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怪奇骨董たおやめぶりっこ

ますらおぶりに憧れるブログ。涙がちょちょぎれちゃう。だって怪奇骨董たおやめぶりっこだもの。

Best of 2006(一般書籍編)

読書

2004年は「Essay/2004-12-31/書籍編 - 諸悪の根源」、2005年前半は「News/2005-07-18 - 諸悪の根源」を参照。

  1. 「書きたがる脳 言語と創造性の科学」アリス・W・フラハティ
  2. ウェブ進化論 本当の大変化はこれから始まる」梅田望夫/「グーグル―Google 既存のビジネスを破壊する」佐々木俊尚
  3. 「文明崩壊 滅亡と存続の命運を分けるもの」ジャレド・ダイアモンド

「書きたがる脳 言語と創造性の科学」アリス・W・フラハティ

書きたがる脳 言語と創造性の科学

書きたがる脳 言語と創造性の科学

人はなぜ「書く」のか?書くことを止められない「ハイパーグラフィア」、書きたいのに書くことができない「ライターズブロック」という2つの症状を中心に、脳と創造性のカラクリに迫る。言語とコミュニケーションに関するさまざまな症状(ブローカ失語症/ウェルニッケ失語症/書字障害/etc)の検証や、ハイパーグラフィアと思われる過去の作家の例示や、安易な右脳活性化信仰に対する警鐘や、Blog渦巻く【界隈】の現象への言及などを含む。

こういうことゆっちゃうと男女共同参画主義者や共産革命家のみなさんに暗殺されちゃいそうだけど、著者が女性だから女らしさが全編を覆っている。男が書いた男らしい「サイエンスの読み物」に慣れ親しんでいると、いろいろ違和感を感じる。具体的には、1.〰、2.〰、3.〰のような特徴がある。1〰3は読んで確かめてください。書くのがめんどくさくなってきたから。

最終章「暗喩、内なる声、詩神」の怒涛の展開に心を打たれた。暗喩に満ちている世界は、暗喩としての科学モデル、芸術的/科学的思考における暗喩の役割、精神状態の暗喩の意味、病としての暗喩、詩神・内なる声・創造的/宗教的インスピレーションという体験、科学と創造。

人間には暗喩が必要だ。

(-_-)ずがーん

という感覚である。これをきっかけに、「諸悪の根源」は、「言及」*1から「暗喩」へシフトした。隠喩をナイフで三等分するために。

参考:Passion For The Future: 書きたがる脳 言語と創造性の科学

ウェブ進化論 本当の大変化はこれから始まる」梅田望夫/「グーグル―Google 既存のビジネスを破壊する」佐々木俊尚

あわせて読みたい、っつうことで反則気味に2冊。

ウェブ進化論 本当の大変化はこれから始まる (ちくま新書)

ウェブ進化論 本当の大変化はこれから始まる (ちくま新書)

グーグル―Google 既存のビジネスを破壊する  文春新書 (501)

グーグル―Google 既存のビジネスを破壊する 文春新書 (501)

GoogleやAmazonといった企業がやっていること、チープ革命/オープンソースロングテールといった現象、Blogツールなどを使用した総表現社会の風潮・・・そんなインターネット界隈の動きが、メディア、広告、流通などの既存のビジネスにどのような変革をもたらすのかという話題の2冊。

このブログを見ているような人は、おそらく、PCからアクセスして、ブラウザでウェブサイトを閲覧し、Yahoo!やGoogleを使って検索して自分で調べ物をできる人たちだろうと思う。そして、それくらいのことは当たり前にできることだと思っているかもしれない。

 しかし、そういった人たちは、実は「ものすごくインターネットを使える人」なのだということを忘れてはいけない。ブログなどでやりとりしていたり、はてなブックマークを使っていたりする人は、「一般人」ではないのだ。「インターネットを使いこなす専門技能を持った人」なのである。

ケータイ文化圏とネット文化圏の深い溝 絵文録ことのは

こういう「ネット文化圏」専門技能を持った人は必読の、一般人には到底理解できない超専門的な技術書。*2

参考:

