m-flo/ram jam world/完全HIP HOPマニュアル
昨日(たおやめぶりっこ - サムライチャンプルー)の続き。「m-floの人たちを唯一別格の例外として」という自らの発言から枝分かれエントリー。
「Planet Shining」m-flo

- アーティスト: m-flo,Verbal,Lisa,H.U.B.,Taku
- 出版社/メーカー: エイベックス・トラックス
- 発売日: 2000/02/23
- メディア: CD
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当時、雨後の竹の子にょっきにょきの如く過度に怒張した肉棒が林立し、彼らのソレらから卑猥な脈動とともに噴出すねばねばした液体に苛まれていた。Dragon Ashが便乗してきていつの間にか牽引していた頃をピークに悪夢は最高潮に達す。ハマー的なヒップホッパーたちである。
と、個人的な音楽性癖はさておき、そんな住み難い世の中において、なんとも別格な存在感を示していたのがm-floの1stアルバム「Planet Shining」だった。なんといっても、「格好の良いラップ」というのがこの世に存在することに気づかせてくれた。
肉棒たちのラップというのは、なんか必死だった。必死にリズムに耳を傾け8分音符をはずさないように注力し、アクセントは金太郎肉棒のようにどこを切ってもまるで「ラップ・初級」の教科書通りのようで、脚韻の踏み方もわざとらしく強調され耳障りだった。どこから沸いてくるのか不思議な強靭な自信と、目くそ同士で相手を罵る汚い言葉にうんざりだった。というわけ。
ところがm-floの人のラップは違った。まずリズムに対する余裕が違う。巧みにシンコペーション(強弱のタイミングをずらす)したり連符系(例:2拍に5音節入れる)のフレーズを紡いだりと縦横に振舞いながらも、全体としてトラックのノリ(グルーヴ)をうねりあげている。これは別格だ。と衝撃を受けたわけ。
また、ラップの全体に対する溶け込み具合が良く、日本語英語のハイブリッドな歌詞はほとんど何を言っているのか分からないので純粋に言葉のリズムを楽しむことができる。Lisaのボーカルも余裕があり表現豊かだ。トラックの作りこみも烏合の肉棒たちを歯牙にもかけないような洗練を見せる。
近未来の宇宙旅行に模したアルバムのコンセプトも小気味よい。
お気に入り度:90点
「rough and ready」ram jam world

- アーティスト: Ram Jam World
- 出版社/メーカー: Warner
- 発売日: 1997/10/20
- メディア: CD
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後にm-floに加入することになるLisaが1曲目「planet earth」でゲスト参加している、ram jam world(朝本浩文のプロジェクト)の3枚目。
森若香織を向かえふんわりしたポップをしていた1、2枚目と、最高硬度のブレイクビートと最高軟度のPopを豪腕でねじ伏せ混ぜ込む後期のちょうど中間にあたり、過渡期の中途半端さが否めない作品。だけど、1曲目「planet earth」がとてもいい。ずば抜けていい。しかしまるっと視聴できるページを世界各地探したが見つからず挫折。ここのページで冒頭30秒聴くことができるが、イントロのみで残念。
お気に入り度:61点
完全HIP HOPマニュアル

- 作者: 架神恭介,辰巳一世
- 出版社/メーカー: シンコーミュージック
- 発売日: 2006/08/01
- メディア: 大型本
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素敵なマニュアル。
ちぇけらーなどと言いながら左手で行うハンドサインが、アフリカをかたどったものであることを示し(参考:ハンドサイン・・・ - cybozu.netプロジェクトチーム公式Blog)、4人がかりで日本列島を表現した日本人ラッパーがすべきハンドサインを提案する。もちろん、北方領土と竹島を忘れない。または、日本におけるMCバトルとして、万葉集から事例を引いてくる*1。
そんな面白おかしくHip Hopを学べる教養本。
・・・を立ち読みした(-_-)という日記。
*1:こういう場面に出くわすと、毎度のことながら、現在の流行を千年以上前の故事で喩えられる文化の深さと歴史の連続性、そして一般読者にすんなり通じうる日本の教養の高さに感心する。