怪奇骨董たおやめぶりっこ

ますらおぶりに憧れるブログ。涙がちょちょぎれちゃう。だって怪奇骨董たおやめぶりっこだもの。

「Glassworks」Philip Glass

繰り返す、このミニマリズム

ポリリズムポリリズムポリポリなどと連呼して耳に流し込んだエレクトリックに疲れてつつも、心はまだ反復を求め続けてやまない。というわけで、その傍らに流れているミニマルの川で身を清めましょう。フィリップ・グラス、テリー・ライリー、スティーヴ・ライヒ、誰から行こうかなと考え、聴きやすいグラスを取り出してみる。

[asin:B000086EPT:detail]

'82 年、アメリカ製。ミニマル・ミュージックの大家、フィリップ・グラス作。

小さなフレーズを繰り返すミニマルの構造なのだが、コード感がとても強いのが特徴。少ないコードをいったりきたりしたり、時にはかなり進行したいりもする。和音の推進力をかなり利用しているという点で、「アルペジオ主体の普通の曲」として率直に聴けるのがグラス流。

もちろん、「Floe」や「Rubric」では原初的なミニマルが聴けてサービス満点。ポリリズムって観点では、「Opening」みたいに左手 8 分、右手 4 分 3 連みたいな、『ある長さを分割する尺度が異なるポリリズム』が若干。

全曲ひとこと

  • ピアノ独創による「Opening」。この情緒的な具合が聴きやすさのユエン。バッハのプレリュードのよう。


  • 嵐のような管楽器アンサンブル「Floe」。嵐といっても、「台風が近づきつつある感じの草原(夕暮れ時)」。黒ずんだ雲がうねりながら過ぎ去ってゆくが、まだ雲間から光がさしてる感じ。


  • 暗い夜の帳が下りて身を寄せ合う感じの「Island」。
  • 「Rubric」は「Floe」のスピード感を取り戻す。この対比、空気が一変する様がたまらない。低音(オルガンかなシンセかな)が入ったり抜けたりメリハリが効く。ぶりぶりしたベースがすっと抜けたときの音韻的な効果はとても大きい。capsule の新作やグループ『p』の曲でも発揮されている。そう、『あの部分』をすこんと抜けたところ*1


  • ここで「Island」のような短調に転じるが、弦楽が加わることで温かみのある曲になっている。ドラクエとかの「夜のフィールド」に使われそうな感じの「Facades」。
  • 「Closing」は、「Opening」を管弦楽編成を加えたアレンジに。

露骨なほど緩急緩急緩急しちゃって、その切り替わり・対比がずるい。もうずるい。『ミニマルって単調で飽きるっしょ。繰り返しを恍惚の表情で聞き入るなんてマジキモいんですけど。アンタ、視界から消えてくれない?』そんな印象をまずここで払拭して入門したり深みにはまったりするのにうってつけ。とてもよい組曲

関連プログレ

初期 Mile Oldfield や MAGMA が好きな人が気に入らないわけがない、といった趣。

Mike Oldfield - Tubular Bells (Live 1973)

(;´Д`) た、たまらん!

▼ Magma live au Triton

(;´Д`) も、萌え死ぬ!・・・MAGMA のグラスミニマル風味な部分は動画では上がってないかな・・・。*2

われらがクリヲタ(King Crimson オタク)にとっては『異なる長さのフレーズがズレてゆくポリリズム』はないのが不満かな?いや、でも、上の動画で聴く「Rubric」のスピード感は「Frame by Frame」のそれでしょ。

King Crimson - Frame by Frame

(-_-) うん、普通。

      • -

# Philip Glass 含めてミニマルはちょびちょびかいつまみ程度しか聴いていないので、おすすめとかあったらがんがん教えてください

*1:プログレ的には「突き抜け」と呼ばれる。プログレにおける「突き抜け」の代表例とかはいずれどこかで取り上げたい。

*2:「THEUSZ HAMTAAHK 3部作」の地味なパートになっちゃうから、なかなか見つからない。