怪奇骨董たおやめぶりっこ

ますらおぶりに憧れるブログ。涙がちょちょぎれちゃう。だって怪奇骨董たおやめぶりっこだもの。

「First Utterance」Comus

'71年、英国製。店頭で思わずジャケ買い

クリムゾン・キングの宮殿 (ファイナル・ヴァージョン)(紙ジャケット仕様)

「宮殿」の赤ら顔が干からびて死せんとするが如き強烈なジャケットが強烈。

英国DAWNレーベルからデビューしたコーマスの1stアルバム。メンバーは以下の通り。

  • ROGER WOOTTON (g, lead vo)
  • GLEN GORING (g, vo, hand ds)
  • ROB YOUNG (key, fl, Oboe, hand ds)
  • CLOIN PEASON (vln, viola)
  • ANDY HELABY (b, vo)
  • BOBBIE WATSON (lead vo, per, recorders)

えーっと、なんと言いますか、暗黒化したブリティッシュ・フォークといいますか。フォークと言っても、メロウ・キャンドル(Mellow Candle)みたいな切なく幻想的な雰囲気は微塵もございません。ジェスロ・タルJethro Tull)をじめじめさせた感じといいますか、欝になった初期ジェネシスGenesis)の牧歌的側面といいますか、インフルエンザで寝込んで悪夢を見ているレッド・ツェッペリンLed Zeppelin)の3枚目といいますか、ぶつぶつと呪いの言葉を呟きながら人形の股を裂くジューク(19)といいますか、都会の自殺者たちの腐敗粘土に首から下どっぷり浸かっている井上陽水(Yosui @ Inoue)といいますか。

ぎゃんばらじゃーんとリズミカルに空間を切り裂くギターを中心に、バイオリンや木管が抒情的なモノクロ彩を添える。これといった個性がない男ボーカルがぎりぎりと喜怒哀楽を叫び、やっぱり個性のない女ボーカルが奥のほうでサポートする。ドラムがいないながらも強靭なロック感を醸す。これもやっぱり、この時代の英国でしか生まれ得ない音楽、空気だなあとしみじみする。

変拍子やなんだかんだなどいわゆるプログレッシブロック愛好の範疇からは異端。でもフォークとしてはもっと異端で、どのジャンルに所属させようともやっぱり異端なのだ。だから汎用的な異端を表すタグ「プログレ」を貼られて、結局プログレの文脈の珍盤として語られている。様々な音楽が一巡して異端の音楽が再評価されている今でさえそんなアリサマであるから、当時はもっと厳しく、バンドはなんとかもう1枚アルバムを出すものの自然消滅してしまったとさ。

「Song to Comus」をまるっと試聴する

お気に入り度:78点(上級者向けじゃないっすかね)