怪奇骨董たおやめぶりっこ

ますらおぶりに憧れるブログ。涙がちょちょぎれちゃう。だって怪奇骨董たおやめぶりっこだもの。

「Zawinul」Joe Zawinul/「In a Silent Way」Miles Davis

ザヴィヌルかわいいよザビヌル。2007年9月11日に亡くなった鍵盤奏者ジョー・ザヴィヌルのソロアルバム。'70 年製品。第一印象★★★★

フィジカルのひょんな機会(羊毛とおはな&中山うり@タワーレコード渋谷店/Relaxin@キンのツボ - たおやめぶりっこ)に、ザヴィヌル作の「A Remark You Made」を聴いてすっかりお気に入りになり、また、バーチャルのひょんな機会で Zawinul Syndicate のライブ音源を耳にしてこう思った「ザヴィヌルかわいいよザビヌル」。ザヴィヌルのソロプレイはカッコイイ、クールとかじゃなくって「かわいい」。そのかわいさにぽっと顔を赤らめて入手しましたソロアルバム。

Zawinul

Zawinul

  1. Doctor Honoris Causa
  2. In A Silent Way
  3. His Last Journey
  4. Double Image
  5. Arrival In New York
  • Joe Zawinul(elp)
  • Herbie Hancock(elp)
  • Woody Shaw(tp)
  • George Davis(fl)
  • Earl Turbinton(ss)
  • Miloslav Vitous(b)
  • Walter Booker(b)
  • Joe Chambers(ds)
  • Billy Hart(ds)
  • David Lee(ds)
  • Jimmy Owens(tp-3)
  • Hubert Laws(fl-4)
  • Wayne Shorter(ss-4)
  • Jeck Dejohnette(melodica-3,per-4)
masuma.nu

1曲目「Doctor Honoris Causa」からして「やったな!」という気分。マイルスの元に置いてきた曲「Directions」のテーマに似たゆったりしながらも勇壮なテーマを管アンサンブルで挟み込みながら、ゆらりとこぎ出す。突風がどーんと吹いたところから自由時間。ハードなソロ対決じゃなくって、めらめらぱちぱち炭火であぶりあげる緊張感。これが4曲目「Double Image」ではリズム隊がごおごおと送り込む空気によってより強火になっている。そても熱いのだが炎は上がらない具合が絶妙。King Crimson で言うところの隠れた名トラック「Requiem」(『Beat』収録 '82 年製品)だ。この2曲できまり。

▼「Requiem」King Crimson

そして '69 年にマイルス・デイヴィスの元で録音した「In a Silent Way」の、作者自身による録音。これがまた絶品。Weather Report のライブ版「8:30」で知っていた曲だけど、そっちは「ああゆるい曲ですね」くらい下手すると意識にも上らず長年通り過ぎていた。改めてこっちで聴いてみたら、これが絶品。

▼「In a Silent Way」Joe Zawinul

終了後に無音が続くのは事故なので無視してください

まるでファンタジー世界の森の中にいるかのよう。小川のせせらぎのエレピ、ぽつんぽつんとした滴あるいはカワズ飛び込む水の音のベース。こまやかな装飾音があってこその「In a Silent Way」ですな。ライブ演奏で省略されてしまった部分が大切な要素だったのだ。

ザヴィヌルのかわいさにうっとり。

「In a Silent Way」Miles Davis

かわいいザヴィヌルの足跡を1年さかのぼってマイルスのアルバム『In a Silent Way』に手を伸ばす。恥ずかしながら今更ながらの入手です。'69 年製。なんで今までこれを聴かず嫌いで避けてきたんだろう!いや、今だからこそ良さが分かったのかもしれないなという第一印象★★★★★

In a Silent Way

In a Silent Way

  1. Shhh / Peaceful
  2. In a Silent Way / It's About That Time

『E.S.P』〜『Nefertiti』という正直みんな狂気沙汰なんじゃないかという驚異的4部作でウェイン・ショーターを絞り尽くして、「次はお前だ」とばかりに起用されたジョー・ザヴィヌルの世界観が覆い尽くす異色作。自作「Bitches Brew」以降は熱血スポ根の土手や海岸をタイヤを引いてひた走るわけなので、ザヴィヌルの冷却力抑止力がいかほどか実感。ザヴィヌルのオルガンフレーズがコピペで使い回されているのがまたかわいい。

単調なベースリフに乗せて、エレピ+エレピ+ピアノ+ギターの4者がそれぞれハーモニーを重ねてゆくスタイル。その上でツートップが出たり引っ込んだりしながらひんやりとしたソロを吹く。鍵盤3体が折り重なって同じ「コード」を弾いているわけじゃないので音符的にはとても密集してるはずなのに、不協和とか濁りとかの具合がとても心地よいのは驚き。

諸々のボツテイクなどを集めた『ザ・コンプリート・イン・ア・サイレント・ウェイ・セッションズ』もあとで聴いてみるつもり。

▼「In a Silent Way」Miles Davis

で、こちらが本作の「In a Silent Way」。前掲のザヴィヌル本人の録音と比べるととてもおもしろい。ベースが短音の持続音になっていて、原曲にある劇的で癖のある(ように聞こえる)コード進行がまるっきり省かれている。こっちもいいなあ。ザヴィヌルにとっては不本意な編曲だったから後でソロでとりなおしたのかな?「こうしろ」と指示したマイルスのひらめきは見事だし、それはそれでやってのけたザヴィヌルはかわいい。


長年 Soft Machine などを聴いていて「なんとなく釈然としない感じ」が、このアルバムを聴いて「なんとなくすっきりした感じ」になった。まだ言葉には出来ないんだけど、ばちばちばちっと脳の回路が再構成される声が聞こえてきた。なになに?「ザヴィヌルかわいいよザビヌル」「ザヴィヌルとザビヌルが混在してるのは検索語対策です」


この近辺の、ジョー・ザヴィヌルミロスラフ・ヴィトウスジョン・サーマン関連をいろいろ聴いてみたいところ。なんか推薦あります?