「After Hours」山中千尋 / 「Exclusively For My Friends - The Lost Tapes」Oscar Peterson
ジャズ・ピアニスト、山中千尋の新作。ほとんど急遽録音されたというオスカー・ピーターソン追悼盤。2008 年製品。第一印象「★★★★」
- Chihiro Yamanaka(P)
- Avi Rothbard(G)
- Yoshi Waki(B)
- All Of Me (SEYMOUR SIMONS / MARKS GERALD)
- There Will Never Be Another You (Mack Gordon / Harry Warren)
- Confirmation (Charlie Parker)
- You'd Be So Nice To Come Home To (Cole Porter)
- Sioux City Sue New (Keith Jarrett)
- All The Things You Are (JEROME KERN/OSCAR HAMMERSTEIN)
- Over The Rainbow (E.Y.Harburg/Harold Arlen)
- Everything Happens To Me (Tom Adair / Matt Dennis)
オスカー・ピーターソンが何らかの録音を残している曲、だそうで。正直、オスカー・ピーターソンの作品はほとんど聴いたことがなく特別な思い入れもないので、このオマージュ盤を聴いて、「このプレイは亡き氏らしいなあ」とか、あるいは、オスカーとは無関係ながらも選ばれたキース・ジャレットの1曲について「亡き氏ならまさにこう解釈して弾くんだろうなあ」とか想うことが全然できないわけです初心者すみません><
そんな初心者ながら、このアルバムから感じられる「むかしながら」の空気が好き。ドラムのいない、ピアノ+ベース+ギターという(特にジャズ・ギター)編成がレトロで暖かい。ロックとは違って、誰かが明確にリズムを刻まなくても体を流れるスウィングの鼓動を共有してるのさという躍動感がより感じられていい。8曲35分という尺も当時のレコードに近い。「急遽だけどさっと集まってさっと選曲してさっとプレイした様子を録音して発売してみました」というノリと勢いも、「そういうのが量産された」バップ花盛りの '50 年代を思い起こさせる。「Confirmation」の「挨拶代わりに一発腕試し」感はたまらない。最終曲、唯一ピアノソロのバラード「Everything Happens To Me」のプレイを聴けば、昔の事情も今の事情もよく分からないけど、先人への溢れる想いに浸れるじゃない。
ジャケットもそんなかんじじゃない?
「Exclusively For My Friends - The Lost Tapes」Oscar Peterson
山中千尋の CD は発売直後(3月頭)に買ったのだけど、せっかくだからオスカー・ピーターソンを少しは聴いてみようと思ってしばしエントリーを保留していた。この1ヶ月、ざっくばらんに以下のような作品に耳を通してみた*1。
- Duke Ellington Songbook (52)
- at The Concertgebouw (57)
- A Jazz Portrait of Frank Sinatra (59)
- The Gershwin Songbooks (52-54)
- The Sound Of The Trio (61)
- Oscar Peterson Trio with Clark Terry (64)
- With Respect To Nat (65)
- Exclusively For My Friends - The Lost Tapes (63-68)
- Live at the Blue Note (90)
ざざーっと聴いた第一印象で最もぐっときたのがこれ。第一印象「★★★★★」。
- Three O'Clock In The Morning
- Squeaky's Blues
- Tenderly
- I Will Wait For You
- Let's Fall In Love
- Put On A Happy Face
- Stella By Starlight
- Moanin'
- Never Say Yes
- It's Impossible
- My Romance
63~68年にドイツで録音された未発表MPS音源をマスタリングしなおしたもの。少人数の観客を前に,実に気持ちのいい演奏をしている。田舎町のヴィラで食事でもしながらという,なんとも羨ましい贅沢な小コンサートの寛いだ雰囲気も伝わってくる。
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これはかっこいい。ピアノトリオの全快パワーに圧倒されっぱなし。音質もすこぶるいい。まあ1曲聴いてくださいよ。
「やった!」って感じがしませんか?鼻血出るでしょ。これにぶち当たったとき憂鬱な品川社員の景色がエネルギーに満ちあふれて一変したのを思い出しますよ。こんな具合ですこぶる機嫌がいいアルバム。バラードだって豪快なんだから。インターネッツ諸氏には、こういうオスカー・ピーターソンが気に入ったなら、ぜひこの作品を聴いてみなしゃんせ、みたいな推薦を募集しますよ。
クリフォード・ブラウン作、ハード・バップの名曲ダフード(Daahoud) Oscar Peterson(pf), Ray Brown(b), Bobby Durham(ds) TV Show OSCAR PETERSON & FRIENDS 1976
あ、耳血でた。
(via はてなブログ)