怪奇骨董たおやめぶりっこ

ますらおぶりに憧れるブログ。涙がちょちょぎれちゃう。だって怪奇骨董たおやめぶりっこだもの。

「Senne Sing Song」Misha Mengelberg Trio

今日聴いた音楽。ミニマルプログレミニマルプログレと体力勝負が続いたのでゆったり Jazz を聴いて癒されましょう。2005 年、オランダ製。

[asin:B000A0GPK4:detail]

  • Misha Mengelberg (p)
  • Greg Cohen (b)
  • Ben Perowsky (d)
  1. Hypo Xmas Tree Fuzz
  2. We Are Going Out for Italian
  3. Kwela P'kwana
  4. Blues for Piet
  5. Reef und Kneebus
  6. Brozziman
  7. Poor Wheel
  8. Tierogre
  9. Senne Sing Song


オランダ出身のフリー・ジャズ ピアニスト、ミシャ・メンゲルベルグのピアノトリオ作品。Executive Producer に、ジョン・ゾーン。あの泣く子も黙る TZADIK レーベルより。ミシャ・メンゲルベルグを聴くのはこれが初めてです。

というわけで1曲。

▼ ”Hypo Xmas Tree Fuzz” Misha Mengelberg [sound only]

dailymotion 版

いいですねえ。フリーダム。フリー・ジャズの「フリー」じゃなくって、「フリーダム」。ニコニコ動画などでほめ言葉として使われる「フリーダム」。

曲の構造はたぶんオーソドックス。基本となるコード進行などはとてもありがちな慣用句で構成されているんだけど、ピアノ御大がフリーダム。曲のコード性を留めつつも、時には徐々に、時には唐突に、周到に、衝動的に、飛び出すように、滑り出すように、ワープするように、遠心分離するように『逸脱』する。ベース、ドラムは曲の骨子を支えながらも隙あらばと逸脱してゆく。かっきりアンサンブルしているようなところでも、必ずちょっと変な音が混じっている。絶妙。

決め事からいじわるに『逸脱』するという行為は、とても楽しい。わたくしもたまーにスタジオに入ってインプロなどして遊ぶことがあります*1。「じゃあブルース進行っぽくね」などと打ち合わせて、最初はおとなしくコードについてゆくものの、すぐに嫌になって『逸脱』を開始します。とっさのタイミングでコード無視、テンポ無視で嫌な音をがきょがきょとならすときの心地よいこと。でもそうしたプレイの録音をあとで聞き返すと、「これは酷い」ボタンを連打するかのごとくだ。

で、そんな『逸脱』を一流のプロがやるとこうなります。かなわないなあ。などと。こういう飄々とした逸脱をセロニアス・モンク的うんぬんと言うのでしょう。「フリーダム」といっても、あのセシル・テイラーのような恐るべきフリーではないので安心してください。終始、飄々デス。ソロでがっぎょんごきょんする「Tierogre」みたいな曲も朗らかだ。表題曲「Senne Sing Song」はゆったり始まってからフリーインプロ、そこからぬらぬらと立ち上がるウォーキン(混沌から秩序に相転移する展開は大好きだ。フェチだ。)、気がついたらまたゆらゆらとしつつ地鳴りとともに加速したりと緩急自在の好演。おっちゃん、いかしてるよ。


普段のメンゲルベルクさんは、こりゃまた巨匠、ハン・ベニンクなどと組んで、もっとフリーなことをしているようです。

シンバルの用法に関心!

というわけで、ミシャ・メンゲルベルグやハン・ベニンク作品でこれぞというおすすめあれば教えてください

*1:普通の人にとっての「カラオケ感覚」です。高尚な意思や目的意識などは毛頭ございません。