怪奇骨董たおやめぶりっこ

ますらおぶりに憧れるブログ。涙がちょちょぎれちゃう。だって怪奇骨董たおやめぶりっこだもの。

「Communications」The Jazz Composer's Orchestra of America

新入荷。今日聴いた音楽。Free Jazz。'68 年米国製。

「なんだよ、お前、モダン・ジャズとか J-Pop とかにかぶれてよお、オサレさんのつもりかよ、お前、生きる価値ないよ、今から首吊ったほうがいいよ。」そんな声が聞こえてきはじめたので、ちょっと原点に返ってプログレッシブな音楽を。

The Jazz Composer's Orchestra of America とは

The Jazz Composer's Orchestra of America(JCOA)は、ジャズ・ミュージシャンのジャズ・ミュージシャンによるジャズ・ミュージシャンのためのオーケストラを運用する NPO

フリー・ジャズをやる少人数のソロイストによるコンボはたくさんあれど、大編成のジャズ・オーケストラというのは、サン・ラのアーケストラを除いてほとんど皆無であった。個人レベルで大編成による、サウンド、作曲、そのたもろもろの可能性を拡大しようとしても、おもに経済的な理由で実現ができなかった。そこで、さまざまなミュージシャンが強力し、監督を持ち回りながら録音&ライブ活動しようよと組織されたのが、JCOA。

第1弾が、このマイク・マントラーによる「Communications」。第2弾はカーラ・ブレイによる「Escalator Over The Hill」*1、その後、ドン・チェリー、ラズウェル・ラッド、グレチャン・モンカー、ルロイ・ジェンキンスなどが作品を発表している。

ジャズ・アヴァンギャルド―クロニクル1967‐1989」から要約。

Communications

  • Tracks
    1. Communications #8
    2. Communications #9
    3. Communications #10
    4. Preview
    5. Communications #11 Part 1
    6. Communications #11 Part 2
  • Soloist
    • Michael Mantler - composed and Conducted
    • Don Cherry cornet (#1)
    • Gato Barbieri - tenor (#1)
    • Larry Coryell - guitar (#2)
    • Roswell Rudd - trombone (#3)
    • Steve Swallow - bass (#3)
    • Pharah Sanders - tenor (#4)
    • Cecil Taylor - piano (#5, #6)
http://homepage1.nifty.com/ERuKa/acMichaelMantlerCD.html#003

全体としては、実にフリー・ジャズらしいというかずばり現代音楽というか、実に不協で緊張感が高くおどろおどろしい基本的なアンサンブルに、比較的自由に絡む人たちがいて、その上でソロイストが自分の持ち味を発揮しまくるという形態。これ自体はスモール・グループの人数が素直に増えた分、素直に重厚になったありきたりな形態で、真にプログレッシブな印象は受けない。ソロイストがいつもと違う伴奏の上でどうプレイするかって点に尽きます。

そのソロイストで一際異彩を放っているのが、「Communications #11」におけるセシル・テイラーくそみそテクニック

テイラーは合計 30 分以上超絶的に爆走している。オーケストラが東方よろしく恐ろしい弾幕を張っているのだが、最終兵器テイラーはすべて迎撃した上で反撃している。ぎこぎこ、ばきばき、どがどが、きょきょきょきょ。Part1 の中盤以降、オーケストラが殲滅されてドラム+αのボスと対決する様はどうみてもチートである。本当にありがとうございました。これがピアノの演奏なのかと耳を疑う。これは八手拳を解き放ったピアノと交尾というか獣姦。もちろん8本になるのは手ではなく淫棒。壊れたビッデオデッキが8倍で再生する、「山の王の洞窟にて深山に棲む妖精の狂乱痴態」*2。お留守になる足元などなない。どこまでも飛んでいるから。さらにテイラーはオーケストラ全体という概念的なものとまぐわってみせる。君は概念でエレクトできるか?完敗です。

ファラオ・サンダースが3分間、おもちゃ売り場の駄々っ子のように転がりまくって売り場を破壊して従業員を血まみれにする「Preview」も小粒ながら名演。

*1:これは持っているがあまり聴かずに〜盤になっている。あらためて聴こう。

*2:組曲ペール・ギュント》より