ける気がしなかったので2週間ほど間を置いてのレポートです。
セットリスト/総論
http://www.triphony.com/concert/list.php?sch_date=200805#p11
- 曽我大介[指揮]
びっくりするほどの大入り。開演ぎりぎりに入ったら一階二階が満席でやっと三階席を確保できたほど。舞台からは遠くいろいろな楽器個別のプレイっぷりに注目する遊びは不可能であったものの、かえって目移りすることなく全体を鑑賞することが出来た。
オーケストラの音楽会を鑑賞するのは何年ぶりかしらくらいの久しぶり。練習スタジオやライブハウスなどととは全然異なる音響空間を堪能。弦楽隊があれだけ大人数で鳴らしているのに対し、タンバリンのとても弱いタッチは確実に響き渡る不思議さね。音がどう反射してるのかなあなどと思いながら時々壁や天井を見回したりしてました。もちろん客の咳払いも含めたざわざわノイズも音楽の一部として楽しいものでありました。
演目の選択や演奏について何か言える身分ではございませんので、各曲の印象・感想にさっさとうつりましょう。
各論
喜歌劇「天国と地獄」序曲/オッフェンバック
http://pdc.s36.coreserver.jp/classic/file/2310.mp3:sound
http://public-domain-archive.com/classic/download.php?album_no=673
# MP3のリンクが切れた場合は下ページから
穏やかな前半から突如反転して様々な曲想を経て有名な運動会のアレへ。ところどころ独奏/ほぼ独奏パートがあり、腕の見せ所ってヤツですなと思いながら目耳を澄ます。フィーチャリングされたパートは拍手の時に指揮者に紹介されていた様子。
先日オペラを鑑賞した際、「序曲」というものが幕が下りた状態でオーケストラピットの穴からおもむろに演奏されているという光景を目撃して容易くそれに洗脳されてしまったので、むしろこうやってオーケストラ全体が見えている具合に違和感。
こころがガヤガヤした感じを吹き飛ばし、いっきに音楽を聴くよってモードに入らせるにはうってつけの快演。
歌劇「ファウスト」〜バレエ音楽 グノー
恥ずかしながら、グノーはバッハの平均律クラヴィーア曲第1集1曲目にメロディを乗っけた「アヴェ・マリア」しか知りませんでしたのでこのパートは出会いの時間。
▼YouTube - YMCAHO--- Ballet music from Faust I(←リンク経由が高画質高音質)
▼YouTube - YMCAHO--- Ballet Music from Faust II(←リンク経由が高画質高音質)
- クレオパトラとその奴隷たちの踊り
- トロイの娘たちの踊り
- 鏡の踊り
- フリネの踊り
とても短い曲を立て続けに7曲。パフレットの解説をちらちら見つつあれよあれよというまに終わってしまった。やあ、展開の速く短い組曲を始めて聴くのは大変。こういう曲との出会いは CD などで繰り返し聞くのがよい。2,3分の曲がめまぐるしく流れてゆくときの味わい切れない感は残念。
いまこうやって Youtube で何度も巻き戻しながら聞き返してようやく「聴き所の多い良い曲じゃないか」とつかめてきたくらい。
そういう意味では、「始めて」で「2,3分」で「立て続け」で「連続して」聴いてしっかり味合わせる事が出来るチャーリー・パーカーや ELLEGARDEN のなんと偉大な事よ。といってもそれは、ポピュラーミュージックのお約束ごとが体に染みついているってのが前提条件。逆を言えば、クラシック音楽のお約束ごとが身についていれば、この組曲もすんなり体に入るってことか。でもちゃんと最後は力強いフィナーレに魅せられてよかったですよ。あ、なんだよ、単純なやつだなあお前みたいな学のない下請けの下請けの二流の三流のカス人間はこっちくんなって目は!
交響曲第3番ハ短調「オルガン付き」 サン=サーンス
- 第1楽章 Adagio - Allegro moderato - Poco adagio
- 第2楽章
- 第1部 Allegro moderato—Presto
- 第2部 Maestoso—Allegro
こちらはお馴染みの有名曲をじっくりたっぷり。クラシックは長い曲をゆったり聴くのがいい。
緊張感のある主題が循環形式で全編あちらこちらで変奏されて出てくるのをマイルストーンに置いて、その前後をつなぐ様々な楽想を味わうというやり口で全編意識を途切れることなく楽しむことが出来た。2台のハープ、4手のピアノなど、ちょっとだけしか登場しない楽器が現れたらここが見せ場だなと身を乗り出したり。
第2楽章からはいよいよパイプオルガンが登場して「まってました」とばかりに刮目する。じゃーん!どぎゃーん!と場を埋め尽くすことなくちゃんとアンサンブルに溶け込んでいて大人だなあと思いました。パイプオルガンを生で聴くのはこれが初めて。今度は独奏曲を聴いてみたいものだと思いました。じゃーん!どぎゃーん!ってのを。
▼Eugene Ormandy Camille Saint-Saëns Symphony No.3 Part4-4(第2楽章第2部)
# 埋め込みプレーヤーで再生できない場合は上のリンクから
個人的に好きなのは第2楽章第2部の前半。ついにきた「じゃーん!どぎゃーん!」で幕を開けて力強いアンサンブルに続くフーガのパート。ポリフォニーフェチとしてはここで身をよじって喜ぶわけですね。それはほんの一瞬ですが一瞬がゆえの電撃がまたイイ。
▼全編はこちら:交響曲第3番ハ短調「オルガン付き」全編
あとがき
その1
最近のクラシック生活と言えば、ラヴェル/ドビュッシー/フォーレみたいな人が最後の繊細な細工をクラシック音楽の頂点に乗せた音、そしてショスタコービチやらストラヴィンスキーやらベルクやらマーラーやらクラシック音楽が現代音楽へと「音を立てて」崩壊してゆく過程のその音に魅了されて仕方ないブーム。今は機会があればそういう時代の音楽を生で聴けたら幸せだなあと思う。クラシック音楽創造最後の仕事・・・の直前くらいにあたるサン=サーンスを聴いたのはその序曲。
以上、ハッタリとシッタカブリだけで語ってみました。
その2
意外と言及しているブログが少ないなあ。中の人が外に向けてはほとんど閉じているのが意外。じゃあ逆に、中の人がこのエントリーに気づいたらあしあと代わりに「『折り合いブラック』に一度参加させてください!><」とか書いてゆくといいよ。あ、いや、ほんとに書かれたらドキドキしちゃうけど。
*1:隠そうとして変な情報が漏れるより、意図した情報(もちろん偽情報を含む)を積極的に流していった方がよいんじゃないかという最近の感想。