怪奇骨董たおやめぶりっこ

ますらおぶりに憧れるブログ。涙がちょちょぎれちゃう。だって怪奇骨董たおやめぶりっこだもの。

「Musical」クラムボン

今日聴いた音楽ジェーポップ強化計画。2007 年日本製。クラムボンの最新作。第一印象★★★」。

そんなクラムボンの最新作であります。地味ながらも聞き捨てることなく「この先長い間、なんとなく思い出しては聴く」に耐える物持ちのいい作品。ド派手で恐ろしく粒が立っている傑作でありながら過プロデュースで消耗が激しく継続して聞き返す機会のない「ドラマチック」とは対照的。

お家ゲイたる軽快で変拍子なポップ「Merry go round!」で幕を開け、Pop 〜 Groovy 〜 Serious/Moody と徐々に高度を下げ「Long Song」で水面スレスレをゆるやかに滑空する鳥人間コンテスト

この「Long Song」が狙い通りの目玉。繰り返される単純なギターコーラスを背景に、その数倍の長さで推進力の強い和音進行が循環し続け、さらにその数倍の長さで感情がうねる。しかし音像はあくまでも清らかに。これはブルースである。『ある種のウィルス』が、日本の風土、歴史、カルチャー、サブカルチャーに吸収&換骨奪胎され生まれた静謐なブルース。クラムボンの曲で一番すきなのはなんですか?はい、「トレモロ」(「苦楽無凡」収録)です。という私にはどつぼ。

「Long Song」が終わると、突如時間が逆行を開始する。このからくりは『すごい』。鳥人間は後ろ向きに進む。だけどこの音楽が描く世界はニュートン力学の時間対象性に従わない。逆行する時間の先には、『違う過去』が待っている。さあ、『違う過去』のお家ゲイはどんなんなんだ!?とワクテカするも、そのままアルバムは終わってしまう。かくして、違う過去の逆行するお家ゲイを想像しながら、またアルバム冒頭「Merry go round!」に針を落とさざるを得なくなる。くるりと戻ってきましたメリーゴーランドはセカイ系

お後がよろしいので、普通のレビューは普通に Google 先生にきいてください。

「Volume Two」Soft Machine

クラムボンの作品はかなり飛び飛びに聴いていて、決して体系的におさえているわけじゃないのですが、さもしったかぶりなんな具合で妄言します。クラムボンといえば、ほとんど世界で唯一 Soft Machineの「Volume Two」の世界を執着的に継承し、それから 30 余年間人類が重ねてきた音楽の歴史を織り込んでいるバンドである。かどうかは知らん。そう決め込んだ。

というわけで何年ぶりかに引っ張り出してきた本作。'69 年、英国製。カンタベリージャズロックバンド、ソフト・マシーンの 2 枚目。

Volume 2

Volume 2

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歌のポップさ、歌声のやさしさ、疾走するときの勢い、自然に盛り込まれる変拍子、手堅い演奏、ユーモア、カラフル、さりげない実験性の毒。

のんびりしていた 1st と、強靭な Jazz-Rock 路線へ変貌する 3rd の間にかくも奇跡的な作品が生み出されるとはまだまだ信じがたい。特に、ドラム/ボーカルのロバート・ワイアットの進化が著しい。呂蒙ってやつです。

歌中心の A 面、インスト中心の B 面息をもつかせぬトータルな組曲。この「vol.2」を推す人がたくさんいる理由がよくわかりました。なるほど傑作。

Soft Machine - I Should Have Known

1st の頃。たぶん '67 年。

お気に入り度:84点