「Sailing The Seas Of Cheese」PRIMUS
ときどきある「どういう経緯で買ったのかよく分からないアルバム」。
確かに、Amazonのカスタマーレビュー「プログレッシヴパンクの傑作=聴かなきゃだめさ!!」の熱いメッセージには心が動かされるものがあったなあ。
この奇妙な音楽をどう表現しようかと思い、他の人の言及を弄ってみる。
日本でのデビュー盤。Les様の6弦ベースのスラップ、タッピングなどの反則技炸裂の傑作。ドラム・ベースの変態バカテクリズム隊と、ザッパフリークのこれまた変態ギタリストが織りなす技が次々と披露され、彼らは瓢々と去っていく。取り残された私達はボーゼンとするのみである。国内盤はボーナス2曲入り。
かなテクニックに支えられたバンドであるが、なかでもベース/ヴォーカルをこなすレス・クレイプールのパフォーマンスが圧巻。プログレやジャズを独自解釈/進化させたサウンドが他とは一線を画すところで、ユルい演奏ながらもあたり一面モッシュの海原。
ふむ。そんな感じ。
このバンドの顔はやっぱりベースで、現在の円熟したトニー・レビン(ex King Crimson)を若気(若「毛」じゃないっすよ)を至らせまくったらこうなるかもっていうようなテクと才気に溢れている。エレファントトークとかすごく上手くコピーしそう。
ドラムはビル・ブラッフォード(ex King Crimson)というよりアラン・ホワイト(ex Yes)型のばたばたしたタイプで、ユーモアたっぷりの楽曲を派手に演出している。
んで、ギターはすごく控えで、リシャール・ピナス(ex Heldon)のように時には飄々と時にはねばねばとリズム隊に絡みつく。
まとめ:トニー・レビン、アラン・ホワイト、リシャール・ピナスがトリオを組んで、楽曲をマイク・パットン(ex Mr.Bungle)が書いた感じの音楽。
音源
けっこうYouTubeに転がっている。
primus-tommy the cat
アルバム収録「primus-tommy the cat」のPV。シングルカットされたのかな。シングル向けで単純で直感的な曲。
Primus (live1988) -4- Eleven
アルバム収録曲「Eleven」のライブ音源。アルバム収録3年前の音源みたい。音質は悪いです。曲名どおり11拍子(3+3+3+2)の曲。アルバム版よりテンポが速く、変拍子が生むノリのズレが強調された好演。「'80年代クリムゾンの未発表曲です」っつたら一瞬「あ、そうかも」と思わせられる感じ。
▼関連作品「Toxicity」System Of A Down
Rrimusと同じようにユーモアげでプログレげでミクスチャーげだけど爆音とどろかすのが、System Of A Down。
あいかわらずゴリゴリでノリノリの中東ハードコア。
変態というほど変態ではなく、技巧的というほど技巧的でもなく、個性的というほど個性的ではない。一歩間違えば単純にやかましいだけの騒音になるのだが、逆に一歩間違えたおかげでエンドレスでいつまでも聴いていたい中毒性を持つ作品になった。
「いーぶらひーいー いーぶらひーいー」って歌ったらサマになるんじゃない?お気に入り度:73点
▼さらにヘンタイを突き進むためのヒント
ミクスチャーとかヘンタイとかいうと、貴公子マイク・パットンのバンドMr.Bungleを見逃すわけにはいきません。錯乱したカスタマーレビューの引用を添えておきます。お、オラはまだ変態途上なのでまだこれら諸作を許容して点数つけられないんです。
当時ミクスチャーバンドブームという、主にへヴィ・メタルとファンクを融合させたバンドが注目を集めた時期があったけれど、これだけ文字通り様々な音楽をミックスさせた例は古今東西、昔も今もそうそう見当たらない。それぐらい個性的なバンドだった。
アルバム冒頭「Quote Unquote」のPV。映像からもまともじゃない感じがよく伝わってきますね。
もはや、ミクスチャー・ロックだとかそういう範疇を超えた、バングル以外には到達不可能な境地に達している。このバンドがいかに恐ろしいバンドかを身を持って示した悶絶の大変態盤である。
パンク、ノイズ、ハードコア、各種メタル(デス含む)、教会音楽、現代音楽、ジャズ(フリー系、フュージョン、宇宙的ハード・バップ、いんちきジャズ・コーラス含む)、民族音楽、テクノ(人力)、タンゴ、映画音楽、サーフ・ロック、ダブ、妙な効果音、カントリー&ウェスタン等が曲によって融合したりそのまんま投げ出されたりしている。とにかくマトモな曲はほとんどなく
「Violenza Domestica」のPV。映画調。まったりどうぞ。
すみません、3枚目は持っていないんです、変態失格です。堕罪ヲサムです。