「文明崩壊 滅亡と存続の命運を分けるもの」ジャレド・ダイアモンド

文明崩壊 滅亡と存続の命運を分けるもの (上)

文明崩壊 滅亡と存続の命運を分けるもの (上)

文明崩壊 滅亡と存続の命運を分けるもの (下)

文明崩壊 滅亡と存続の命運を分けるもの (下)

著者の前著(銃・病原菌・鉄〈上巻〉―1万3000年にわたる人類史の謎)は、「はるか昔、同じような条件でスタートしたはずの人間が、今では一部の人種が圧倒的優位を誇っているのはなぜか。」(Amazon 商品の説明)という問いを鮮やかに検証する、壮大で爽快な大著であった。

快感に満ちた前著に比べ、「文明崩壊」はある意味憂鬱な本である。イースター島、マヤ、グリーンランドなど、かつて崩壊し終焉を迎えた社会の分析。ルワンダ、ドミニカ/ハイチ、中国、オーストラリアなど、現在問題をかかえている社会の分析、そこから導き出される社会が直面している環境問題に関する12の問題。12の問題への反論に対する反駁。とても重い話しの連続である。

最近【界隈】で人気のエントリー、「分裂勘違い君劇場 - さっさと次へ行こう。もう日本という物語は終わったのです。」の一節を読んで、「文明崩壊」をびびびっと思い出した。

中国や、インドや、ベトナムや、ロシアや、ブラジルで、人間らしい暮らしをする人間の数が、今、この瞬間も、とてつもない勢いで増え続けているからだ。

いままでにない巨大な人口が、ガソリンを消費し、鉄を消費し、魚を食べているからだ。

人間らしい暮らしをするのに必要なモノの供給量はそれほど変わらないのに、人間らしい暮らしをする人間の数だけ爆発的に増えたものだから、人間らしい暮らしをする人間一人あたりに割り当てられるモノの量が劇的に減少したのだ。

かいつまむとこんなところを思い出す。

中国の国民だけが先進国並みの生活水準を達成し、ほかのすべてを現状のままだとしても、世界の環境侵害量は現在の倍になる。

第三世界のかかえる巨大な人口が、現在の先進国の生活水準に達し、それを維持していけるだけの資源を、世界は持っていないということだ。この難題との遭遇を避けるために、先進国が自分たちに追いつこうとする第三世界の勢力を邪魔するというわけにはいかない。

たとえ第三世界の人口がまったく存在しないと仮定しても、先進国が現在の路線を維持していくことは不可能だろう。それはけっして安定している状態ではなく、みずからの資源や第三世界から輸入した資源を食いつぶしている状態だからだ。現時点で、先進国の指導者が自国民に対して、生活水準を下げるように、すなわち資源の消費と廃棄物の産出を抑えるようにと提案することは、政治的に賢明ではない。

などなど・・・。

「分裂勘違い君劇場」?誰それ?そんなわけのわかんないブロガーの妄想に耳を傾けるほど暇じゃねーんだよ、こちとら・・・という方は、ぜひ「文明崩壊」を読んでから、「分裂勘違い君劇場」の関連エントリーに目を通してみると、とても面白いよと新しい娯楽を提案します。

わたしたちのすむ社会は、現在、持続不能に至る道を進んでいて、ここまで概説してきた十二の問題のどれもが、今後数十年のうちにわたしたちのライフスタイルのくびきとなりうる。五十年以下の導火線を付けた時限爆弾のようなものだ。たとえば・・・

たまたまこのエントリーに目を通した人の何割かは50年の余命があろう。50年後の世界は、「分裂勘違い君劇場」の予想のようになっているのか、過去の崩壊した社会のような運命をたどっているのか、あるいはWeb2.0が巻き起こす社会の変革が自立的にすべての問題を解決するのか、ちがうのか、黄泉の国で報告をお待ちしております。

(-_-)あたしゃもうながくないからねえがほごほ。

*1:その前は「粉砕」

*2:「ケータイ文化圏」側の当2冊に相当するような技術書、もしくは二つの文化圏を包括的に述べたそれを待ち望んじゃったりする。