怪奇骨董たおやめぶりっこ

ますらおぶりに憧れるブログ。涙がちょちょぎれちゃう。だって怪奇骨董たおやめぶりっこだもの。

ボズ・バレル、大霊界へ。

King Crimson30余年の歴史の中で唯一の無法者、ボズ・バレルが亡くなりました。謹んでご冥福をお祈り申し上げます。

CDJournal.com - ニュース - 元K.クリムゾン〜B.カンパニーのボズ・バレルが死去

ブリティッシュ・ロック・シーンで活躍したベーシスト/シンガーのボズ・バレルが、9月21日にスペインの自宅で死去していたことが判明しました。享年60歳。

ボズの死を受けて、キング・クリムゾンのレーベルであるDGMは追悼ページを開設。未発表リミックスによる「レディーズ・オブ・ザ・ロード」のダウンロードを開始しました。

ボズ・バレルは、クリムゾンの歴史で「Lineup 2」と呼ばれる時期('71〜'72年)に、ボーカル兼ベースを務めた人物(参考:Wikipedia ボズ・バレル)。「Lineup 2」は以下の面子。

  • Robert Fripp(Gtなど)
  • Mel Collins(Sax, Fluteなど)
  • Boz Burrell(Bass, Vo)
  • Ian Wallace(Dr)
  • Peter Sinfield(作詞, 舞台装飾, オペレーションなど)

Linenup 2として発表された作品は、Linenup 2始動とともにスタジオ録音されたアルバム「Islands」と、Linenup 2のラストツアーを収めたライブアルバム「Earthbound」の2作。この2作は、同じバンドの作品とは思えないほど変貌しています。この間にいったい何が起こったのか、コレクターズ・キング・クリムゾンシリーズでの数々の発掘ライブ音源によって解き明かされつつありますが、やっぱり最初と最後に福があるの法則が活きています。

Islands

スタジオアルバム4枚目。最初と最後の、最初。

ロシア人に感謝しながら全曲試聴しまくる

Keith Tippett(Piano)、Paulina Lucas(soprano voice)、Robin Miller(oboe)、Mark Charig(cornet)、Harry Miller(string bass)といった、主にキース・ティペット・グループ人脈のゲストを招いている。このゲスト達が活躍する「Formentera Lady」〜「Sailor's Tale」、及び「Islands」が聴き所。

「Formentera Lady」〜「Sailor's Tale」は、不気味なString bassから始まり、東洋趣味で幻想的な雰囲気のボーカルが滑り込んでくる。その後はどろっとしつつもとても美しいインプロが続く。Lineup 3と呼ばれる時代のインプロがドロックなのに対して、こちらはドジャズ。ドジャズミュージシャンであるゲスト達の貢献が大きいのだろう。そいでもって、クリムゾン節たる高速の33222(んたたんたたんたんたんた)がすべてを掻っ攫ってゆく。よい展開。

東洋的な前者に対して、極めて西洋的な美しさをこれでもかとべたべたに展開するのが終曲「Islands」。シンフィールドのメルヘンワールドがたそがれのきらきらみなもの如く展開される。たどたどしく彩りを添えるキース・ティペットのピアノが絶品。それにしても、この曲を書いたのは誰なんだ?これ以前にも以降にもこういう曲は2度と現れない。

お気に入り度:88点

Earthbound

ライブ録音版。世最初と最後の、最後。

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ロシア人に感謝しながら全曲試聴しまくる

界初のノイズ・ミュージック?音質が物凄く悪い。凶暴極まりない演奏と相まって、これが図らずも恐るべき音の塊となって脳を揺さぶってくる。聴き所はそんな「21st Century Schizoid Man」「The Sailor`s Tale」。スタジオアルバム「Islands」で示された美的感覚はどこへ行ってしまったんだ信じられないというほど暴力的。ツッパリハイスクールバイオレンス。

それ以外のトラックは全体的にいまいち。お気に入り度:76点

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なんで突然 小島麻由美が現れたかというと、このライブベストアルバムに収められた「おしゃべり!おしゃべり!」が、すんごくEarthbound Mixだから。故意にEarthboundのようなテープで録音したようなピークが全部ぶっ潰れて歪みまくったサウンドに仕上げられている。磁気がへたって音ががさがさする様も演出されている。名ミックス。

Ladies Of The Road: Live 1971-72

おまけ。

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ロシア人に感謝しながら全曲試聴しまくる

最初から最後に至る過程のライブを拾い集めた企画もの。「Islands」と「Earthbound」を聴いてみて、それなりに気に入った。だけど、コレクターズ・キング・クリムゾンシリーズを揃えるのは厳しい。そんな方への処方箋。まだ初々しくジャムっぽいアレンジが新鮮な初期、だんだん曲が馴染んできた中期、メンバーの調和が崩壊し破壊的になってゆく後期と、その過程を楽しめる。

ディスク2は、「21st Century Schizoid Man」の中間部、ギターやサックスのソロ部分の、さまざまなテイクをメドレーでつなぎ合わせた脳がひんまがるような1枚。よほどコアなクリムゾンフリークか、生まれつきの変態じゃないと楽しめない。もちろん私はその両方ですからねひひひ。

お気に入り度:82点