たおやめぶりっこ西洋音楽史(序)
最近読み終わった音楽関連の本2冊。
読み終わった後の2冊の様子。上が「西洋音楽史」で下が「音楽する脳」。いやあ両方ともおもしろかった。
音楽する脳
原題「ベートーベンの金床」。認知心理学、進化心理学みたいな立場から、猿から進化した人間が音楽を生み出していった過程に迫る。的確な要約や参考資料などは以下の書評が詳しいので丸投げぽーい。
これを踏まえた上で、個人的に良かった点、興味深かった点をあげる。
音楽と合体した人たち
音楽により自我が融解しあるときは作曲家とあるときはオーケストラと同一化した指揮者バーンスタインの言葉を始め、様々なミュージシャンの「音楽と合体した」体験が語られているのがとても興味深い。ページの端をドッグイヤーした箇所の半分はそういう音楽家の証言だ。
趣味で音楽をちょこちょこやっておる自分ではありますが、そういう瞬間に出会ったことがない。一人で何かを弾いていてあるいは複数人でインプロヴィゼーションをしていて、確かに意識がぼやーっとしてきて音楽が降りてくるんじゃないかという予兆を感じることはある。だけど己の肉体が降りてくる音楽に耐えられない。要するに降りてきた音楽を奏でる技量に著しくかける。降り書けてきた天使はすぐさま飛び去って、演奏はぐだぐだになる。健全なる肉体(技術)に健全なる音楽は宿るのだなあと悲しくなるのであります。
ちょっとうらやましげになっちゃったり。
言語より先に音楽ありき
人間は社会化するにつれて、動物の鳴き真似や模倣から始まりリズムを獲得し、それが人間同士のコミュニケーションになり、音楽となった(ゲシュタルトの転換1)。その後、もろもろの発声で物事にラベルをつける機能を持つようになり名前の概念が生まれ、やがて「言語が音楽から分離」した(ゲシュタルトの転換2)という説。言葉より音楽の起源の方が古いって発想が斬新。
西洋音楽史
http://urasoku.blog106.fc2.com/blog-entry-322.html
簡単に言ってしまえば「やる夫で学ぶ音楽史」をもっと詳しくしたやつです。
40 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。: 古代(6c以前) ↓ 中世(6-15c) ↓ ルネサンス(15-16c) おおざっぱな年表 ↓ だいたい バロック(16-17c) こんな感じ ↓ (年代は目安) 古典派(18c) ↓ _ ロマン派(19c) , ^ `ヽ ↓ イ fノノリ)ハ 近代(1901-1945) リ(l|゚ . ゚ノlリ ↓ と)京iつ 現代(1945以降) く/_li〉 し'ノ
「やる夫〜」では省略された中世・ルネサンスおよび現代も含みます。「クラシック」ばかり注目されがちなポイズンな世の中に対して本書は、古楽→【クラシック(バロック→古典→ロマン→近代)】→現代音楽・ポピュラー音楽というその前後の歴史をちゃんとつながった物語をとてもわかりやすく語ってくれます。とてもわかりやすい。
特に、音楽のあり方/音楽の特徴/音楽を作る人/それを聴く人が各時代各社会情勢においてどのように移り変わってきたのかという点がわかりやすくてよい。作曲家・名曲ガイドではなくって、歴史物語をしっかりかつ読みやすく大成した良著だ、だのだ。
歴史を踏まえた上で浅く広くどっぷり深く西洋音楽を聴きたくなる一冊。人生が何回あっても足りないっちゅうに。
思い立ったこと
復習がてら、ちょいちょい読み返しながら自分でまとめノートをこのブログにつけようと思った。Youtube で音源とか探しながらさ。本からはぜんぜんサンプル音源とか鳴らないわけじゃないですか。
結果として「やる夫〜」の93番煎じくらいのお粗末なことになるとは思うけどね。「やる夫〜」の作者は美学(藝術哲学)専攻の学生で、かたやたおやめぶりっこの作者はド素人の単なるプログレリスナーだし・・・。というわけで、『ポリリズムはポリモーフィズム』*1以来の連載的企画に意欲が出てきたので、勝手にやったり途中でやめたりそもそも着手するのかしないのか怪しいのでありますが、もし着手することがあればインターネッツ諸君には、こんな音源もあるよとか補足とかばんばん指摘してほしいのでありますよ。
んじゃめな。
その他参考文献: